- Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088900469
作品紹介・あらすじ
2020年、東京の街ではオリンピックを目前に控え、“浄化作戦"と称した異常な排斥運動が行われ、猥褻なもの、いかがわしいものを排除するべきだという風潮に傾き始めていた。そんな状況下で、漫画家・日比野幹雄はホラー作品「DARK・WALKER」を発表しようとしていた。表現規制の壁に阻まれながらも連載を獲得するが、作品の行方は──!?
“表現の自由"を巡る業界震撼の衝撃作!!
感想・レビュー・書評
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今ならまだ描ける。そんな作者や編集者の声が聞こえてきそうだ。
(BOOKデータより)
2020年、東京の街ではオリンピックを目前に控え、“浄化作戦"と称した異常な排斥運動が行われ、猥褻なもの、いかがわしいものを排除するべきだという風潮に傾き始めていた。そんな状況下で、漫画家・日比野幹雄はホラー作品「DARK・WALKER」を発表しようとしていた。表現規制の壁に阻まれながらも連載を獲得するが、作品の行方は──!? “表現の自由"を巡る業界震撼の衝撃作!!
日比野の書こうとしたのは、わりとありふれたゾンビもどきのマンガ(現代日本が舞台)なのだが、人喰いの場面などが元政府官僚により目の敵にされて、新連載一回目に回収処分になってしまう。
「その日まで僕は情報を遮断された環境にいたせいで、世の中の恐ろしい変化にまるで気付けないでいた。あるいは気づかないふりをしていただけなのかもしれない。その兆候はいたる所に現れていたのに。ともかく僕が気付いた時にはもう、世界は既に変わり果てていたんだ‥‥」(17p)
マンガ「DARK・WALKER」の主人公の独白が、作者の最も描きたいものであることは明らかだ。ゾンビ病の蔓延を「表現の自由の規制」に替えたならばよくわかる。作者に、政治の詳しい動向や分析を描く気持ちはおそらくない。しかし漠然とした不安がある。その気持ちをそのままマンガにするのも、表現者としての仕事だろう。
表現の自由を守るために心を砕く編集者や、一度弾圧を受けて作画職人に変貌した有名漫画家など、業界の中の裏話も描いている。
これはあと5年後の世界。自民党改憲草案が実現したら、近い将来現実になる世界でもある。いや、2006年教育基本法が改悪されて、今年から道徳が正式科目になった。改憲されなくても、下手をすればこんな条例が通ってしまう可能性はある。と私は思う。
下巻でどう決着をつけるか、愉しみ。夏に発行だそうです。発行「自粛」になる前に上巻だけでも手に入れておいた方がいいのかな(^_^;)。
2015年4月23日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2015年6月に実写映画が公開された『予告犯』の原作者が、「表現の自由」にフィクションで挑んだ作品。この物語の舞台は、2020年のオリンピックを目前に控え、表現の自由が急激に規制されていく近未来の日本。その中で主人公である漫画家や編集者が表現規制に板挟みにあいながら抗うことで、表現の本質、規制の本質を読者に問う意欲作です。(山内康裕)
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漫画が好きで漫画を読んでいる人間なら何かしら考えずにはいられない作品である。理性と娯楽の擦り合わせは難しい。
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東京オリンピックまで200日、という設定なので、とてもリアルな印象。また、何か事件があるたびにゲームやコミックを引き合いにしてくるマスコミも見ているので、空想の世界とは思えません。本当に起こりそうな気すらしました。どうお話が進んで行くのか楽しみです。有害図書、不健全図書の紹介に自作を出され、筒井氏の気概を感じました。
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表現の自由を巡る話で前作にも言えることなのですが、今、この瞬間に読む事で描かれるリアリテイのディテールに突き詰められたリアルの説得力が何重にもなって読者に投げ掛けられる醍醐味。
また前作同様◯◯に似たキャラが出てくるが、分かる範囲でアグネス、秋元康居たね(笑)
見せたくないものに蓋をし、聞かせたくないものを塞ぐ。一部を選び取り、絶対悪だとする姿勢、事件を起こした因果性の一部として表現の一部結びつけて刈り取って全体を潰すのは正直、どうかと思う。やはり。
少女マンガ4冊所有していたらおかしいと言われるこんな世の中じゃPOIZUNN -
筒井哲也の新シリーズ。
表現の自由をマンガを焦点として、行き過ぎた規制にどうしたらいいのかを考えていく作品。規制とうものは何かしら理由があって生まれるが、行き過ぎたものは善意の押し売りにしか見えなくなってくる。
ネタがネタだけにどこまで掘り下げて書いていけるのか。