東京・地震・たんぽぽ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753837

感想・レビュー・書評

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  • 東京で大地震が起こる。
    そのとき田舎に帰っていたり、生き埋めになったり、
    避難所で過ごしたり、恋人を亡くしたりする話。
    14本の短編。

    ---------------------------------------------------

    3.11の地震の前と後では、沢山のことが大きく変わった。

    信じられないほどの自然災害の力を知ったし、
    地震と津波によって起こった電力会社の事故は2年経った現在でも解決されていない。

    何千人もの方が亡くなり、何百万人もの方の生活が変わった。
    もう人の住めない街が出来てしまった。

    大きな揺れと全てを飲み込む波、そして電力会社の事故。

    阪神淡路のときのように復興は進んでいない。
    野菜などの作物、牛乳、水産物には放射線検査が続く。
    「もうだめだ」と自殺した農家の方もいる。
    原子力発電をどうするかもまだ決まっていない。

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    3.11前に書かれた『東京・地震・たんぽぽ』は、
    3.11前に読めばハラハラしたり、心を打たれたのかもしれない。

    しかし、あの地震と波、電力会社の事故を目の当たりにしてしまった今となっては全てをウソくさく感じてしまった。
    こういうことじゃないと思った。
    仕方ないことだけど、説得力を感じなかった。

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    またいずれ大きな揺れは来る。
    波も襲ってくるかもしれないし、大小たくさんの事故も起こる。

    そのときに3.11の経験、教訓を生かせるのだろうか。
    http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103280468.html

  • 2007年に書かれた作品ですからね…。
    当時と今とでは、読者の感じ方は、まったく違ぅでしょうね…。
    秋田県で暮らされているといぅ作者さん的にも、どぅでしょうか…。

    美談も醜聞も交えて、できるだけリアルな情景を創造しつつ、
    各キャラクターの深層をバッサリと切り落として、
    ショートショートで、ウルっとさせたり、ドロっとさせたり…。

    各キャラクターが、小さな一歩を踏み出したところで、
    各お話をサクっと終わらせている点も、ボクは好感でした。
    現実の世界でも、各個人のその後をトレースすることはないですから…。

    東京には、日本の人口の1/10以上の人がいますからねぇ…。
    いろんな人も、いろんなシチュエーションもあるでしょうから、
    とても困難な状況がたくさん起こるでしょうが、しっかりしないと…。

  • 今この作品を読むと現実が迫ってくる。東京大地震というもとに起こる人々の動き、想い。相変わらずリアルであり、人の性を描ききっているように思える。迎えにこない息子、標本を選ぶ少年。始まりと終わりが結んであり、締めくくられるのもよし。罪の意識を洗い流す涙。豊島さんの作品は文学だと改めて感じる。

  • 2018年5月12日紹介されました!

  • 東京で大地震が起きたらどうなるだろう
    天災ってやっぱり怖い

    いろんな人の視点からひとつを描くいつもの形式

    日常とは違う状況だからこそ、人の心はさまざまなわけで

    ちょっとリアルで笑えないけど、作品としてはよかった

  • 話しとしては、「東京で大地震が起こった」という事象を軸として物語が進む。地震発生前から地震後、更にその後までを時間軸に沿って短編を連ねてゆく。事象についてをどうこうと文字を連ねるのではなく、それによる登場人物達の心の動きに焦点を当てた書き方が、僕のイメージする豊田ミホの文字列では無く、良い意味での期待外れな作品だった。先の震災と今後起こり得るとされる震災をイメージしながら読み進めたが作品自体は面白かったかな。ただあともうちょっとズレるとこの作者、もっと面白い作品を描きそうな気がするんだよな。

  • 大震災の前にこの本を書いていた著者は予知能力があるのかと思った・・・

  • 納得の終着。こわい。
    「反射的に身を乗り出し、わたしは額をしたたかに打ってしまう。」

  • 豊島ミホさんの本はどれも装丁が私好み。作者と年齢が近いからかな?東京で起こった大地震をテーマに書かれたこの連作短編集はどうしても東日本の大惨事を思い起こさせる。きっと街のどこかでこの小説のような出来事が繰り広げられてきたのだろうと思わずにいられない。人の善意も悪意も見え隠れする短編集だった。2011/589

  • 2007年の作品というのに驚きました。震災後だと書けないか。読めば読むほど一話目の彼はつらいだろうな...と思ってて最後の話で...。くらやみ/夢を見ていたの夫婦のその後が気になりますっていうか旦那歯ァ食いしばれ。

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著者プロフィール

2002年、新潮社「女による女のための『R-18』文学賞」で読者賞を受賞し、同年『青空チェリー』刊行でデビュー。著作に『檸檬のころ』『夜の朝顔』『リテイク・シックスティーン』などがある。

「2010年 『神田川デイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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