かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087920048

作品紹介・あらすじ

まんがの仕事に邁進する明子。余命四か月を宣告された日高先生が明子に伝えたかったのは… まんが家・東村アキコのドラマチック・メモリーズ万感胸に迫る最終巻!

感想・レビュー・書評

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  • 全巻読みました。
    涙がこぼれました。
    正直、作者の絵は乱暴であまり好きではないシーンもありました。
    でも、「先生」は、すごくすごく綺麗に描いてあるように感じました。
    そして、少しでも絵を描いた(遊びでも、学びでも、仕事でも)人にならわかる、描くことの悩み。
    でも、そこには「描く」以外の抜け出る方法は無い。
    作者の「描く」気持ちの真摯さに、本当に衝撃を受けました。
    そして、その「描く」気持ちを育んだ先生。
    本当に素晴らしい。人にそれだけの気持ちを持たせられるって。
    先生の人生をかけた一言「描け」に涙がこぼれました。
    人の思いの強さ、そしてそれを伝えようとする作者の強い意志に打たれました。

  • 「要するに何が言いたいかと言うと
     結局私は教室を継がなかったと
     先生を助けなかったと
     そういう
     酷い話なんです これは」

    「要するに私は 先生を見捨てたも同然ってことです」


    最終巻。
    アキコは酷い生徒だったことは間違いないけど、先生がいい生徒であることを望んでいたのかどうかは別問題かなと思う。
    とにかくこれが漫画家東村アキコを形作る人生の一部であることはよくわかった。
    そして結局は徹頭徹尾、後悔とノスタルジーの物語だった。
    心地よくてあまにがいノスタルジーの物語だった。



    「ねえ 先生
      私の  先生」

  • この巻の、今ちゃんの回想が、描きたかったすべてなんだろうなあと思いました。
    今まではそれの長い長い前ふりだったんじゃないかと思うほど。

    一貫して先生、そのこと言ってるもんなあ。
    熱い先生だったんだ。
    こんな先生、いまはもうどこにもいないんじゃないかなあ。
    生徒さんたちがうらやましい。

  • 【あらすじ】
    まんがの仕事に邁進する明子。余命四か月を宣告された日高先生が明子に伝えたかったのは… まんが家・東村アキコのドラマチック・メモリーズ万感胸に迫る最終巻!

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    最終巻、どうしても我慢できなくて涙があふれてしまいました。しかも家族みんなが集まっているリビングで。気づかれないように隅っこにいましたが、もし見つかってたら「お父さんどーした!?」状態でした。こんなに「涙がこみ上げてきた」感覚になったのは久しぶりです。

    日高先生のように、自分の意志に実直で、理不尽で、でも助けてくれるときも全力で…っていう「自分にも他人にも厳しい」タイプの人って、どんどん減ってますよね。今の世の中は柵が多すぎますし、誰もが余裕がなく自分のことで手一杯なので、どうしても無難な振る舞いになってしまうのだと思います。
    東村さんは日高先生に出会って苦労もされたでしょうが、東村さん自身がとても幸せなことだと感じているのがひしひしと伝わってきました。先生を助けてあげられなかった言い訳を並べまくって強がって…でもやっぱり後悔の念が拭い切れなくて、何であのとき、先生のために行動できなかったのかと考えてももう何もできない…そんな気持ちが読んでる側にもすごく伝わってきて、涙腺がダメになってしまいました。

    自分も誰かにとっての「日高先生」になれたらと思いますが、それはとてもエネルギーのいることだと思います。周りの全てに全力を注ぐことはできません。でも、誰かの一生に爪痕を残してみたい。そう思えるぐらい、日高先生を羨ましく思ってしまいました。

  • 若さゆえ(?)の痛さ。いまでも感じる痛さ。
    感情と後悔とバカさをうまく話の流れに乗せた。見たくない自分を見てるようで、つらいけど、多くの人が共感できることは分かる。

    先生のことば、力強い。

  • 素晴らしかった。
    先生の事を「描きたくない」、漫画を描く時以外は考えないようにしていたと作者が言っていた理由もわかる。読んでいて、作者の後悔が自分のことのように突き刺さる。
    最期の時間をたくさん関われていたわけではなかったけれど、それでも先生の教えや言葉が心の中に色濃く残っていたんだと感じた。
    「描け」という言葉、空を背景に語りかける主人公のモノローグに胸が締め付けられ、涙が止まりませんでした。あとがきもよかった。

  • 故郷を離れ、大阪で、漫画家として忙しく楽しく充実した日々を送る明子。
    明子に届いた衝撃の知らせは、故郷の絵の先生・日高が肺癌で余命いくばくもないというもの。絵画教室には今年も美大の受験生が大勢いる。日高先生は明子に、帰ってきて塾を手伝えというのだ。
    ともかくも、一度、明子は故郷に帰る。
    だが、日高先生は思ったよりも元気そうだった。一方、漫画の方は長い巻頭カラーの仕事も入り、切羽詰まった状態だった。明子は後ろめたさを感じつつ、大阪に戻ることにする。
    そのうちに大学時代の彼氏も卒業して大阪で就職することになる。2人で一緒に暮らし、しゃかりきに漫画を描き、〆切が終われば漫画家仲間とパーティーをし、という怒涛の日々。
    気が付けば先生のことは思い出さなくなっていた。

    後悔はいつも、間に合わない。
    無敵に見えた先生もスーパーマンではない。
    病は確実に進行し、逃れようもなく別れの時は来る。
    先生が亡くなった知らせが来て、故郷に帰った明子は、教室の後輩から、先生の最後の言葉を聞く。

    先生は最初から最後まで明子に絵を描かせようとし、一方で、明子は、漫画を描くことしか頭になかった。
    若干ねじれた師弟関係だが、それでも日高先生のシンプル極まりない教えは、明子の背骨を作っている。
    描け

    徹頭徹尾、先生の教えはこれだった。
    竹刀でバシバシ叩かれながら、理不尽さにひぃーひぃー泣きながら、来る日も来る日も描く。時代遅れとも言われそうな、そのスパルタな日々が、その後の支えとなる。
    辛いときも、苦しいときも、「描くことに救われ」てきた。
    そう言い切れることが、日高先生が明子の師であった証であるのかもしれない。

  • この人は育児系コメディ?漫画が
    大ヒットしたらしいんだけどまだ読んでない。
    ママはテンパリストってやつね。
    子供でも出来たら読んでみようかな?

    かくかくしかじかは、この人が漫画家になるまでの人生が描かれてる漫画。
    その心理描写が正直で切ない。

    若気の至りというか、
    若さゆえの判断というか、
    もう一方でこういう選択肢もあったかもしれないってちょっと振り返っちゃう感じ。
    だからと言って、戻りたい訳でも、もう一方の選択肢を取りたかったって訳じゃないんだけど
    何となく時々思い出しては自分で切なくなるような、何とも言えない気持ちになるってやつ。

    何と言うか、多かれ少なかれこういう気持ちを味わった事がある人って多いと思うんだよね。

    若い時にはみんな経験してると思う。

    この漫画家の師匠とも呼べる先生がさ、あまりに純粋過ぎて。
    それが気持ちに辛いよねぇ。

    それでいて、絵画って、芸術じゃない。
    同じ描くんでも、漫画が芸術かと言われればNOではないけどYESでもない、みたいな。

    今や漫画もクールジャパンの文化の一つで、
    漫画の影響力たるや凄い物だけど、
    じゃぁゴッホとかピカソとかの域に行き着けるのかと言われれば難しい問題で

    しかも作者本人が漫画が描きたい!漫画が!ってなれるほど一本なら
    ここまで悩まないし、切ない思いもしなくて済んだのだろうけど
    絵画芸術にも心惹かれるものがあるから余計に先生の純粋さが辛いんだよね。

    しかもさ、芸術とか才能ばかり追い求めて大した芽も出てなく
    ただ歳ばかり取ってるような絵描きだったら作者もここまで心酔しなかったと思うんだけど
    この先生のすごいところがまた、絵描きなのに妙に現実主義というかね。

    絵画教室で生計を立てて、生徒をしっかり美術大に入れる
    あの熱意と、芸術とは裏腹な根性論とその理念がまた斬新で
    スポ根に通じる物があったよ。

    先生は人生の最後までドラマチックだった。

    作者は自分の漫画が売れ始めたところだったから
    必死でなりふり構わず描きまくっていた頃で

    あの時、先生と最後に会話出来たらって思ってたみたいだったけど

    そんな事先生は何一つ気にしてないんじゃないかなぁと思ったよ。


    もちろん来れるのだったらそりゃ嬉しいだろうけど、
    『とにかく描け!』が口癖の先生がさ、
    漫画と言えどあれだけ作者が我武者羅に描いてたんだから
    それを知ったら嬉しいと思うんだよね。

    芸術作品でも、漫画でもそういうのは関係ないと思うんだよね、私は。

    そこに向ける熱意に上下の関係はないと思うから。
    一生懸命に、ひたむきに、向かっていくのは同じ事だと思う。

    そんな事すらも先生と言う人は、考えてなさそうだな、と思った。

    だって先生だってどんなに描きまくったって、
    大芸術家になれてるわけではないじゃない。

    だからそういう事じゃなくって
    先生は人生そのものがもう芸術になっちゃってるから
    他人にも描く事を強要しないというか。

    描け描け、とは言ってるけど、じゃぁ描かなかったからって
    それを責めたシーンって一度も無かったよね。

    そこが凄く良いなって思った。

    作者もそうだけど、みんな、その先生の純粋な描く事への熱意に惹かれる反面、
    それに付いていけない後ろめたさというか、葛藤があったと思う。
    若さゆえに新しい世界への誘惑や、挑戦に心惹かれて
    そこに時間を傾けてしまうのも当然だと言えるし、

    何せ終始この心の葛藤というか、これが切なかったね。


    いわゆるモラトリアム期間をちょっと後悔出来る人には
    是非読んでほしい作品。


    私も、もっと有意義に過ごせてたらなって
    今の人生に後悔はないけど、
    でもあの時間を無駄に過ごしたような気持ちは十分に共感できるので

    しみじみと余韻の残る良いマンガでした。

  • 今年のマンガ大賞一位を獲ったそうです。だから、ネットカフェで5巻一気読みをしました。

    宮崎の田舎で漫画家志望の高校生がたまたま出会った町の美術塾の熱血先生に鍛えられる。約10年間に渡る、私小説風、ギャグ脚色系の交流物語。

    マンガ大賞獲った以上は、映画化(テレビドラマ向きではない)されるかもしれない。しかも実写でしかあり得ない。

    普通の受験とは違う美大受験の面白さや、仕事がチョー忙しい時に限って、マンガが作れてしまったというエピソードとか、いろいろ「あるある感」を出しながら、最後まで真面目に「美術バカ」に徹した、無名の美術家の半生を描いている。「悪くはない」作品でした。ただこれを一位に選んでしまう現代の「若い」選者たちの感性の方が私には気になる。彼らは、それ程に「自分を見つめた経験」がないのだろうか。このような、自分に決定的に影響を与えた一瞬や人物のことを考えるのに、マンガしか手段はないのか。もっと長く長く友人と話し合うとか、小説を読むとか、そんなことをしないのだろうか。

    繰り返すけど、作品が悪いわけではない。
    2015年5月11日読了

  • 東村さんは先生を失ってからこの作品を書いてたわけで。
    1巻から先生がもういないのはわかってたから、東村さんはもうこの世にいない先生に向かって呼びかけ続けてたから、この作品読んでるときはなんだか切なくて苦しくてずっと泣きそうだった(それを重くさせずギャグシーンも入れるのがこの方は本当にうまいのだが)。
    んで最終巻、作中の日高教室のみんなが泣くとこでこっちも泣いたよね。
    最後までいつも通りの先生。格好いい先生。
    東村さんの呼びかけが先生に届きますように。

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著者プロフィール

日本一筆が速い漫画家。その活躍分野は少女マンガから青年漫画まで、恋愛マンガからギャグ漫画まで多岐にわたる。

「2017年 『東村アキコ完全プロデュース 超速!! 漫画ポーズ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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