きららの仕事 1 (ジャンプコミックス デラックス)

  • 集英社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088593470

感想・レビュー・書評

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  • 銀座の老舗寿司店の娘であるきららが、倒産寸前の店を建て直そうと奮闘しつつ、様々な寿司職人たちとのバトルを繰り広げる……という漫画。あらすじだけを考えると、普通の寿司漫画と変わらないけれども、「突き抜けた」漫画の突き抜けた瞬間を観ることのできる希有な作品だと思う。


    この漫画を読めば誰でも気付くのだけれども、きららが主人公でいられるのは、実は九州編までだったりする。で、かわりに坂巻慶太というキャラ(漢)がすべてを持っていってしまった。初登場時では、九州の回転寿司チェーン店を経営している、いけ好かない敏腕経営者だったのが、いつのまにかマッチョな肉体を披露するのがお約束の無敵キャラに変貌。


    こういう漫画のセオリー的には、どこで負けてもおかしくないキャラなのに、結局「スシバトル21」を優勝してしまった。展開的には神原朱雀に負けると思ったんだけれど、たぶん作者は坂巻を描くのが楽しいんだろうな~ということがヒシヒシと伝わってくる。外資系が目論む銀座の地上げの話や、高すぎる寿司を価格破壊するという「革命」の話もどっかに行ってしまうし、さらにはスピンオフの漫画まで出るという始末に終えないキャラにまでなるというオマケ付き。


    本来は、浦沢直樹門下生だった橋本孤蔵の、オーソドックスな寿司漫画だった(でも、いきなり主人公のきららが銀座の名店で「辻斬り」してるんだよね。それはどうかと)のが、いつのまにかリアクション芸と坂巻のラオウ化によってあっちのほうに行ってしまった。きららにも女性主人公としての華があるとは思うものの、やっぱり全力でバカをしてくる漢たちを前には薄味になってしまうんだよね。でも、こういう「突き抜けた」ところがあるかないかによって、漫画の価値が大きく変わると思う。


    石塔返しとか、本手返しとか、バトル漫画特有の必殺技(握り)があったり、武器を見せるように魚を披露したり、審査員のリアクションがどんどんバカになったり……と、とにかく見所が多い。寿司職人のテンションも上がりまくるし。『きららの仕事』の世界では、とにかく寿司職人は血の気が多くて、勝った負けたの勝負が大好きな人種として描かれる。老舗寿司屋の保守的な人たちもちょろっと出てくるけれども、特に話も広がらない(というか、勝負にならない)し。さらには、「スシバトル21」とか「ワールドスシバトル」とか、ど外道の父親が登場したり、外国の天才シェフが戦いに名乗りをあげるなど、とんでもない展開が続く。


    料理漫画的には、どうしても素材勝負になりがちな寿司という題材を、「江戸前寿司は仕事をして魚を美味しくする」という概念を持ち込んだことによって面白みが増したと思う。一工夫することによって、程度の低いネタでもこんなに美味しく! という見せ方は良かった。でも、それによって蘊蓄バトルの要素も出てくるのだけれど、実際、なぜ上手いかの説明シーンは後半読み飛ばしていました。強烈キャラの1人である神原朱雀のセリフ「これはどっちの鮨が旨いのか決める勝負だろうが!」が、今作の強烈な自己ツッコミにもなっている。


    でも、こういうオーバーリアクションを成立させるのが漫画の奥深さだと思う。他では、なかなかできない表現だよね。

  • 全巻
    一気に読める勢いはあるけど、料理対決物が無理矢理感があって、主人公の必然性が見えない。

  • ストーリーが謎すぎる。
    ギャグセンスだけなら星5つ。普通に笑い転げる。しかしギャグすらも途中から狙ってる感ハンパなかった。
    これにてあがりでい!は屈指の名ゼリフ。

  • これを読んでいると、おすしが食べたくなります。
    健気なきららちゃんを見ると、応援したくなります。
    頑張れ、きららちゃん!

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著者プロフィール

<著者プロフィール>
早川光(はやかわひかり) 
東京新宿区生まれ。マンガ原作者、著述家。
BS放送『早川光の最高に旨い寿司』の番組ナビゲーターを務め、『日本一江戸前鮨がわかる本』(ぴあ)、『鮨水谷の悦楽』(文藝春秋)、『寿司ペディアTOKYO』(ホーム社)など江戸前鮨に関する著書多数。原作を手掛けたマンガ作品には『江戸前鮨職人きららの仕事』『ごほうびおひとり鮨』(集英社)などがある。現在は『今夜、すし屋で。』(ホーム社)『まひるのランチずし』(集英社クリエイティブ)の2作品を連載中。

「2021年 『新時代の江戸前鮨がわかる本 訪れるべき本当の名店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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