映画篇

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  • 集英社
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  • / ISBN・EAN: 9784087753806

作品紹介・あらすじ

友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動-。五つの物語の力が、あなたを救う。今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテインメント!書き下ろし最新小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 本の神様、ごめんなさい!
    この本のせいで、私は誓いをふたつも破ってしまいました。

    ひとつは、毎週図書館で借りてきた5冊~10冊の本を、
    次に待っている人のためにも、必ず1週間で読み切って、返却すること。
    読み終えたのだけれど、あまりに好きになりすぎて
    すぐにもう一度読み返したくて、もう1週間手もとに置いてしまいました。

    もうひとつは、ピアノの次の生徒がやってくるまでの
    わずかな時間を縫って、泣いてしまいそうな本をけっして読まないこと。
    途中でさんざん泣いて、続きを読めばまた泣くのは目に見えていたのに
    ガマンし切れずに読んで、案の定、目も鼻も真っ赤になって
    「せんせい、どうしたの?!」と驚く生徒に
    「花粉症よ! たぶん、セイタカアワダチソウとかの。。。」と
    苦しい嘘をついてしまいました。

    そして、金城一紀さん、ごめんなさい!
    あまりに『SP』のTVシリーズのクオリティが高かったので、
    金城さんといえば、ハードボイルドな世界を描く人、と思い込んでいて。
    こんなゆるゆるのほっぺでよければ、左の頬のみならず
    右の頬も差し出しますので、思う存分打ってください。

    そんな懺悔をしたくなるほど、素敵な本です!

    そっけないほどにあっさりした表紙を捲ると
    鉛筆で模写されたオードリー・ヘップバーンが微笑む、
    手作り感満載の、『ローマの休日』の上映会のポスター。

    目次には、映画のタイトルをつけられた5つのお話が並んでいるのに
    その中には『ローマの休日』の文字は見当たらなくて。。。

    年齢も、職業も、趣味も、生きる世界も全く違うひとたちが
    それぞれのかけがえのない思い出の中、
    夏の終わりの区民会館で上映される『ローマの休日』でつながる日。

    この映画を大切な誰かと並んで観たひとも、観られなかったひとも、
    大切な誰かのために上映しようとがんばったひとも
    願いが叶えられて、しあわせになれますように。
    そう願わずにいられなくなる、愛おしいひとたちの、愛おしい物語。

    最終話の『愛の泉』。
    愛するおばあちゃんの《だいじょうぶオーラ》復活のため
    持てる力を総動員して走り回る孫たちの物語を、
    誰かを心から励ましたいとき、あるいは励まされたいとき
    この先私は、数えきれないほど読み返すことでしょう。

    本の神様に懺悔しつつ図書館に返したあかつきには、
    すぐに本屋さんで買ってきて、
    原田マハさんの『キネマの神様』の隣に並べたい、名作です。

    • まろんさん
      noboさん☆

      切ないおはなしで始まって、ほろ苦かったり
      おっ?!と思わせるような凛々しいおはなしがあったりしながら
      最後の『愛の泉』で、...
      noboさん☆

      切ないおはなしで始まって、ほろ苦かったり
      おっ?!と思わせるような凛々しいおはなしがあったりしながら
      最後の『愛の泉』で、すべてを温かく優しく包み込むような
      素敵な素敵な短編集でした。
      こんなおばあちゃんになって、こんな孫たちに愛されたいなぁ、と思ってしまうくらい
      大好きな物語になりました(*'-')フフ♪
      2013/01/25
    • bunkaさん
      まろんさんのレビューコメントにひかれて、読みました~(≧∀≦)
      間違いない!
      最後の話の鳥越一族親族縁族の方々、最高です!
      あんなすてきな上...
      まろんさんのレビューコメントにひかれて、読みました~(≧∀≦)
      間違いない!
      最後の話の鳥越一族親族縁族の方々、最高です!
      あんなすてきな上映会、我が町にもあるといいな
      2013/06/12
    • まろんさん
      bunkaさん☆

      年末に読みたい本リストにのせてくださって
      そしてちゃんと読んでくださって、とてもとても感激です!
      いい本ですよね~♪
      お...
      bunkaさん☆

      年末に読みたい本リストにのせてくださって
      そしてちゃんと読んでくださって、とてもとても感激です!
      いい本ですよね~♪
      おばあちゃんのために奔走する孫軍団、なんていい子たちなの?!と
      抱きしめたくなってしまいますよね!
      金城さんのハードボイルドなイメージと本の装幀があっさりしているせいで
      内容を誤解して手に取ってくれる人が少ないのが歯痒くて。
      最高です!って言ってくださって、ほんとにうれしいです。ありがとうございます(*'-')フフ♪
      2013/06/12
  • 表紙をめくると、「ローマの休日」のアン王女のイラストが。
    これがどのようなキーポイントになるのかしら、と読み進める。
    映画が人と人をつなぐ、5つの短編の連作である。

    最後の「愛の泉」は文句なくいい。
    その前の4編はほろ苦い。1つひとつのメインの事件は、身近に起こりそうもないけれど、その周りに潜む小さな出来事に心が痛む。
    強く人を愛して、けれど失ったものを取り返せなくて、それでも必ず朝がやってくるように、一歩を踏み出す勇気がそこにはある。
    辛いままでは終わらない、人が備えている根っこの強さのようなものが救いになる。

    その4つのお話が最後の「愛の泉」での映画の上映によって、収束される。
    ひとつ出来事があれば何らかの形で周りの人を巻き込み、更に意図せず関わってくる人もいる。それに人生が絡んでいても決して不思議ではない。

    どうせなら、ただ何となくではなく、シアワセを感じながら日々を送りたいなあと思う。たまたま偶然時間を共有した人にも感謝したくなる。

    それにしても、「愛の泉」の僕の語り口は、洒落ている。
    ユーモアがあって、思慮深い。バイタリティーもある。
    魅力的だ。
    さらに、あほあほの子ケン坊のかわいさったらない。
    人に愛される才能に溢れている。
    鳥越家のみなさんにまた会いたい。
    金城さん、また、書いてくれないかな。

    • まろんさん
      nicoさん、あけましておめでとうございます!

      『映画篇』、読んでくださったんですね、うれしいです♪
      私もほんとに「愛の泉」の孫軍団が大大...
      nicoさん、あけましておめでとうございます!

      『映画篇』、読んでくださったんですね、うれしいです♪
      私もほんとに「愛の泉」の孫軍団が大大大好きで、
      孫軍団秘密会議を柱のかげからこっそり見守り、
      「きみたち、ほんとにいい子ね~!」と、ぎゅうっと抱きしめたくなってしまいました。

      前の4つのお話の登場人物たちの姿を、上映会でもういちどちらっと垣間見られるのもうれしく
      映画や、ちいさな出会いや、誰かを思うが故の可愛らしい勘違いが
      思わぬかたちで誰かを救う、とてもとても素敵な物語でした(*'-')フフ♪
      2013/01/04
    • nico314さん
      まろんさん

      あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします!

      孫どうしのやり取り、ほんとに微笑ましいですよね。僕...
      まろんさん

      あけましておめでとうございます。
      今年もよろしくお願いします!

      孫どうしのやり取り、ほんとに微笑ましいですよね。僕が年下のいとこを愛しく思い、年の近いかおるに対してはライバル心というか、傍からみたら猫同士のじゃれあいのような罪の無さ。律子姉ちゃんには全く頭が上がらない様子。
      どれもこれもキュンとします。

      それとは対照的な一話の主人公のいたたまれない思い。最後まで読んで、シアワセな気分に浸れたからこそ、却って際立ったような気がしました。

      2013/01/04
    • urarinchoさん
      対話篇、個人的には良いと思っていますが、映画篇のような明るさがないので、その辺は要注意ですかねー。ほんと鳥越家と相対するような雰囲気です。3...
      対話篇、個人的には良いと思っていますが、映画篇のような明るさがないので、その辺は要注意ですかねー。ほんと鳥越家と相対するような雰囲気です。3つ目の話は切なくて涙目だと思いますよ。
      ぜひ読み比べて頂ければ。

      読み手と書き手の秘密の共有、いいですよねー。読んだ人にだけわかるというニヤニヤ、ホクホクした感じが(笑)
      2013/01/16
  • 本が幼友達としたら、映画は青春時代の親友かな。
    高校・大学の頃は読んだ本より観た映画の数のほうが多かったはず。
    毎週のようにDVDをレンタルしてきて夜更かししたり、映画館に通ったり。
    あの頃大好きだった映画をいろいろ思い出して懐かしい気分になりました。

    ラストのおばあちゃんのために思い出の映画上映会を開こうと奔走する孫たちの話が
    すっごくすっごくよかった。
    区民会館の「ローマの休日」上映会でつながっているそれまでの話も、
    絶望ではない結末を迎えられる気がしました。
    最後の「愛の泉」はほんと秀逸だなぁ。
    この話ですべてが救われる。ブラボー。

    映画が観たくなりますね。
    「フランキー&ジョニー」は観たことないけど、
    「トゥルーロマンス」は高校のとき大好きで20回は観た懐かしの青春映画です。
    「ショーシャンクの空に」の裏話ももっと知りたい。
    そして、おばあちゃんとおじいちゃんが観た映画は何だったんだろう?気になるー。

    • まろんさん
      ラストの「愛の泉」、素晴らしいですよね!
      あの孫軍団みんなの頭を「なんていい子たちなの!よしよし♪」と
      思いっきり、グシャグシャになるまで撫...
      ラストの「愛の泉」、素晴らしいですよね!
      あの孫軍団みんなの頭を「なんていい子たちなの!よしよし♪」と
      思いっきり、グシャグシャになるまで撫でてあげたくなります。

      最初の物語で悲しい結末を迎えた彼も、最終話を読むと、
      ちゃんと「ローマの休日」上映会に足を運んでいる様子が書かれていたりして
      あの日、区民会館で同じスクリーンを見上げていたたくさんの人たちの
      幸せを祈りたくなってしまいます。
      tiaraさんがこの本に「ブラボー」と言ってくださって
      ほんとにうれしいです(*'-')フフ♪
      2013/03/11
  • 映画をあまり好んで観ない私でも、たまには観たいなあ、と思わされた。
    映画を好きな人たちが、映画で心通じ合うお話。

    弱っているおばあちゃんのために、なんとかしなくっちゃ、と奮闘する孫たち。
    孫たちによる、おばあちゃんのための「ローマの休日」は、おばあちゃん以外の人たちにも繋がる。

    友情、出会い、逃亡、闘い、家族、恋愛。
    映画は彼らのすぐ近くにあり、彼らの背中を後押しするような存在に思えた。
    私にとっての「本」にも通ずるものがあるなあ。とか。思ったり。


    映画が好きな人は、もっと楽しめると思うな。
    個人的には、4つ目の「ペイルライダー」がよかった。

  • 読後感最高です!
    鳥越一族、すてきです!
    おばあちゃんの大丈夫オーラが復活してよかった

    全ての話がローマの休日につながっていたのですね

    久しぶりにオードリーにあいたくなるね。
    レンタルしにいこうかな

    • まろんさん
      bunkaさん、こんにちは!

      この本のレビューへのコメント、とてもうれしかったです♪ ありがとうございました!

      前半、かなりせつない物語...
      bunkaさん、こんにちは!

      この本のレビューへのコメント、とてもうれしかったです♪ ありがとうございました!

      前半、かなりせつない物語で始まって、最後の最後に、この愛に包まれた展開!
      上映会の列に並ぶ人たちの中に、それまでの物語の登場人物たちを
      きょろきょろと探したくなってしまいますよね。
      私もオードリーは大好きな女優さんで、こどもの頃飼っていた犬に
      彼女の代表作から名前をとって「ティファニー」と名付けたりしたくらいなんです。
      私も宝物にしてるDVD、また観たくなってきました(*'-')フフ♪
      2013/06/12
  • 「GO」は僕にとって最高の恋愛小説だ。

    映画に絡めた短編が5作収められている。全編から感じたものを言葉にするなら「繋がり」だ。
    もちろん言葉で表現するなんて空虚な試みなんだけど。

    誰かの行いが、他の誰かの行いに影響を与えていく。素晴らしい行動は、まるでそよ風のように世界中に広がっていくのかも知れない。

    僕も素敵な人達から素敵な贈り物を受けていきたい。

  • ポジティブな気持ちになれる、読み易い、金城さんの本は相変わらず素晴らしいと思う。

    映画に対する見方が少し変わって、これからはもう少し映画を見ようと思う。

  • 面白い!話の展開も構成もよく考えられていて、やられたー!という感じになります。映画をざくざく観たくなりました。5つの短編が収められていますが、それぞれが絡み合っているのもまたいいですね。お勧めです!!

  • 映画のタイトルを絡めた短篇集だと思い込んで読み始めたら、すべて繋がっていた。作者とほぼ同年代なので昔の映画のタイトルが懐かしく、ほろ苦い。35ミリを上映する大学生の孫たちにも拍手。

  • 著者の真っ直ぐな想いが心を熱くして、自然と涙が溢れる。出会えて良かった☆

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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