なんていいんだ ぼくのせかい

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 328
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087815122

感想・レビュー・書評

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  • 読んだ後の感想が毎度おおいに分かれる、荒井良二さんの作品。
    表紙を見ても分かるように、まるで子どもの落書きのようにさえ見える。
    ところが、この絵の持つ訴求力が並ではない。
    原画展に行ったことがあるが、それはそれは大胆に、かつ繊細に塗り重ねられていて、
    それは絵に込めた荒井良二さんの願いのようなものなのだと思い知るに至った。
    さて、この作品に込められたものとは?

    【ちいさな いえに こどもが うまれた
     こどもが こどもが こどもが 生まれた】
    そんなリズミカルな繰り返しで始まる1ページ目。
    声を出して、歩き出して、広い世界に出て行って、成長していく。
    その間、【なんていいんだ ぼくのせかい】とたびたび繰り返される。
    驚きと喜びで満ち溢れたこの世界をすべて肯定して、確かに私たちも成長してきたはず。
    ここの、生の躍動感にあふれる絵の力強さに、圧倒されてしまう。
    しかし、このあと突然こどもが泣く。水色の涙をたくさん流して。
    戦争か、いわれのない暴力か。
    感動するのはこの後で、小さな拳を振上げて立ち上がった子どもは、なおこの世界を肯定していくのだ。

    細かな説明は一切なく、手書き風の文字はあくまでも絵を補填するだけの役割。
    絵本で表すには大きなテーマなので、抽象的にならざるを得なかった感がある。
    感性に訴えるシュールな作品なので、読み聞かせには難しい。よって、星4つ。
    (でも、高学年向けに読んでみたい誘惑にかられる。)
    約4分半。
    小さなお子さんに読み聞かせる前に、お母様はこっそり先回りして読んでみてね。
    繰り返し部分が多いので、そこの読み方がミソ。

    • imogenさん
      nejidonさん、こんにちは。
      色の洪水のような荒井さんの絵にひかれて、いままで何冊か手に取っているのですが、実は内容がとても難しい~。
      ...
      nejidonさん、こんにちは。
      色の洪水のような荒井さんの絵にひかれて、いままで何冊か手に取っているのですが、実は内容がとても難しい~。
      「はっぴいさん」は表紙の黄色が好きで求めたものなのですが、はじめさっぱりわからず、時々読み返しながらだんだん好きになって、もう何年もたつのですが、やっぱりまだ難解だと思ったりします。
      地元の美術館で開催された原画展に私も行ったのですが、大胆なのに同時にとても緻密な、求心力の高い絵世界なのにあらためておどろきました。
      荒井さんの絵は可愛いのでいっけんとてもキャッチーに思えるけれど、願いや祈り、といったものが込められているとのご指摘に密度の高さに納得した思いがしました。

      原画展の帰りに「さるのおいしゃさんとへびのかんごふさん」を一冊いただきました。そちらは少し雰囲気の違う、大笑いしちゃう作品なのですが、両方すきです。
      この作品もぜひ読んでみますね。
      2013/04/27
    • nejidonさん
      imogenさん、こんにちは。
      拙本棚をフォローしてくださってありがとうございます。
      コメントもいただき、とても嬉しいです!
      荒井良二さんの...
      imogenさん、こんにちは。
      拙本棚をフォローしてくださってありがとうございます。
      コメントもいただき、とても嬉しいです!
      荒井良二さんの作品は、まずあの色彩に眼をひかれてしまいますよね。あまりにも鮮やかで。
      そして、とことん無駄を省いた文章。
      なので「??」となるのは仕方が無いかもしれません。わたしもそうなのです。
      強いメッセージを伝えたいがゆえの、あの色彩・あの文体と思えば、考えるよりは【感じる絵本】と言えるかもしれません。
      絵が写実的で美しく、文章も練り上げられたものが優れているという、従来の絵本作りのセオリーを無視していますので、いわば【絵本のロック】のようなものです。
      数十年後には、どのような評価になっているのでしょうね。それが楽しみです。
      原画展に行かれたのですか。
      では、同じ会場でしたら、お会いしていたのかもしれませんね(笑)

      「さるのおいしゃさんとへびのかんごふさん」は、子どもたちに読んだ後とても印象的な出来事がありました。
      私の紙芝居の舞台をヨイショ!と持ち上げてセッティングしてくれた男の子が「はい!じゅんびは ととのいました」と背筋を伸ばして言ったのです。
      今読み終えたばかりだと言うのに。
      子どもの学習能力の高さに、眼を見張ったことでした。
      2013/04/28
  • 仕事中手に取り、何気なくページをめくる。思いがけない世界が広がる。あぁ、子どもってそうだよ、外へ外へ向かっていくよなぁ、あぁ、ふーちゃんはそんな子だったなぁと2度と彼女が味わえないことだと思ったら涙がこぼれた。仕事中なのに。でも気がついた、これは自分だ。「再生」のストーリーなんだ。

  • 純粋な子供の世界。絵も発想も、何の縛りもないようなかわいさ。
    自分の世界がいいと思える子供が全てではないというのを知っているからこそ、これも一つの才能で個性だ。

  • ちいさないえに こどもがうまれて わらって ないて わらって うまれて
    それから それから

    ぼくのせかいがつづけば、いいな。

  • これ、いい本です。
    妻が「息子に贈る!」と言っていました。
    息子は大学2年生です(笑)

  • 全ての絵がポストカードにできるような美しさ。「なんでいいんだ ぼくのせかい」という言葉が表すとおりの素晴らしい世界と、「それから〜こどもがないた」から始まるシーンのように確かな残酷さや暴力性があることのどちらも描いているところが好き。

  • なんとか手に入れて手元におきたい。

  • 私を絵本の世界に導いてくれたきっかけの作品。
    この世界に生まれてきて感じたいことって、きっとこれだけなんだよね。
    どんなことがあっても、「なんていいんだ ぼくの せかい」って思える生き方をしよう。
    いつだって、今ここから、始められるのだから。

  • 子どもの声が、いつも「なんていいんだ!」と言う世界を、大人は守らなくっちゃなぁ。

  • まあ、生きてるってことはすてきなんだろうな。

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著者プロフィール

1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を、『こどもたちは まっている』で日本絵本賞を受賞するほか、2005年には日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得る。また、NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストを担当、2018年まで「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」芸術監督を務めるなど、その活動の幅を広げている。

「2023年 『みんなたいぽ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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