政と源

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著者 : 三浦しをん
  • 集英社 (2013年8月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806854

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政と源の感想・レビュー・書評

  • 幼馴染の老人二人を描く、しをん流男の友情と人生もの?
    面白かったです。

    政こと有田国政は、73歳。
    元銀行員だが退職した今はやることもなく、妻は娘のところに行ったきり戻らずに3年。
    源こと堀源二郎とは幼馴染で、生まれ育った墨田区に住んでいるので、何かと行き来しながら暮らしている。
    源はつまみ簪(かんざし)職人で、早くに妻をなくしてやはり独り身だが仕事は現役、若い弟子もいて、にぎやかな生活。

    堅物な政は、見た目は端正で白髪がふさふさしているが、気ままな性格でも明るい源に呆れたり、うらやんだり。
    政の視点から描かれるため、内心のひがみっぽさが何とも情けない。
    妻の清子がなぜ出て行ったのか理解できず、自分はちゃんと働いて一家を支えてきたと自負している。とはいえ、仕事仕事で家にはあまりおらず、妻に何もかもまかせっきりだったということ。

    源の弟子徹平は元ヤンで、昔の仲間に絡まれていると知り、政と源は解決に乗り出す。
    そういう事件が続く話というわけではないのですが、そういったことがありながら、政が人生を省み、少し心がほぐれていくという展開。
    ついに思い立って娘夫婦の元にいる妻を訪ねると、気まずい会話になってしまうのでしたが‥
    妻の立場から言われてみると、そりゃ~‥

    徹平の彼女で美容師のマミちゃんも感じがよく、親に反対されている二人の結婚の世話をしようと、だんだん熱くなる政と源。
    政は徹平に自信を持たせなければと、オリジナルの簪を作ってみろと提案する。
    内心はグダグダ、とっつきは良くないようでも、政にも良い所があるじゃありませんか。
    妻にはがきを書き続けるとは、彼なりの努力が微笑ましい。

    政のような古いタイプの昭和の男は、若い女性には理解しにくい存在ですよね。
    ある意味、不器用だけどかわいげのある人間として描いてあるのは、しをんさんの優しさかな。
    挿絵が二人とも妙にハンサムなので、う~ん、お似合いの名コンビってことなのか?!

  •  ああーさすが、しをんさん!!面白かったですー。笑ってはいけない場面の究極場所、病院でこの作品を読んでしまったものだから、笑いをこらえるのに、本当に本当に苦労しました。ある意味、そっちの方が地獄でした・・・

     政こと、国政のツッコミの見事なこと。しをんさんのエッセイそのものの、スタイリッシュなツッコミっぷり。見事見事。
     馬鹿キャラの徹平が自分の父親のことを紹介するに当たって、「自分の父親はイチブジョージョー企業に勤めてるんっす」と言った際に、徹平がいうと、どこかから水漏れしている企業に勤めているような感じがする・・・と政が心でつぶやくところ。もう、笑えて笑えて・・・今思い出しても笑えてきます。病院で読むんじゃなかった・・・

     老いても、国政と源二郎のようでありたい、と切実に思いました。老いて、そして、自分が終わっても、それでも続いていくものがあるんだなあ、と、その尊さを、政のかっこいいツッコミと、源のハチャメチャに教えられました。

     円陣闇丸さんのイラストも綺麗だし、おススメの作品です。

  • 元銀行マンの有田国政とつまみ職人の堀源二郎は共に73歳で、墨田区に住む幼なじみ。日常の出来事が政の目線で語られている。

    政の妻は数年前に長女の家に行ったきり帰って来ず、一人暮らしを強いられている。源はずいぶん前に妻を失くしたが、未だ現役の職人で元ヤンの弟子・徹平もいて、なかなかにぎやかに暮らしている。

    源はがさつで言葉も荒くいい加減なところもあるが、弟子や友人に対する思いやりにあふれ、自分らしく生きているように見えて、政にはうらやましく若干の嫉妬も感じてしまう。

    政は親の期待に応えるべく、大学を出て銀行に就職し、見合い結婚をして定年まで勤めた。家族のためにと働いてきたのに、妻には理由もわからないまま愛想を尽かされ、2人の娘たちも妻の方に加勢しており、いいところなしだ。
    会話のたび、周りの言葉に対して心の中でいちいち毒づく。ひがみっぽくて、欲しいものを欲しいと素直になれず、いつまでもいじいじしてしまう。


    第2話では、本当は孫の七五三の祝いに源のつまみ簪を送ってやりたいと思いながらも、なんだか源を頼りにするのが癪であたりさわりのない商品券を贈ったり、

    第5話では、源の一言からいよいよ重い腰をあげ妻を迎えに行くが、妻や長女の態度が自分に対してあまりに思いやりがなさすぎると憤慨した上に爆発し、却って総攻撃を受けて撃沈しヤケ酒を飲んだり。

    やるせないなあ・・・。

    政の独白には、こう言われたらこう思ってしまうなあと苦笑しながら読むんだけれど、第5話の家族のやり取りは笑えなくなってくる。相手の心がまっすぐに離れていくのにも気づかずに、相手の悪いところを責めてしまう。心の中でつい呟く言葉も、活字にするとかなりきつい。耳にする人はうんざりすることでしょうね。

    相手にしてもらうことばかりを考えているうちは気づかなかないことも多い。見返りを求めずはがきに日常や心境をつづり送る行為を通して、「こうあるべき」と縛られ不自由になっていた気持ちが穏やかになっていく様子にほっとする。

    心が弱っているとき、ひとりぼっちだと思い込んでしまうと辛く、嫉妬や僻みといった気持ちに振り回されて、ますます自分らしさを保つのが辛くなっていくもの。
    元気なとき、うまくいっているときには気にならないことも、ささくれた心にいちいち入り込んで、傷にしみるような痛みを伴う。

    それでも、「がまくんとかえるくん」のように政には源がいて、やっぱり幸せなのがいい。
    しおんさんは人を見捨てることは決してせずに、気づくことで人が変わっていく姿をちゃんと描いてくれる。

    気づかないと決め込んで諦めたくなるようなことがあっても、
    うまくいかない自分に嫌気がさしても、
    なんだかうまくいっている人を妬んでしまって却って苦しさが増すようなことがあっても

    「大丈夫。みんな同じ。支えられ支えているんだよ」

    と言ってくれているような気がして、少しばかり指先が温まったのを感じて、本を閉じた。

  • 東京下町。元銀行員の堅物で、家庭を顧みず仕事一辺倒に生きてきた国政と、幼い頃からつまみ簪職人として生きるも、かなり破天荒な源二郎。合わせて146歳の幼なじみの二人のお話。
    国政のイジイジした性格にはイライラさせられたが、昭和のお父さんって案外こういうのかもなぁと途中から少し可哀想に思えた。方や、べらんめえ的な源二郎の方も近くにいたら頼りになりそうだが、身内としてはどうなんだろう?両極端な生き方なのに、お互いに少し足りない物を補いつつ生きてきた。もう腐れ縁で離れられそうもない。そんな二人の関係が羨ましくも思う。
    戦後再開した二人のシーンが心に残った。

  • 東京都墨田区Y町。
    この町で生まれ育って73年、幼馴染みの2人はいまでもにお互いを「政」「源」と呼びあい、憎まれ口を叩き合っています。
    堅物で生真面目、若いころは銀行員として勤めあげたものの、妻にも娘にも愛想をつかされて今では独り暮らしの身となっている国政。
    幼い頃から型にはまらずやんちゃで豪快、しかし一流つまみ簪職人として繊細な作品を創りだす一面ももつ源二郎。
    性格も生き方も正反対、だけれども切っても切れない縁で結ばれた2人なのです。

    物語は国政の視点から進んでいくのですが、彼の堅物さにハラハラしてしまいます。
    娘夫婦のところに家出してしまった妻に、素直に帰って来いと言えなかったり、孫娘にトンチンカンなお土産を用意してしまったり。
    「ああもう、そうじゃないよっ」とやきもきしてしまいます。
    相手に伝えたい気持ちをすんなり伝えられない、喜んでもらいたいと思ってしていることが空回り…。
    昭和の男性の頑固さや不器用さが、愛らしくもあり、切なくもあり。

    主人公が素敵なじいさん2人組なので、随所に彼らが身体の衰えを感じている場面が出てくるのですが、これが何とも自然でびっくりします。
    じいさんの目から若者がどんな風に見えているか、という描写も。
    しをんちゃん、じいさん体験でもしたんじゃ…と思ってしまいましたw

  • 東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
    「BOOKデータベース」より

    紹介文のようにものすごいハチャメチャな出来事があったわけではないように思う.それよりも政さんの感情の描写がああ、年とったらこうなるのかなぁ、世のおぢさま(おぢいさま?)方はこんなことを思っているのかなぁという感想をもった.
    頑なだった政さんが丸くなって・・・最後でほろりときた.人と人のつながりっていろいろあるなぁと思ったし、分かり合う努力はするべきなんだなぁと思った.心が温かくなる話だった.

  • ラストが爽やか。
    それまでの国政さんのうじうじが、すーっと薄れていった。
    良かった。

    国政さんは人に拒絶されるのが怖くてなかなか一歩が踏み出せない。
    別居中の奥さんにも、結婚して一児の母になった娘にも、可愛い孫娘にも、どんな風に話せばいいか分からない。
    会いに行っていいのかと足踏みしてしまう。
    国政さんのそんな逡巡が嫌になるくらい分かってしまう。
    もう本当に嫌だ。
    こんなうじうじが何のプラスにもなっていないことなんて知ってるよ。知ってるけどどうしようも出来ないんだよ。
    読みながら同族嫌悪でイライラ…。

    国政さんの幼馴染の源二郎さんは国政さんとは対照的。
    若い弟子に慕われ、町内でも顔が広い。
    でもこの軽やかさは天性のものですよ…と私などは(きっと国政さんも同じでしょう)思ってしまうのです。
    そんな自分にまたイライラ…。

    この小説はそんな国政さんと源二郎さんの友情の日々を描いている。
    大事件が起こるわけではない。(途中ちょっとバトルがありますが)
    地味に喧嘩したり、仲直りしたり、(主に国政さんが)嫉妬したり、ご飯を食べたり、昔のことを思い出したり、なんてことない日常。
    でもそんななんてことない時間を積み重ねることでしが、人は人と繋がれない。
    相手への気遣いを伝えること。
    相手から差し出された手を握り返すこと。
    その一つ一つを疎かにしちゃいけないんですね。

    照れくさくても、嫌がられないかなって不安になっても、最初はおどおどとでも近付いて行く。
    どうしても無理なら潔く諦める。
    でも、自分は嫌いにはならない。
    そんな強い人間になりたいなと思った。

  • 堅物で融通も気も利かない政と、豪放磊落がそのまま歩いているような源。
    真面目に丁寧に生きているようでいて、不器用すぎる政。
    ガサツなようでいて、しっかりと踏ん張って生きている源。
    対照的なじいさん二人の周りで起きる色んな出来事。
    なんだかんだ言っても、源に救われっぱなしの政。
    じいさん同士の友情にこんなに清々しい気持ちになるとは。
    年季の入った友情に憧れる。
    気持ちのいい小説だ。
    自分はかなりの政タイプ。老後、そばに源はいてくれるだろうか。

  • 下町のハートウォーミングストーリー。
    主人公は70歳代の幼馴染2人なんですよ。
    片方は40代で妻を亡くしたつまみ簪職人、もう片方は70歳になった頃に妻に出て行かれた元銀行マン。
    死がわりと身近にあって、体に痛みも出てくるお年頃。

    老後の生き方についてふいに考えさせられる物語でもありましたね。
    今の団塊世代の男性もきっと、家庭を顧みずに我武者羅に働いてきた人が多いんじゃないでしょうかね。
    終着点が熟年離婚だとすれば、なんだか寂しい。

    ところで主人公のこのお二人、案外子どもか!ってくらいに拗ねたり意地を張ったりする場面もあるんですが、こんな風に長く付き合いのある関係を持てるって、本当に素晴らしいことですよね。
    それも、こんなに違う二人が。
    違うといえば、作中で登場する徹平&マミちゃんもまた素晴らしい。ちょいちょい登場する二人の幸せな姿と、困難を乗り越えようとする漢気溢れる姿にぐっときました。

    この本は素晴らしいところがいくつもあるんですが、その1つがまず装丁。和風で美しい装丁な上、中には格好良いイラストまで描かれています。
    それからところどころで登場する国政の心の声やツッコミが面白くて。
    「あそこを船で通ってるとき、俺の頭にカモメがとまったんすよ」
    「本当かい」
    (略 ※徹平のお馬鹿発言)
    "徹平くんは、カモメに脳みそを持ち去られたのかもしれないな、と国政はちらと思ったが、むろん黙っておいた。"とか、いちいち面白い。

    三浦しをんさんの紡ぐ言葉は本当に丁寧で心に届くから、物語ももちろんいいのだけど、読んでいてとても心地よかったです。
    ああ、いい物語を読んだなあという気持ちでいっぱい。

    大事な人が亡くなった時の描写で、
    「長く親しんだ景色をまたひとつ失ったさびしさは、これから少しずつ胸の底に降り積もることだろう。」とか、どうしてこんな的確な言葉が選べるんだろう。
    とにもかくにも、いろんな方面から最高の1冊でした。

  • 大好きだったまほろの便利屋コンビが
    まるで
    そのまま老いたかの様な
    国政と源二郎。

    説教じみた台詞や設定なんか一切無かったはずだし、
    最後の最後までこの二人に
    泣き笑いさせられていた、と言うのに
    何故か
    政は良寛さん、
    源は一休さんに重なり、
    2人の僧侶が生き死にについて、
    誰もが納得する
    そんな深い話をしていた様な…
    気がしたのだが。

  • 七十歳を過ぎた老人二人の友情物語。
    荒川と隅田川に挟まれた町に住む幼馴染の二人、国政と源二郎。
    かたやお堅い元銀行員、かたやがらっぱちの簪職人と、生き方も性格も正反対の二人ながら、お互いの相手を思いやる優しい気持ちが何とも微笑ましい。
    二十年後に自分がどういう状況になっているかなど到底想像できないが、こんな関係の友人がいたらまだまだ人生は楽しいことだろう。

    源二郎の弟子の徹平やその彼女であるマミのキャラも魅力的で心地よい。
    老人が主人公の話なので、じじむさく暗い話かと思って読み始めたが、読後感が非常に爽やかだ。
    ところどころに飛び出すユーモアのある文章のセンスも抜群で、楽しく読める。
    三浦しをんの小説はやはり面白い。

  • 有田国政と堀源二郎は、荒川と隅田川に挟まれた三角州のような墨田区Y町に暮らす、幼馴染。
    ともに73歳。
    国政は銀行勤めの後、定年退職。
    妻は娘のもとへ行ったきり戻ってこない。
    源二郎はつまみ簪職人。
    愛妻を亡くして以来の一人暮らし。
    そんな二人を取り巻く、物語。

    三浦しをんさん、やっぱり笑わせてくれます。
    そして、ホロリとさせてくれます。

  • 70代の幼馴染。源次郎は現役のつまみ簪職人。国政は元銀行員。2人は戦争、戦後に辛い経験を持つが腐れ縁とか言いながら互いを意識してきました。

    残り少ない髪の毛をいろんな色に染め自由に生きる奇特じじい・・の源次郎だが、なんだかんだと人に好かれ、堅実に生きてきたのにうまく人生が運ばない国政はちょっと僻みっぽく見ています。

    源次郎の元ヤンの若い弟子を客観的に見ていた国政も、次第に家族の様に関わっていくことになります。

    口コミで「有川浩さんの三匹のおっさんに似ている」というので手にしたが、最初から全然似てないなと気になりながら読み始めました。次第に別物と割り切れて、ようやく三浦しをんさんの世界に入っていけたように思います。人によって捉え方は色々なんだな~と、余計な感想を持ちました。つまみ簪の奥深さにも触れ、下町人情ある粋な本でした。

  • 墨田区Y町に住むふたり合わせて146歳の幼馴染み、政と源。

    元銀行員の国政と、つまみ簪職人の源二郎。
    不器用な国政とガサツな源二郎、プラス、源二郎の弟子、徹平のバカだけどまっすぐな人柄が絶妙なバランスで。
    ひさびさの一気読み。読後感含め最高に気持ちよかった。

    連作短編となっていて一話完結なのもいいですね。
    個人的には、ぎっくり腰のところと、国政のハガキ攻撃がツボでした。

    老いも死もいつかは必ずやってくるもの。
    だからこそ、政と源のように心は若く元気でいられたら、それだけで幸せなんじゃないかと思わせてくれるいいお話でした。

  • 最高!ジジイ最高!!BLじゃなくてGL!!!生涯かけて愛したのは実はお前だった、、的な。運命の女はいるけどどの相手よりもお前と過ごした時間が一番長い、、的な(違います本編は至極真っ当な爺友情ものです

  • 70代越えながらもまだまだ元気(ときどき腰痛)な元銀行員の政とつまみ簪職人の源のふたりの、波瀾万丈?なエピソードをつづった基本笑えてホロリともくる連作短編集。
    政は妻と別居中で、連絡も途絶えがちながら様子を知りたくてやきもきしている。源は手前勝手に毎日を生きて弟子を精いっぱい叱り飛ばしながら愛して育てていて、ただその心にはいつまでも亡くなった妻がいる。そんなそれぞれの境遇を背景に、長い間ともに生きているふたりの絆、情の深さを軽いやり取りの中から感じ取れます。

    軽く友情、というものではなく、もう絡み合った鎖のようなふたりの関係には尊さすら感じるくらいで、うらやましさばかりを感じます。これだけ信頼しあえる関係は、望んでもたらされるものではないですからね。終わりを感じ始めるこの年ごろ、けれど先をまだ信じ楽しみに今を生きれるということは、なかなかできません。

    結構めちゃくちゃなエピソードもありはしますが(でも源さん素敵…)そうなれればいいな。という願いを抱けた、ほっと息がつける暖かな短編集でした。

  • …いい年のジイ様2人のてんやわんやに、ニヤニヤしっぱなしの一冊でした。そして、政のモノローグが、悶絶しちゃうくらい恥ずかしいっ!ソファで、のたうちまわりながら読了。他人事でフィクションだとゆーのに、恥ずかしすぎていたたまれず、1作ごとに休憩を取らないと読み続けられないという…(笑)。しをんさん、さすがです!なんで女性なのに、こーゆー心情を見てきたよーに書けるかな。

    つまみ簪が気になって、調べてしまいました。見たことはあったけど、名前を初めて知ったぞ。染色からやるのかー、大きさ違いの正方形でできてるのかー、お、ワークショップ面白そう( ̄▽ ̄)、なんて。

    挿絵がまたこっぱずかしいんだよね(笑)。ジジイが無駄にカッコいい!でも同じ破天荒ジジイでも、例えば須藤真澄さんが描くとなると、作品自体の質感が変わるだろうから…これはこれで良いのだ。巻末のオマケページで、蚊帳をたぐる源さんに萌えたのはナイショってことで。

    それにしてもコレ、雑誌Cobaltに連載してたんですねー…。

  • じじいコンビが主役というので、有川浩の「三匹のおっさん」を想定したけれど、これはこれで三浦しをんの世界の人情譚。
    政と源の掛け合いの面白さにサクサクと読めてしまった。それでいて、人生のほろ苦さ、人情の温かさがじんわりと沁みてきた。
    読み終えるのが、惜しい気持ちのまま最後のページを閉じた。
    ぜひ、シリーズ化されることを祈ろう。

  • 二人合わせて146歳の幼馴染、政と源。元銀行員で現在は一人で暮らしている、国政と、簪職人として働き、慕う弟子もいて、町内でも人気の源二郎。政は何かと意地を張り、源に嫉妬する。どこかうらやましがる。しょっちゅうケンカしている二人だけれど、人生の中でこんなにも仲良くできる、お互いを思いやれる友人を作ることができるだろうか。二人の関係がうらやましかった。

  • しをんさんが描くと、幼馴染みの腐れ縁の男の友情も生々しく、優しく、熱い♪ひがみっぽい政と、豪放磊落な源。それぞれ良いところと困ったところと。補い合ってるような、平行線のような、その距離感がとても心地よかったです。徹平とマミちゃんがいい味だしていて、素敵なキャラでした。何が良くて何が悪いかなんて今は分からない。けれど、何歳であっても生きている限りは色々あるのよね。二人で合計148歳。蕗代の態度には疑問を感じるけど、葉書を書き出してからの最後のスピード感はたまりませんでした♪少し解決が見えかけた最後でした。

  • 東京の下町に生きるおじいちゃんたちのお話。
    つまみ簪一筋の職人源二郎と、堅実な人生を歩んできた銀行マンの国政。
    幼馴染で正反対の二人が、反発しあいながらも互いを思い遣り憎まれ口をたたき支え合っている、とても温かいお話です。
    実は。

    二人のそれぞれの頑なさが愛おしくなります。
    それぞれの夫婦も、いろんな形の幸せのあり様を感じてちょっとしんみりしちゃった。
    若い二人もかわいらしい。

  • 思っていたものとは違っていたけど、とても良かった。タイトルがこうで、じいさん二人の話だというので、有川浩さんの「三匹のおっさん」みたいなのを予想してたのだった。まあ、そういうコミカルな面も十分あるのだが、これは少しビターな味わいのオトナの小説だ。有川さんのはファンタジーね。あ、どちらが上とかそういうことではなく、別物という意味で。

    国政夫婦のすれ違いが切ない。国政は、なーんにもわかってない。でもそれは、ああそうだろうなあ、そうなるのも無理はないなあ、ほんとにもうしょうがないなあと思わせる可愛げがあって、そういうところが、しをんちゃんは実にうまい。全編が国政視点での語りなのに、こんな風に複眼的な人物像をくっきりと描き出すのはたやすくないと思う。

    豪快な源二郎も、マミと徹平のバカップルもいい味わいだ。「つまみ簪」というのをよく知らなくて、ネットで見たら、まあほんとにきれいなこと!禿げ頭に少し残った髪を赤やら青やらとんでもない色に染めちゃう源二郎が、こんな繊細で可憐なものを作り出すというのが、また面白い。

    各章の扉と巻末に掲げられたイラストの作者は円陣闇丸さんといって、BLを読まない私でもきっとそうだろうとわかる、その世界の漫画家さん。これが華麗な絵柄で、国政も徹平もかっこいい!しをんちゃんはすごーく嬉しかっただろうなあ。

  • 70代の幼馴染の国政と源二郎の物語。さすが三浦しをんさん!読んでいて映像が浮かぶ。これも映像化されるのではないだろうか。とても面白くて一気に読んでしまった。

    読む前は、幼馴染のおじいさんの話なんて面白いのかと半信半疑だったけど、源二郎の弟子の二十歳の徹平の若さと対比させて、高齢者の孤独や苦悩や葛藤を明るくからっと描いていて面白可笑しく読んでしまった。読後感もとてもよい。

    文句や不満を言いながらも、仲の良い国政と源二郎の関係が羨ましく、微笑ましかった。友達っていいな。

  • ていうか、まかりまちがえば、BLにしたかった、とかですか(笑)
    しをんちゃんの趣味が丸出しで、愉快。
    軽いなーと思ったら、あ、コバルトに連載してたのか!知らなかったぜ。
    なんていうんですか、三匹のおっさん+まほろ駅+妄想÷3、みたいなそんな話でしたな。
    じいさんコンビがかわいくもあり、恰好よくもあり、よかですたい。
    ロマンスグレー万歳!!!!

  • じじいふたりの物語だけど、敢えてこのカテゴリ。

    どうしても有川浩さんの『三匹のおっさん』と比べてしまうのだが
    あちらとこの『政と源』では年齢がひと回りほど違うのと
    人数が3人とふたりという違いもあってなのか
    こっちのふたりの方が関係性が密接というか、言葉は悪いがちょっと淫靡だなと。
    イマドキの70代は決してじじいではないように見えるので
    来年の桜が見られるか気にしたりするのか、という気がなんとなくしてしまうのだけど
    考えてみればまさにその年代のうちの父がそんなこと言ってたなぁと
    しみじみと思ったりもした。
    その割に作中のふたりは元気だけどな。

    弟子の徹平くんとマミちゃんのバカップルのキャラもいい感じ。
    とはいえ、あとの方の口絵に出てくる徹平くんのビジュアルは
    文章で読んでいたのと若干イメージが違った。
    なんつーか、思ってたよりガタイがいいというかデカいというか(爆)。
    徹平というとどうしてもストーブさん(笑)が思い浮かんでしまうからか
    もっと小柄な子を想像してた。

    登場人物が思ってたより少ないかな。
    徹平くんとマミちゃんが結婚したところでこの1冊は終わるのだが
    この続き(彼らの子供の話とか)も読んでみたい気もする。
    『まほろ駅前』シリーズはまだ積んだまま未読なのだが
    何となく似た雰囲気なのだろうか。

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政と源の作品紹介

簪職人の源二郎と元銀行員の政国は、ふたり合わせて146歳の幼なじみ。ふたりを中心にまき起こる、人情味豊かで心温まる事件の数々。下町を舞台に繰り広げられる人情物語。三浦しをん、新境地!

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