Young,Alive,in Love 1 (ヤングジャンプコミックス)
- 集英社 (2012年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088794525
感想・レビュー・書評
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確実に、「3.11」の系譜のど真ん中に位置する作品。しかして、震災以後の創作作品の中でも、群を抜いて「バランス感覚」に気を遣われた作品だと感じました。そういう意味では、異端でもあるのだと思います。
過度にヒステリックになることもなく、過度に達観することもなく。主義主張に関しても、この巻の時点では、大きくどこかへと偏るものとはなっていません。そもそもこの作品のテーマの一部が「異なる視点がどう共存していくか」にあることもあって、それは当然のことなのかもしれないですけれど、それでもひどく繊細に描かれたそのバランスは、一種の感動を覚えうるほどのものになっていると思います。
正直、震災以後の西島さんの発言からは、あまり明確な主義主張が見えず、発言の意図をどう受け止めればいいのかがわからずにいた面もあるのですが(あくまで個人の感じ方です。気を悪くされた方がいたらすいません)、この作品を読んで全てを理解することができました。西島さんは、震災以後の空気の中で、あくまで冷静に、バランスをとった見方をすることにとても気を遣っている。だからこその、あの幽霊のように茫洋とした発言の数々だったのだと。
思えば、西島大介さんの作品はいつだってそうだった。『凹村戦争』の頃から、徹底的にドライで客観的な視点で物語を描いてきてくれた人だった。
この作品で、改めて西島さんのことを信頼し、好きになることができました。
勿論、「新境地」と言えるテーマを扱いながらも、従来の西島大介作品に通じる魅力も充分に詰まっており、ファンの期待を裏切ることはまず無い作品です。
この一巻の時点では、話がどう着地するのか、ひいては西島さんがどのような結論を出すのかということはまだわかりません。二巻を楽しみにしたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
除霊と除染のボーイミーツがールなラブストーリー。すべては視えないけれど存在している。
幽霊も放射能も愛情も視えることはなく、ただ在る。主人公たちの住んでいる東京のM市にある巨大な湯沸かし器という名の原子力発電所が爆発した。
視えない銃弾が飛び交い、学校の校門付近には幽霊の通り道(僕の故郷の岡山ではナメラスジと呼ばれたりしますね)があり、少年は放射能に脅えながらも真実を知ろうとし少女は幽霊が視えてしまう。
少年と少女が出会ってしまう。たとえ放射能が飛び交う街でも幽霊たちがそこらじゅうにいても、君たちは出会ってしまった。
だから視えないものを確かめる冒険譚を、十代の季節が過ぎ去る刹那の一時にきっと寄り添える相手がそこにいる。始まりの第一巻。
ねえ、君たちはなぜ出会ってしまった? その答えはいつか視えるのかな、いつか忘れてしまうのかな、湯沸かし器が爆発する時に少女が少年に吐いてしまうゲロ、それでも握りしめた手の温かさと唇の感触が残るのかな。
ハロー、ベイビー
僕はいつも不思議だね
人は見えるものを欲しがるんだ
いずれ自分は消えて行くのに
野島伸司脚本
『世紀末の詩』二話「パンドラの箱」より -
1〜3巻再読してみた。
今更ながらにショック、ショック。
現実に食いまくる巨大オバケがいればいいのに。
すごいよ西島大介。 -
幽霊と放射能の除霊と除染かぁ。
今向き合うべきところなのか・・・。
今後の展開が気になるところ。 -
3.11を念頭に書かれたものなのだろうと思う。まだ1巻なので、面白いとは言い難いけど、余裕があればまた読んでみたい作品でした。自分の町にある巨大な何か?あれはいったいなんなのか。。
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3.11を踏まえたというこの作品。題名はFlipper's guiterのyoung arrive,in loveから取ったそう。理由は、この震災後の世界にこそパーフリのこの曲が鳴り響いて欲しいから。放射能という見えない敵、そしてそこらじゅうに溢れる信用できない情報たち。この漫画は震災後の私達が持つ不安や疑心を描きつつ、キュートなラブストーリーを作り上げていると思う。とりあえずおばけが可愛い。
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ある程度のカテゴリを全部ぶちこんでシチューのように煮込んだようです。
青春なのか、恋愛なのか、セカイ系なのか、環境問題なのか。SFにもみえるし、オカルトにもみえる(ヒロインはユーレイがいるから学校に行けないそうです)原発問題に少し乗っかっている感覚も受けます。巨大な湯沸かし器、って原発の象徴では?
ヤング・アライヴ・イン・ラヴ、というタイトルですから、恋愛系に落ち着きそうですが、作中でも終盤主人公とヒロインはカップルになる、んだけれども、なんというか、『最終兵器彼女』みたいな、そんなイメージも浮かび上がる、不思議な作品です。 -
日常か、セカイか、空気か、SFか、オカルトか、学園か、青春か、初恋か、ボーイミーツガールか。
これをどう分類してどう理解すべきなのか、私は戸惑うばかりです。
いいから早くディエンビエンフーの続巻をだしてください。 -
冷静になって読むと、西島大介は省略がハンパなくて、にもかかわらず、物語が超速で進むわけではないあたりが、ストーリィテリングの妙。