- Amazon.co.jp ・マンガ (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087826531
作品紹介・あらすじ
日高先生にしごかれて美大受験を乗り切った明子。夢に近づくはずが…? 少女まんが家を夢みたあの頃を描くドラマチック・メモリーズ第二弾!
感想・レビュー・書評
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漫画家になりたくて美大を志望している明子。南国・宮崎の高校に通う傍ら、エキセントリックな絵の先生、日高先生のスパルタ特訓も受けている。
離れ技の、ヤマカンを駆使するテクニックを使って、センター試験でまさかの高得点を取ることに成功。一次試験重視の大学を本命視し、実技重視の北陸の大学は観光半分のつもりだった。
一次重視の大学の実技試験が先に終わり、実技重視の大学を受けに来る。だがなんと、試験期間中に、わざわざ日高先生が「お前は最初に受けた大学に落ちた!」と電話してくる。ショックのあまり、試験課題に身が入らない明子。おまけに周りの子は格段にうまい。
当然落第だろうと泣く泣く地元に帰る。日高先生は先生なりのやり方で励ましてくれた。が、元はと言えば、先生が余計な電話をしてきたから、と明子は怒り心頭。泣きながらケンカして大騒ぎである。
・・・だがなんと、絶対落ちたと思っていた大学に、明子は受かっていたのである。
さぁ、それでめでたしとなりそうなところだが、故郷とは段違いに環境の整った大学で、明子ははたと描けなくなる。
この色でいいのか。この線でいいのか。1つ迷うともう後が続かない。
そして彼女は---なんと、遊び倒すアホ大学生になってしまうのである。
その遊びっぷりはアッパレというべきで、やはり何かに抜きんでる人というのはいろんな意味で出来が違うのだ、と変に感心もするのだが、親も先生もたまったものではないだろうな、とも思う。
ともかくもそんな調子で日々が過ぎる。ある日、突然、日高先生が宮崎からやってくるのだが・・・。
後年、明子は母校の美大に講師として呼ばれる。学生の頃は漫画はどこか見下されていたものだが、今や立派なアート。そこで懐かしの旧友たちに再会もする。
実は明子は、そもそも美大を志望するのは漫画家になりたいからだ、と日高先生には打ち明けられずにいた。それはおそらく、先生の絵への姿勢があまりに真摯であるからだろう。だが、先生が真摯であればあるだけ、自分がその真摯さにきちんと向き合えていたのか、そのことが大人になってからも棘となって刺さり続けている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美大受験をどうにか乗り切った明子。森を抜けた先には広い海が広がっているはず。しかし、絵を描くには最高の環境で、明子は絵を描く意味を見失ってしまう。雪に染まる金沢で、彼女は白いキャンバスの前に立ち尽くす…。
美大時代を赤裸々に綴っていて、描いている先生と同じように「わー!」と胸を掴まれるよう。ぼくも大学に入ってやることを見失ってた時期があって、それを思い出した。ぼくがお世話になったフランス語専攻の先生は、明子が出会った先生と同じぐらい純粋で良い人で、あの先生が居なかったらぼくは卒業できてなかったかも…。
「焦って描けば描くほど キャンバスの上の色がどんどん濁っていく 先生の言う通り 絵っていうのは描く人間の心の中がそのまま出ちゃうんだ」
絵は自分を映し出す鏡みたいだなって感じた。言葉以上にありのままを伝えてしまう言葉。絵はこだわろうと思えば果てしないし、描いたものが正解かもわからないし、心を削ってキャンバスにのせていくような作業なんだろうね。
固まった絵の具となっていた明子の心を溶かすように、ただひたすらに絵をこだわり続ける日高先生。厳しいだけじゃない絵へのひたむきさ、誠実さがひしひしと伝わってくる。
「ねえ先生 私はまだもがいてる途中だよ いつまでたってもあの時のままだよ」という現在の東村先生の言葉に、のむらしんぼ先生が「いつになれば楽に描けるようになるんでしょうか!?」と『ドラえもん』の藤本先生に問いかけたことを思い出す。その答えは「私なんか20数年描いてきて─、いまだに苦しんでいますよ」だったという。読者を楽しませるマンガを命を削りながら描く。描く人は本当にすごい。 -
漫画家というのは身を削り、心をすり減らしながらも切り売りする難儀な職業だと思うが、その中でも東村アキコ氏の精力的な活動には目を見張るがその根底に息づいている熱量が過去を知る事で何となく分かった気がした。満足しない心、妥協しない行動にもがき続ける信念。そこには、先生から教わった教えと先生への後悔、無念。そして、自分に対しての不甲斐なさと申し訳なさが入り交じる罪悪感。この漫画は先生に対する贖罪とともに名作になる事で幼かった過去の後悔への清算へ繋がれば良いなと一読者として感じた。って言うか、先生は生きてんの?何か最後の方で、今も元気に生きてますーーって感じのどんでん返しみたいな事やりそうだな〜。それはそれで嬉しくなちゃうし、それでも良い。亡くなっていても死して尚も東村アキコ氏を叱責する不器用な優しさを持った愚直な先生の姿が浮かびますよ。先生の安否と共に次巻が気になりますね。
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cocohanaが創刊された時、数か月購入していて、その時チラッと読んだ記憶が・・・。
でも、「ママはテンパリスト」のぶっとんだ絵の印象が強く、そんなに真剣に読んでなかったです・・・ごめんなさい。
こんなに真剣に絵を学んだ方だったのですね。
暴言を吐いて、スパルタしつつも「絵を描く」ことを真剣に教えてくれる「先生」。すばらしいです。
作者はとっても幸せです、こんな先生と出会って。と、
羨ましくなる話です。
でも、きっとこの感じでの続きは・・・。 -
わかるなあ。
もちろんエピソードは全然違うけど、「なんで私はあのときあんなこと言っちゃったんだ」とか「あんな行動をとっちゃったんだ」とか思い出して「わーーーっっっ!!」ってなる気持ち。
誰にでも一つや二つ、あるのではないでしょうか。
取り返しのつかない過去だからこそ、そうなっちゃうんだよな。
「○○になったら(この場合、大学に入ったら)、これもやってこれもやって、がんばるぞ!」なんて思ってても、実際その立場になっちゃうと遊んじゃうってのも、私もそんな感じだったからわかる。
年を取ると、「もったいない……」と思うんだけどね。
この巻は今ちゃんのノストラダムスと金子さんのマウンテンパーカー(懐かしい!)がおもしろかった。 -
ああっ、ほろ苦い! ほろ苦い!
そうですよね、若いころってそうですよね…。
どんどん続きが気になるこのお話。さすがです。 -
娘を美大にいかせたくなくなる本w
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日高先生…!!後半せつないです。
大学に入って浮かれ遊びまくってしまう明子の気持ちも分かるけど…。
3巻楽しみでしょうがないです。
日高先生と関係修復してくれてたらいいなぁ…!! -
3巻が待ち遠しい2巻です。
やっぱり面白いなー
夏休みの課題を描いてるときが印象的
先生が金沢に来られたときには胸が苦しくなりました。