口入屋兇次 3 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.42
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本棚登録 : 61
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088903804

作品紹介・あらすじ

伊助の見立てた着物の評判は成田屋贔屓の間で瞬時に広まり、彼が番頭を務める我楽多屋ではお客が鈴なりに。その献身的な努力は実を結び、客を満足させる“本物の商売"を知ったお蝶の胸には新たな思いが生まれ……。江戸の人々の生き様を描く時代叙情詩、堂々完結!

感想・レビュー・書評

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  • 外道達への仕置(作中では始末と表現)が描かれる三巻。

    伊助を陥れたのは楓屋の番頭 亥久藏と手代の嘉助。

    店の金を横領し、ならず者や牢人を雇い伊助を始末しようとするだけではなく、伊助を慕っていた丁稚の少年 亀吉を口封じの為 首吊りに見せかけ絞め殺すという真の外道。

    「口入屋兇次」では一巻でも そうであった様に悪人は必要以上に極悪非道に描かれる。
    そうする事でやり過ぎ(残酷)とも思える兇次達の仕置(生きたまま、もしくは殺した後 山犬に喰わせる)も、こいつら(外道)ならこれぐらいの事をされても当然だと思わせる様になっている。

    今回は嘉助を吊るした縄を亥久蔵に絞め上げさせ、亥久蔵は一生 鉱山で働かせるという方法で仕置するのだが、この一人だけ生かして苦役を課せるというのが「必殺仕置人」第21話「生木をさかれ生地獄」を彷彿させた。

    又 兇次が伊助を襲おうとした牢人を仕置しようとした時、命乞いをする牢人に「止めろと云われて止めた事がお前はあるのか?」と言うのだが、これが台詞こそ違えど命乞いをする外道を躊躇なく仕留める「新必殺仕事人」の勇次を連想させる。
    他にも仕置時の兇次の着物が「新必殺仕置人」の念仏の鉄の「それ」に似ていたりと、作者は実は必殺ファンなのでは?

    仕置の後は伊助の去就が描かれるのだが、これが例によってきっちりと人情話で読んでいる此方はいつもの様にほろりとさせられた。

    次は伊助の件の後日談というより亥久蔵、嘉助に協力して伊助を陥れる為の片棒を担いだ お貞の始末が描かれる。題名は「貞女の始末」
    本来なら始末(仕置)の対象だと言う兇次(相手が15、6の娘でも悪人ならなんの躊躇いもなく殺すと言い切る兇次の非情さが凄い!)に対し まだ救いがあるかもしれないから何とかしてやりたいと言う 手下の三筋の考え(但し、それが駄目なら宿場町で飯盛女として働かせるだけと非情な事も言う)
    を考慮し、手下で尼の七宝院の寺に預け 瘡毒を患う吉原の元太夫 三冬の看病をする事で「人」としての再生させる事となる。

    七宝院の教え、三冬の看病を経てお貞の「人」としての成長が丹念に描かれる様は二巻同様、派手な場面など無くても読み応えがあり物語に引き込まれていく。

    只、残念なのは兇次、三筋、七宝院達の会話の中で三冬が実は兇次の手下の一人である事が判明するのだが、これは最後まで伏せておいてほしかった。

    最後は三冬の死(偽装)を乗り越え「人」として再生し兇次の口入れで新たな道を歩む お貞(これまでのしたたかな我儘娘の顔つきから一人の「真人間」の顔になっているところに注目)。
    この お貞の「人」としての新しい門出の場面で涙もろい自分はまたしても涙。

    次はどんな口入れで弱者を助け、極悪な外道を仕置するのか?楽しみ........と言いたいところだが連載は終了。

    兇次、その手下達の過去、影だけのみ描かれたその他の手下(三人 )等、まだ明かされていない部分もあるので何処かで続編を描いてほしい(やるなら現在連載中の「雲霧仁左衛門」を掲載している「コミック乱」の姉妹誌「コミック乱ツインズ」がいいと思うのだが)。

    そんな願いを抱きながら数年、遂に兇次の姿を再び見る事となるのだが それはまた別の話。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      darkavengersさん
      「口入屋」を読んだら、他の作品にも手を、、、ハメられたか?
      (ブック○フより近くに、まん○らけがあるので久々に...
      darkavengersさん
      「口入屋」を読んだら、他の作品にも手を、、、ハメられたか?
      (ブック○フより近くに、まん○らけがあるので久々に覗きに行きます)
      2021/09/23
    • darkavengersさん
      猫丸(nyancomaru)さん

      これはもう他の作品も読むしかないですよ!
      それよりも、まん○らけが近くにあるなんて羨ましい!
      猫丸(nyancomaru)さん

      これはもう他の作品も読むしかないですよ!
      それよりも、まん○らけが近くにあるなんて羨ましい!
      2021/09/23
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      darkavengersさん
      大抵、古本屋を覗く時は「何か有るかな?」と言う軽い気持ちですが
      まん〇らけは、手に入らないと判明したマンガ...
      darkavengersさん
      大抵、古本屋を覗く時は「何か有るかな?」と言う軽い気持ちですが
      まん〇らけは、手に入らないと判明したマンガを探しに行く時だけ行きます。
      しかし上手く探せないコトの方が多くて、、、
      『夢幻紳士』は未だに手に入らず。。。
      2021/09/24
  • 良かったです。
    どうしてもイメージ的には「必殺仕事人」を思い出してしまうのですが、眼には眼を歯には歯を―何の罪もない人を酷い目に遭わせた咎人を殺すだけでなく、また、生かしてあげるところがとても良いと思いました。
    特に「お貞始末」は、ワガママで男好きのお嬢様がこのままでいけば転落の人生は間違いなしなのに、兇次さんが手を貸して尼寺で「再生」させてあげたところに救われるような気がしました。
    ―口入屋兇次の預かりとなった人と仕事の縁結び、しくじったことは一度もない。
     人として生まれ変わったお貞を兇次さんが新しい奉公先に連れていくところで物語りは終わります。
     兇次兄さんの言葉が印象的でした。

  • 情けはひとのためならズ

    自己肯定感、自分の存在価値を見いだし、凛とした姿になってて感動した。

  • 完結 もっと続いてもいいのに。

  • 何から何までイイ!
    最後の貞女の始末も良かった!
    これで終わりなんて勿体ない!
    いつの日か続編を、切に切に望みます。

  • えぇ、これで終わってしまうんですか! もっともっと読んでいたいくらい面白かった。伊助さん事件の解決編、良縁にも恵まれ商売も繁盛して本当に良かった… ただ、亀吉の事は許せないですよ… どうしようもないお貞ちゃんの更生話にはビックリだった。あのまま逝くのかと思っていたけど、そこに救いをもたせるなんて憎いなぁと。はぁ、良いもの読んだ!

  • レビューを見て完結だと知る!残念!とても残念。七様カッコよすぎだわ。莫迦娘の更生物語での七様のせいで、前半の伊助の話が飛んでしもた(笑)最後のあの黒マスクは誰だったんだろ?太夫、、、ではないよね?

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