- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087850086
感想・レビュー・書評
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母の本棚から拝借してハマったシリーズ。
ダブルヒロインもので、主人公のキャラクターが秀逸!
女王さま気質の咲久子と思慮深い卯乃。
女性という立ち位置を存分に使って上へ行く咲久子と女性の権利を真っ向から勝ち得ていこうとする卯乃。正反対の2人の生き方なのに、2人の道は離れずに近くにいます。そして敵対することもなく、強い絆で結ばれています。
女王さま気質と書きましたが、咲久子の存在は本当に魅力的。存在や行動に嫌味や粘着質なところがなく、いついかなるときでも気高い女主人であります。同性から見てもかっこいー!という感じです。
対する卯乃は今をときめく女性新聞記者。咲久子の上流階級側を俯瞰する存在としての立ち位置です。
卯乃パートではかなりしっかりこの時代の女性の生きづらさ、低い立場、粗雑な扱いなどが書き込まれており、この物語の主人公はこの時代を生きる“女性自体”なのだなあと思わされます。
関東大震災に戦争と激動の時代の最中ですが、日々の描写は美しく、2人の友情も取り巻く人々の生き様も読みごたえ抜群です。
良作な女性の一代記でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「女は太陽だった」とは平塚らいてうの有名な一節です。大正〜昭和という時代のなかで、それを早くから自覚して生きぬいた二人の女たちの物語。平民と貴族、全く違う生き方でありながら、いつどこにいても誰よりも強い結びつきを持つ二人にあこがれ、また太陽としての女性の生き方に共感しました。脇をかためる美形キャラクター達も、すごく魅力的です。
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3巻以降から先に読み始めるという不規則なことをしてしまったのですが、ようやくストーリーというか南部佐久子の生い立ちが理解できた。面白いです。市川ジュンさん・・・昔から知っていたけどこの手の作品はとても好き。
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読了:2011/4/11
うわー、おもしれえ!早く続きが読みたい。
対談集「あのひととここだけのおしゃべり」の三浦しをんさん×よしながふみさんの対談で触れられていたので読んでみた。よしながさんて漫画の内容を説明するのがほんとにうまい…。昔から、友達に説明するためにあらすじを語る練習?をしてきたとのことだけど。
二人の主人公、どちらにもそれぞれの魅力があって好きだ。
あと、境遇は悲惨なんだけど二人の性格に悲壮感がないってのも読みやすい理由かも。
咲久子の辛辣さ加減といったら。
「まったくガキどもときたらぴいぴいきゃあきゃあ/まだそんなにおっ母さんのおっぱいが恋しいのかい」
「あなたみたいにおっぱいから離れて長ーいひとにはわかりません」
ここの表情がまたいいんだなぁ。
自分の魅力を自覚して武器にした人。言論という武器をたずさえた人。さてどうなっていくんだろう。 -
こういう強さを持って生きたかった。
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図書館の本
内容説明
大正8年。東北から、東京の紡績工場で働くために出て来た少女たちの中に、没落旧家の娘・咲久子と、貧農の娘・卯乃がいた。やがて咲久子は資産家の養女として、卯乃は婦人記者として、それぞれの道を歩きはじめる。ふたりの女の怒濤の半生を綴った荘厳なる大河ドラマ! -
女性というものが影におしこまれる事が多かった時の話というか。きつい時代を逞しく生きてるヒロイン2人の友情が又いいんだ。
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結構ヘヴィーな昭和史漫画。これは全年齢の女性に読んで頂きたい。そして共感や反感を持って頂きたい。女工哀史や男尊女卑、関東大震災、共産思想もなんのその、強烈な自己と自尊心をもって生き抜く二人の女性の逞しくも切ない話。映像化するならNHK大河でお願いしたい。視聴率も気にせず、予算も人気も気にせず忠実で華麗な映像化を。ヒロインの一人は奔放に、もう一人は地を踏みしめるように。全く違う二人だけれど、固い絆で結ばれているヒロイン達の友情が素敵なのです。一条ゆかりの『女ともだち』に通じるものを感じる。作品完成度としては超一級品。