ひろしま

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著者 : 石内都
  • 集英社 (2008年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (78ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087804829

ひろしまの感想・レビュー・書評

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  • 昨年、この写真集の撮影風景を追った番組をTVで見た。
    撮影をしながら、原爆が落とされたその瞬間でも人々は普通の生活を
    していたということ、女性はおしゃれをしてお気に入りの柄のワンピースや
    ブラウスを着ていた‥‥ということを記憶に留めていたい。というような
    ことを石内氏がおっしゃっていた。
    被爆者の着ていた45着のぼろぼろになった服を撮った写真集。
    着ていた人は亡くなって、残った衣類は風化せずに部分的にしっかりした
    縫製の後などを残している。どうして戦争なんてしたんだろう?と考えさせられる。特注のライトテーブルの上で撮られた服のディテールからは風に揺れるスカートの動きや涼しげな素材感、着ていた人の体型までが皮肉にも生き生きと見て取れる。写真になった一着一着が心に刻まれた写真集だ。

  • きれいな写真集がみたいな、と思って、図書館の写真集の棚を眺めていたら、見つけた
    どうしてもひかれてしまい、手に取った

    広島で被爆死した方方の、遺品の写真集
    ワンピースや制服や小物など、時間を奪われてしまったものたちが写されている
    撮影者と寄稿者の文章を読み、色色な布地に染み込んだものは、確かに血や汗だけではないと感じた
    生生しい写真こそないものの、想像をかきたてられる
    確かにその人が存在していたこと、確かに(私たちが?)殺してしまったこと、感じたことをそれぞれ受け止めて、私たちは生きていかなければならない
    写真にはこういう働きもあるのだと知った

  • 『ひろしま 石内都・遺されたものたち』 2013年夏、岩波ホールほか全国順次公開予定
    http://www.thingsleftbehind.jp/

    『ひろしま 石内都・遺されたものたち』 Things Left Behind / ひろしま 石内都・遺されたものたち
    日本、アメリカ / 2012 / 80分
    監督:リンダ・ホーグランド(Linda HOAGLUND)
    ©NHK / Things Left Behind, LLC 2012
    配給:NHKエンタープライズ

    【作品解説】
    平和記念資料館に収蔵されている原爆犠牲者の遺品を撮影したシリーズ「ひろしま」で知られる写真家、石内都。リンダ・ホーグランドの監督第2作である本作は、2011年10月、カナダのバンクーバーにあるMOA(人類学博物館)で石内都の大規模な個展が開催されるまでを1年以上にわたって記録したドキュメンタリーである。衣類、靴、人形など、原爆で亡くなった人々の様々な遺品たちは、時の流れを越えて見る者に静かに語りかけてくる。映画は、個展の準備の過程に密着し、バンクーバーで個展に訪れた人々の率直な反応を記録する。更に興味深いのは、様々な人々へのインタビューから明らかにされるカナダと原爆との間にある意外な関係性である。監督デビュー作『ANPO』において現代アートを媒介にして日米安保の問題を投げかけたホーグランドは、本作でその方法論を更に深化させたと言えるだろう。数々のドキュメンタリーを撮影し、『誰も知らない』など是枝裕和作品の撮影監督としても知られる山崎裕が撮影を担当。

    『ひろしま 石内都・遺されたものたち』 :特別招待作品 : TOKYO FILMeX 2012 / 第13回東京フィルメックス
    http://filmex.net/2012/ss13.html

  • つらかったです。
    透明感、清潔感、生地やデザインの可憐さが。

    これらのお洋服や小物の素材を買った人縫った人、着て鏡にうつして見た人、お母さんや姉妹やお友だちにちょっと自慢した人、好きな人に見てもらいたかった人。
    もういない。その朝から。

  • 物が物語る。
    主人をなくした物たちが語る声なき声が聞こえました。

  • 言葉を持たないことはときに言葉より雄弁。

  • 半世紀以上も前の、しかも戦時中に着られていたとは思えないほどに色彩が鮮やな衣服たち。
    この花柄のブラウスは、どんな少女が身につけていたんだろう?
    このワンピースを着た女性は、いくつくらいの人だったのかしら?
    彼女、彼らの生きていた記憶が、布地にしっかりと残留しているようで。
    私は、この原爆投下の悲劇を決して忘れてはいけない国に生まれたのだ。
    写真を見ながら、そんなことを思い知らされました。

  • この写真集のモチーフは、おもに女性の衣類です。ページをめくって、その意外にも華やかな色や柄に驚きました。

    中の一着、ドット柄のワンピースは、ていねいな針目で繕われていました。
    当時の衣類は、ほとんどが手作りだったそうです。お店で仕立てられたものか、家族が仕立ててくれたものか――いずれにしても、とても大切に扱われていたであろうことは、想像がつきます。
    お気に入りの服を、大切に着ようと思う気持ち。後世に生きる私たちにも、たやすく共感できる感情です。そんな、ふつうの人々のささやかな楽しみを、たった一つの爆弾が無残に踏みにじってしまう。そんな行為の愚かしさや哀しさを、写真たちは静かに語りかけてきます。

  • 長女が音読している広島の話の展開で借りた写真集。夏休みに長崎の資料館で、衣類やめがねなどの実物を一緒に見た。広島にはまだ連れて行ってない。この本の写真は光を取り入れて写しているため、衣類を作った母達の気持ち、それを身にまとった一人一人の人生が伝わってくる。その一人一人に何が起こったのか、爆風や熱線で衣類がどうなったのかを通して、考えることができた。
    12万人という集団に悲しいことが起きたのではない。(一人+その人を想う人びと)×12万の悲しい出来事が、一瞬のうちに起きたということ。三月の津波も同じ。忘れないようにしよう。

  • 梯久美子『昭和二十年夏 女たちの戦争』で知った写真集。
    実際にその写真集を開いてみれば、息が止まりそうだ。
    知っていたけれど、その写真の愛らしさと、むごたらしさと。
    涙が止まらない。

    あの日、誰かが身に着けていた衣類、
    今は広島平和祈念資料館に眠っている。
    そのワンピースを、ブラウスを、あるいはメガネを、石内都は撮った。
    何のキャプションもつけず、写真集はできた。

    それなのに、はっきり見えるように感じられる。
    母の手作りのワンピースを身に着ける幼子、
    お洒落な腕時計の持ち主は仕事のできる才色兼備の人。
    レースのついたスリップは、恋に胸ときめかすお嬢さん……

    巻末に「被爆資料リスト」として
    品名と寄贈者の氏名が記されている。
    被爆のせいばかりでなく、品名を見なければ、
    時代のギャップで、それが何かわからないものもあった。

    梯氏は前掲書で書いている。
    「史料として見る前に、女性たちが大切に来た服として見る視点が
    この写真集にはある」と。
    その服本来の美しさが蘇ったからこそ、着ていた人たちの日常、
    死の瞬間まで大切にされていた日々の暮らしの中での美しいものへの
    想いがそこに立ち上る……

    異常な戦時下にあって、なお日常の営みが行われること。
    田辺聖子も向田邦子も、あの時代に青春を過ごした作家は
    皆、明るい学園生活をも書いている。

    それだからこそ、怖いのだ。
    昨日、一緒に笑い転げた仲良しの同級生が、
    今日、冷たい亡骸となっていることが。
    健康で、何のさわりもなく日常を送れる人が、
    突然命の営みを止められてしまうこと。

    その恐怖が不条理が、ひしひしと感じられる。
    いまだに涙が止まらない。

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ひろしまの作品紹介

花柄のワンピース、水玉のブラウス、テーラーメイドの背広、壊れたメガネ。写真家・石内都が被爆遺品を撮った。美しいから辛い、可憐だからむごい。風化しない広島。

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