JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN
- 集英社 (2011年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087806304
作品紹介・あらすじ
かつて空条承太郎の手によって焼き捨てられ、エンリコ・プッチ神父が切望したDIOのノート。世界の深淵で、DIOが探し求めた「天国」とは。小説家・西尾維新が、禁断の手記を再生する。"VS JOJO"第2弾。
感想・レビュー・書評
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某所では散々な評価をされていると聞いていたのと、以前読んだこの作者のノベライズが、個人的にあまり好みで無かったので敬遠していたのですが、友人から『手記としては面白い』と聞いて借りたので勇気を出して読んでみました。
『DIO』が書いた彼自身の数奇な半生と『天国へ行く方法』についての手記、という体で展開していくので、物語性はほぼなし。というか、原作を知らないと何が書いてあるかすらわからないと思います。
原作に目を通さず、これに手を出そうという人はそうそういないと思いますが、『アニメを見てディオを好きになったから取り敢えず読んでみようかな』で読んでもさっぱり面白くないと思うので、そこは注意が必要。
最低でも3部まで、すべてを把握するなら6部まで、更に深読みしたいなら7部まで読み切っている、というのが目を通すにあたっての必須事項でしょうか。
なんというか、色んな意味でハードルが高いです。
多分私はディオ・ブランドーという人のことが『とても好き』なので、そういうフィルタがかかってます、という上での個人的な感想。
彼のことを『完全無欠の悪の帝王』だと思っているとこんなキャラじゃない!と怒ることになりそうですが、個人的な印象として、ディオという人はすぐに調子に乗るし、間の抜けたところもあるし、子供っぽいし、なんというか割と駄目なところも多い、という印象を持っていたのでそれほどギャップを感じませんでした。
カリスマ、って完璧、って意味とはちょっと違うというか……
むしろ『こんなに駄目なのにそれでもついていきたい』と思わせてしまうのがカリスマなんじゃないかなあというのは個人的な感想ですが。
本当に色々と雑多に書いてあるので、どこがどう、と述べるのは難しいのですが、個人的には彼の生い立ち……ジョースター家に引き取られるまでの話と、聖女概論、チップの色分けについて、時間と引力について、何より『棺桶』の話が大変興味深かったです。
ジョナサン・ジョースターに対する評価・見解は、さすがに的を射ていて笑ってしまいました。ああーありそう、ありそう。
話題があっちこっちに行くのは手記だから仕方ない……というか、まあこうなるだろう、と思います。
凄く重要なことも書いてあれば、どうでもいいようなことも書いてある。
そういうところがすごく『らしい』と感じました。
西尾維新の文章なのでくどくて冗長にも感じるのですが、『手記』という体裁なので飲み込めます。
これが『小説』なら放りだしてたと思います。
すっごく面白いというわけでもない、ワクワクもしなければドキドキもしない。そんな『ジョジョらしくない』作品で、人に勧めるのもためらいます。
正直言って私は『面白い』とは感じなかったんだと思うのですが、それでもぼんやりとした何かが残る、そんな読みもの。
愛しさには足りない。切なさと呼ぶには頼りない。
怒りはない。失笑苦笑は少し。穴が空いたような感覚も少し。
他人の日記を読むのは背徳、それがあのディオのものであるならなおさら『いけないもの』を見ている気がしてどこかソワソワする。
『DIO』に過分な期待や思い入れを持っていない人なら、『こういう視点もあるのか』という楽しみ方が出来ると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
DIO様信者として購入し、読んだ後はなんともいえない気持ちになりました。
この本は大分酷評が多いみたいですが、所詮これはDIO様のノート、独り言です。
吸血鬼にも弱いところがあっていいんじゃないだろうか。人間でなくとも、母に救いを求めてもいいのではなかろうか。
悪をぶちのめし、悪人を悪人と見なし救わないジョースターに救われることの無かった彼は救われてもいいと思うのです。
人間賛歌を歌っている作品なんですから、いくら人間をやめていても、彼は救われて欲しいのです。
生まれついての悪人なんてやっぱりいないのです。
さかさかと読めるのも無駄を省いている感じで、私はこのようなDIO様がとても好きです。
要は捕らえ方次第ではないかと。 -
再読。言葉遊びは控えめ。『The Book』よりも本編とリンクした内容なためか、よりJOJOっぽいなと思った。以前読んだときは本編がうろ覚えの状態だったが、今回は、春から本編をしっかり読んだ後だったため、登場人物がはっきりと頭に浮かびスッキリと話が理解できた。ディオにはディオなりの考えや論理があり、本書の最後はその後の展開を知る身としては一抹の寂しさを感じた。
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常に歴史は正義の勝者について語られるなか、悪の敗者であるディオの直筆という形でこのような本が発売されたことに大変感謝。
内容としては、私は人間的で汚くて感情的で器が小さいディオ様がとてつもなく好きなので震えながら読ませて頂きました。
そして、(上記の通りドス黒い悪役、しかもカリスマの割には小物っぽさが漂う)ディオを全力で肯定し、むしろジョースターが悪ですらあるかのような視点が素晴らしかったです。(誤解されそうですが、私は悪の帝王であるカリスマ性溢れるDIO様も大好きです)
全体の評価が低いのは、三部ディオの信者の間では弱気で小さいディオなんて認めないッ!みたいな風潮があり、この小説ではひたすら弱気で人間的なディオが描かれていることが原因かと。
また、作者さん独自の考察要素があり、その内容はとても秀逸でした。賛否両論あるかとは思いますが。
ただ、個人的にこの人の文章の書き方が好きになれないという点はありました。あまり綺麗じゃないな、と。
魅せ方、表現、言い回しにおいて上手くないと思ってしまいました。
ジョジョっぽさがないというのはむしろ好感的ですが、所々名言を狙ってる感じがしました……。とはいえ全て許容範囲でした。
ジョジョを知らない人が読む前提が成り立たないので、原作を知らない人にはおすすめできませんね。
また、絶対的なDIO様が好きな方としては、受け入れられない内容だろうと思います。
私は買って大正解でした!さらにディオ様を好きにならせてくれる素敵な内容を、ありがとうございました。 -
ジョジョ3部までの出来事がディオの目線で書かれています。1度ストーリーを知っている私でも、当時、ディオがどんなことを考えていたのかどうかなどが分かる小説で面白かったです。
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ディオ視点での1部3部の物語
ジョジョの奇妙な冒険であると同時にディオの物語でもあるんだね〜