失踪.com 東京ロンダリング

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 561
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087754315

作品紹介・あらすじ

大都市東京。病死、自殺、孤独死などで事故物件が後を断つことはない。その物件に住み、浄化する「ロンダリング」の仕事を妨害する動きが……。調査役の仙道が動き出すと、そこには驚きの真実が!?

感想・レビュー・書評

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  • 前作続かなと思って読みました。
    ロンダリングを担っていたりさ子さんは、新しい生活を始めていて。
    時の流れの中で少しずつおかれる場所や状況が変わっていく。
    忘れちゃいけないものがあるんだと思う。
    自分の人生を考える、より良い人生。
    前向きは大切だけど、義理とか周りの人々を大切に思う気持ちとか。
    困ったら福祉を頼る大切だけど、自分のできる人助けってあるんだと実感した。
    相場さんは不動産屋さんらしく、ロンダリングで人助けしたけど、自分の分野でできることって、なんだろう?と考えてしまう。

  • 短編8話のお話が繋がっていきおもしろかったです。事故物件に住むお仕事...本当にあるのかな!?怖いなぁ。
    東京ロンダリングの続編だったらしく先にこちらを読んでしまいましがそれでも楽しめました。今度は、東京ロンダリングも読んでみたいです。

  • 事故物件のロンダリングに関わる人たちの連作群像劇。

    フォロワーさん4名の本棚で原田ひ香さんを知り、初めて読みました。

    204ページの失踪者探しを生業とする仙道のセリフ、

    「失踪はふらっと出て行って、ふらっと帰ってくる。だから騒ぎすぎないこと。帰る場所を残しておくこと」

    が印象に残りました。年間8万件近くの捜索願いと、その8割近くが一年以内に見つかるという日本の現状が、このセリフになったのでしょう。

    いろいろ勉強になるし、考えさせられる。

    この作品を手に取ったのは、表紙・裏表紙の晴れ間の路地の景色に見とれてしまったから。

    物語は淡々としていて、その奥に仄かに人情が流れている、そんな感じでした。

  • 東京ロンダリングの続きを読みたかった。
    心なしか、「東京ロンダリング」より重いような気がする。前のはロンダリングしていたのは2名で、人当たり良く、気配を消して生きている姿が覇気がない感じはするものの、怖くはなかった。
    今回は最初の話が重かったか。管理人として、家族として。次のお話も同僚が失踪(タイトルからしたらそのままなのだけれど)。最後の方はちょっとずつ読むペースが早くなれた。

  • 『東京ロンダリング』のスピンオフ的な短編集。オムニバス形式で8話が収録されています。

    事故物件を浄化する“ロンダリング”に関わる人達を巡り、各話が少しずつリンクしている構成です。
    様々な事情を抱えたロンダリング関係者達に、巧妙に近づいてくる、一見爽やか若しくは明るいけどどこか胡散臭い男女や、暗示的にちょいちょい出てくる自己啓発本・・・。
    後半の数話では、一連の話の背後に見え隠れするものを、失踪者探しを生業とする「失踪.com」の仙道さんが追求していくというミステリちっくな要素も加わり、その不穏な雰囲気に引き込まるものがありました。
    そして前作の登場人物の、りさ子さん、「相場不動産」の社長さん、まあちゃんといった面々が出てきた時は、何だか再会したような嬉しさがありましたね。
    ただ、結局大手企業による“ロンダリング妨害疑惑”の真相はうやむやな感じで終わるのが若干モヤっとします。
    基本無気力なりさ子さんが、意外と戦う気満々な感じだっただけに、そこははっきり決着つけて欲しかったですね。
    あ、もしかして続くのかな・・・(希望)。

  • 単純に『東京ロンダリング』の続編かと思いきや、ちょっと趣きが違っていた。
    8話からなる連作短編集。しかし、読み進めるにつれて、登場人物がリンクしていてすべての物語がつながっていることが分かる。タイトルにもあるが、事故物件のロンダリングに、今回は失踪が絡められた内容。その背後には、大手の影が…
    この話は東京オリンピック前の段階。その後が気になる結末だった。

  • この作者の本は2冊目。
    最初の本が結構ヘビーだったのと、今回のこのタイトルで今回もヘビーな内容だと思ったらそんな事はなかった。
    むしろ、中には読後感の良い話もあった。
    ロンダリングー事故物件に移り住み、部屋を浄化する事が話の軸となっている短編集。

    「うちの部屋で人が死んだら」
    主人公はパートで働きながら、ダンナ名義のアパートの管理をしている女性。
    そのアパートに住む男性が亡くなり、彼女は不動産屋からいくつかの提案を受ける。
    その内のひとつがロンダリングだったー。

     この話で、不動産におけるロンダリングとは・・・とか、訳あり物件に住む人の事を「影」と呼ぶといった事が書かれている。

    それを踏まえての2話。
    「君に栄光を捧げよう」は、同僚が訳あり物件に住むことになった男性の話。
    同僚はやがて行方不明になる。

    「幽霊なんているわけない」
    不動産屋の紹介で訳あり物件に住むことになった男性。
    その部屋に幽霊が訪れる。

    「女が生活保護を受ける時」
    前話で登場した不動産屋の紹介で、訳あり物件に住むことになった生活保護を受けることになった女性の話。

     この話が一番良かった。生活保護に訳あり物件。
    相当キツい状況なのに、何となく希望がもてる内容。
    主人公の女性がまともな感覚でキチンとしているのが救われる。

    「地方出身単身女子の人生」
    前話、前前話で登場した不動産屋の女性の話。

    「失踪、どっと混む」
    その不動産屋の社長が主人公の話。

    「昔の仕事」
    「東京ロンダリング」
    は、前作に登場した登場人物たちの話ーとあとがきに書いてあった。
    一応、最初の話とも話がつながっている。

    後半3話を読むまでは、評価は☆4つだと思っていた。
    でも、後半3話で、いきなり話の様相が変わって、それまで出てない登場人物が出たりして頭がこんがらがったし、その3話は面白くなかった。
    何か、イメージとして、いきあたりばったりで一冊の本に仕上げたという感じがする。
    最初のアパートを舞台にしたロンダリングの話かと思ったら1話と2話の主人公たちは接点がないし、その後の話もそう。
    それなのに、途中からいきなり不動産屋の登場人物たちが主人公となって回りだす。
    どっちかに定めた方が読む方も分かりやすいし、気持ちが入りやすかった。
    最終話で最初の話を持ち出すのもとってつけたような感じがした。

  • サブタイトルの「東京ロンダリング」を見て、前作の続編もしくは番外編?と思いながら何の予備知識もなく読み始めた。
    前作同様、事故物件に住み部屋を浄化する「不動産ロンダリング業」をテーマにはしているものの、語り手は主婦、サラリーマン、生活保護受給者など様々で、やっぱりスピンオフの短編集なのか…それにしてはオチが弱い気も…と思いながら読み進める。
    徐々に「相場不動産」の社長やまあちゃん、前作のヒロインりさ子さんなど懐かしい顔ぶれが登場(でも、前作未読でも差し支えないです)。この再会にホッとする反面、行間から得体のしれない不穏な空気を感じ始める。うまくは言葉にできないけど、何だろう、この怪しさ…。そして、タイトルにもなっている「失踪.com」の存在感が増していく。そう、本書のテーマは「失踪」。それがロンダリング業と一体どう関わっていくのか…前半のオチの弱さの理由も何となくわかってくる。伏線が見事に回収される最終章の「大東京ロンダリング」は圧巻です。
    謎がほぼ解けた一方で、ちょっとすっきりしないところもあり…それは何かを意図しているのだろうかと勘繰ってしまう。でも、本書で著者が初めてあとがきを書いたということから、この「東京ロンダリング」シリーズを大切に思っていることが窺える。是非どこかでまた書いてくれたら嬉しいな。

  • 面白かった。前作とは、趣きが違うがぐいぐい引き込まれて完読。

  • 原田さんにはまったきっかけが東京ロンダリング。
    の、2作目。
    前作の方が好きかな。

    でも、とても爽やかと言えないような話なのに
    終わり方が爽やかなところが好感もてる。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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