- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087807288
作品紹介・あらすじ
極端な右(過激なナショナリズム)と極端な左(対案なき批判)ばかり目立つニッポンの言論。どちらの「バカ」にも肩入れできない良識派におくる、好評既刊『不愉快なことには理由がある』の続編!
感想・レビュー・書評
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ヒトは、めんどくさい事を避けたがる。すぐ答えの出る直感に頼るのが楽でいい。直感で得た答えは、自分にとって都合のよいものであるように正当化し納得する。都合が悪そうだと排除しようとする。それがバカということで、ヒト(生き物)の本質。自分がバカだと思っている人から見ると、自分もバカ。世の中バカが多い訳だ。
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「はじめに」の部分で著者が民放テレビのディレクターに言われた「僕たちは昼間に働いていないバカに向けて番組を作っている」旨のことを言われたことを引き合いに出し、今ではメディア全体がこのニヒリズムに覆われていることを憂いている。著者の定義に従えば、バカとはファースト思考(直感でしか物事を考えられない)しかできない人たちとし、真実を見れず、メディアが捏造を伝えたり視聴者に好まれる番組作りをしているなど、社会の様々な問題を紹介している。スロー思考(じっくりと問題の本質を理解し、)ができる人に一緒になりましょうと説いている本。
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今年のわたしのヒットですね。
限られた文字数の中でとても綺麗にまとまっている本。
進化論や経済行動学をベースに、この世の中の事柄を斜めからみたご意見が詰まっています。
普段何も考えずにニュースを鵜呑みにする方たちには目から鱗ってやつかなと思いますが、そもそもそういう人はこの本を手に取らないかな・・
独断と偏見がありつつも、同意できることもたくさんあり、著者の博識の素晴らしさを感じます。
わたしもバカになりたくない、バカから脱したい。
歴史をあまり知らないわたしにとって、とても良い本でした。今のわたしのミッションに必要な知恵をたくさんもらえたと思います! -
橘玲の本はこれで3冊目になる。いずれも、世の中、社会の出来事を冷静に、多面的に、そして歴史や人間の精神構造にも踏み込んで分析をしている。昨今のマスコミ報道では、常に正義を振りかざした感情論が中心となり、そのことを喜んで見てしまう自分にいつも自己嫌悪を感じているので、橘氏のこのような本を読むと、様々な社会での出来事の本質がわかったような気がして、少し自分が成長したような気になる。
何が正しいのか、正解なのか、もしかしたら自分の考えも、様々なバイアスがかかって、いわゆる本書でいう「バカ」な人の考えになっていないか・・・読了後そう思わざるをえない自分がいた。 -
世の中にはいろいろな正義がある。貧しい人を生活保護で助けるのが正義なら、増大する社会保障費を抑えるのも正義だ。原発は危ないから廃止するのが正義なら、原発を稼働させて電気代を下げるのも正義だ。
問題なのは、それぞれの正義に優劣がないことだ。絶対的な正義のヒーローは子供社会にしか存在しない。大人たちは自分の信じる正義に反対する「バカ」とどうやって共存し、理解し合うのか。自分の考えと異なる正義とある程度の妥協をすることが大事だが、ややこしいのは正義の裏に「不愉快な事実」があることだ。
著者は、NGOによる難民への人道支援を一例に上げる。援助物資を届けるNGOの裏にはスポンサー企業がいる。NGOはスポンサーにアピールするため、報道機関と交通機関が整備された土地でしか活動しない。さらに五体満足な難民たちより手足のない子供がいる難民たちへの救済活動のほうがアピール度は高い。その結果、支援は偏ってしまう。
こうした正義の裏を知りつつ、「バカ」にならないよう努力しようというのが著者の考え。 -
橘玲さんの本は必ず全部読むようにしていますが、この本も独特の視点から書かれており、面白い1冊に仕上がっていますね。
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冷徹な現状認識から出発し、社会構造のシステムエラーに迫ったいつもの橘節。
○近代の啓蒙主義者は、「バカは教育によって治るはずだ」と考えました。しかし問題は、どれほど教育してもバカは減らない、ということにあります。だとしたらそこには、なにか根源的な理由があるはずです。
○ブラック企業問題の本質は、「正社員は過剰に保護されているのだから会社の無理難題を受忍すべし」という日本的な雇用慣行にあります。"世界標準"の労働制度は同一労働同一賃金で、正社員と非正規社員の「身分格差」は差別であり、サービス残業は「奴隷労働」と見なされます。
目次から
・「人間力」はうさんくさい
・マリファナも売春も合法化が進んでいる
・"ブラック政府"はブラック企業を指導できない
・「公営住宅をもっとつくれ」という奇妙な理屈をふりかざす人たち -
●フェアトレードに参加すると農家が損をする
倫理的認証団体は小規模農家まで個別に認証しているわけではありません。そんな事は物理的に不可能ですから、地域ごとに協同組合を設立して、組合が商品の品質を保証した上で(スターバックスやマクドナルドなどの)大口顧客に販売します。「農家が個別に価格交渉するよりも集団で交渉した方が有利だから」です。
ところが、タンザニア産のコーヒー豆が国際市場で5ドル/キロを上回る史上最高値を記録しているにもかかわらず、フェアトレードに参加する農家が受け取っていたのは1.38ドル/キロだけだったのです。これはフェアトレードが「公正な価格」とする2.81ドル/キロの半値以下です。
なぜこんな「不公正」なことが起こるのでしょうか。
それは共同組合が現地の有力者に支配され、彼らの人件費や管理費等の名目で農家を搾取しているからです。それなのにフェアトレードは協同組合がないと事業が継続できないため、こうした不都合な事実に気づいていても目をつぶって放置しているのだといいます。 -
時事評論である。ほんの少し前なのに随分変わった気がする。これからも続けてほしい。
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政党、マスコミ、NGO等々へのシニカルな見方。全てダメダメでは何もできないのだが。。。