政と源

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806854

感想・レビュー・書評

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  • 七十三歳同士の幼なじみの国政と源二郎コンビ。読んでいる間、ニヤニヤが止まりませんでした。いや、何度も吹き出しました。
    堅物な国政と破天荒な源二郎。全くタイプの違う二人なのに、なぜか気が合っている。本人も言っているけど、幼なじみでなければ友達にはなっていなかったであろう二人。
    「幼なじみ無線」で相手が困っていればビビッと感じて助けに行っちゃったり、見栄を張って嘘をついてもすぐにバレちゃったり。
    早くに奥さんを亡くした源二郎と、奥さんに愛想を尽かされ出ていかれた国政。源二郎の弟子の徹平と恋人のマミ。若い二人の世話を焼きながら(焼かれながら?)の江戸っ子な日常が読んでいてとても心地良かったです。
    国政と奥さんのくだりはちょっと切なくなってしまうとこもろあったけど、そんな時でも国政の心の声が面白くて面白くて、この心の声をしまっておかないで表に出していれば家庭が少しは明るくなったのかなぁなんて思ったりします。でも、そうできないのが国政なんだよね。仕方がない。だけど、奥さんに送るハガキ作戦でちょっと奥さんも国政のユーモアに気付けたようでよかった。
    ホントに笑えた!「こんこんちきめ!」がしばらく口癖になりそうです笑

  • おもしろかった!!

    つまみ簪職人の源二郎、元銀行員の国政
    東京の下町で暮らす2人は性格も生活も全く違うけど
    仲のいい幼なじみ。
    この2人の周りで起こるいろんなできごとを描いた
    男の友情物語!

    もうね、第一章の「政と源」の大立ち回りで心を掴まれた~!笑った~!スカッとした~!

    でもって、二章、三章と読み進めるうちに2人の人生や思いや友情がわかってきてじんわりきてしまった。

    いいな~こんなジジ友の友情!

    ラストは「あ~よかった!!」で終わるのもよかった~

    読み終わった後になんだかすっきりした気持ちになれる本です。

  • 大好きだったまほろの便利屋コンビが
    まるで
    そのまま老いたかの様な
    国政と源二郎。

    説教じみた台詞や設定なんか一切無かったはずだし、
    最後の最後までこの二人に
    泣き笑いさせられていた、と言うのに
    何故か
    政は良寛さん、
    源は一休さんに重なり、
    2人の僧侶が生き死にについて、
    誰もが納得する
    そんな深い話をしていた様な…
    気がしたのだが。

  • 堅物で融通も気も利かない政と、豪放磊落がそのまま歩いているような源。
    真面目に丁寧に生きているようでいて、不器用すぎる政。
    ガサツなようでいて、しっかりと踏ん張って生きている源。
    対照的なじいさん二人の周りで起きる色んな出来事。
    なんだかんだ言っても、源に救われっぱなしの政。
    じいさん同士の友情にこんなに清々しい気持ちになるとは。
    年季の入った友情に憧れる。
    気持ちのいい小説だ。
    自分はかなりの政タイプ。老後、そばに源はいてくれるだろうか。

  • 70代の幼馴染。源次郎は現役のつまみ簪職人。国政は元銀行員。2人は戦争、戦後に辛い経験を持つが腐れ縁とか言いながら互いを意識してきました。

    残り少ない髪の毛をいろんな色に染め自由に生きる奇特じじい・・の源次郎だが、なんだかんだと人に好かれ、堅実に生きてきたのにうまく人生が運ばない国政はちょっと僻みっぽく見ています。

    源次郎の元ヤンの若い弟子を客観的に見ていた国政も、次第に家族の様に関わっていくことになります。

    口コミで「有川浩さんの三匹のおっさんに似ている」というので手にしたが、最初から全然似てないなと気になりながら読み始めました。次第に別物と割り切れて、ようやく三浦しをんさんの世界に入っていけたように思います。人によって捉え方は色々なんだな~と、余計な感想を持ちました。つまみ簪の奥深さにも触れ、下町人情ある粋な本でした。

  • 東京の水路に挟まれた地域で生まれ、暮らす幼なじみ二人の老後物語。
    性格が待ったく異なる元銀行員の国政とつまみ簪(かんざし)職人の源二郎。
    73歳から年越して74歳になる二人の掛け合いが面白いと同時に自分が73歳になった時、どんな暮らしをしているのだろうかと想像しながら読んだ。
    交友が少ない国政と知り合いが多い源二郎。
    私は前者になるだろうか。その時、源二郎のような幼なじみがいればよいがと国政を羨ましくも思う。

  • 幼なじみの政と源二人合わせて146歳という高齢者域に達した二人。政はサラリーマンだったが引退すると暫くして奥さんが娘のところへ行くと言って出ていったきり帰って来なくて、離婚ではないが別居状態。源は伝統工芸のつまみ簪の職人で若い徹平という弟子がいる。

    弟子のことでろうとる二人が一肌脱いだり、男やもめの政を源が着ず買って一緒に飲んだりしながら友情と絆を深めていきながら、様々な思い出を思い出したり、今の時代の出来事を二人は一緒に生きていく。

    徹平が結婚することに成り政は仲人に頼まれ、行きがかりで受けざるを得なくなり、別居中の妻に会いに行ったり手紙を書いたりしながら仲人を二人でするよう頼み込む。

    そんな色々な出来事でそれぞれの思いや起こる出来事が三浦しをんの小説で坦々と進み、あっという間の読了でした。

  • 隅田川と荒川に挟まれた運河の町に住む国政と源次郎は73歳の老人で幼なじみ。元銀行員とつまみ簪職人という生き方も性格も風貌も違う2人が繰り広げる人情劇は「老い」という避けられぬ人生の重い部分を描きつつも、それを上回るボケとツッコミの絶妙なお笑いのセンス満載で物語の中にグイグイ引き込まれる魅力を感じました。生真面目に銀行で馬車馬のように働いてきた末に妻や娘たちにそっぽを向かれてしまっている政は、愛弟子に職人技を伝えつつ我が道を自由に生きる源を始終羨ましくも妬ましくも思うところがとても切なくて、でも結局、源と弟子の徹平に振り回されながらも彼らを応援して、己の生き方を振り返り、最後は穏やかな心境を探し当てていく過程がとても心温まりました。
    スカイツリーができる前のお話しなのでしょうか。物語の舞台をいつかじっくり訪れてみたくなりました。

  • 下町の簪職人源二郎と、元銀行マンの国政は現在73歳の幼なじみ。
    妻を早くに亡くした源二郎と、妻に出ていかれた国政の日常。…

    挿絵の雰囲気がちょっと違うかな、とは思いつつも、自分の中でイメージを膨らませながら、源さんと政さんとの時間を楽しみました。

    下町の頑固オヤジ達。
    人情に熱く、素直でないのも魅力です。

    お弟子さんの徹平くんもいい味を出しています。
    彼らの結婚式の仲人のために、政さんが奥さんに書送り続けた葉書がいい。
    離れていても家族。
    政さんも奥さんも、願っているのは家族の幸せ。

    なんとも暖かな優しい作品でした。

  • 淡々と情味溢れる話しが続いた後で、最後の披露宴のシーンがカオスすぎて、笑いをこらえきれなかった!最後は少しほろ苦いのが、三浦しをんだなー。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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