読者ハ読ムナ(笑): いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)

  • 小学館
4.35
  • (41)
  • (17)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 389
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091273550

作品紹介・あらすじ

藤田和日郎が明かす新人漫画家養成術

「うしおととら」「からくりサーカス」「月光条例」そして「双亡亭壊すべし」で少年漫画界を熱く走り続ける藤田和日郎。
その仕事場からは数多くの漫画家が巣立った。
今回、藤田和日郎のアシスタントになった架空の新人漫画家が、連載を勝ち取るまでを描く体裁で、藤田氏が自身の漫画創作術、新人漫画家の心構えやコミュニケーション術を語り下ろしました。
藤田和日郎の初代担当者も新人漫画家の担当編集者として登場。

【編集担当からのおすすめ情報】
新人漫画家が直面する悩みに答えながら、漫画作りのノウハウも伝えていく実用的な漫画創作本です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大好きな漫画家で藤田和日郎さんという方がいるのですが、その方が書く、創作論です。
    どのようにしたら面白い漫画が描けるか、というのがかなり丁寧に書かれています。
    新人アシスタントに教える、というていで書かれているので、藤田さんの漫画のように少年漫画の王道が、どうやれば描けるのか、話の作り方やキャラの立て方まで論理的に書かれてるのですが、漫画を書かない私にとって学べたのが、個性とは、言語化できる好きなことである、というところです。そのために徹底的になんで好きかを掘り返せ、外に答えを求めるな、人に説明しろ、意見をもらえ、とあります。自分の人生の指標にもなるなと思いました。
    この作家が好きな方にはすごいおすすめです。

  •  藤田和日郎がマンガの書き方、編集者との付き合い方を、新人アシスタント=読者に向けて書いてある。口語体なので理解しやすい。間に編集者から見た新人の話として、藤田の初代の編集者の武者正昭が説明している。この話も知らない事が多くて楽しかった。
     私は漫画は書かないが、長年の藤田ファンだ。この本は漫画を書くために参考にする事がかなりあると思う。
     自分の心地いい空間を作るための「ムクチキンシ」。だがこのルールのおかげで映画や漫画について忌憚のない意見を言うことに慣れていくのだろう。自分の中で好き嫌いや、物語の構成が解きほぐれていくのには人と話すのはかなり有効だ。
     藤田の話には映画がよく出てきている。大量に映画を見て、消化して漫画にする。アシスタントと点数を付けあって、自分と違う意見を知れるのは非常に楽しそうだ。このような事をしているから、藤田の職場からはどんどん漫画家が生まれるのだろう。
     一ファンとしても、漫画好きとしても、どのように作品を作る素を固めているのかが少し分かって嬉しかった。

  • 新人漫画家に語りかける構成で読みやすい。

    無口禁止!というのはいいなぁ。とにかく職場は明るく。コミュニケーション大事ってこと。

    これは対編集者も同じことで、藤田和日郎の仕事場から多くのプロ漫画家が輩出される理由がわかる。

    気になったのは以下。

    ・情念を込めて線を引きな
    ・感動するネームを描け 人の心が変わるもの
    ・主人公を立たせてそのあとで世界観をつくるのが少年漫画の基本
    ・なんで?を突き詰めるとキャラクターが立ってくる
    ・ストーリーは欠けてるものが満たす
    ・外に答えを探すな、内を見つめろ

    あと、映画『オーロラの彼方に』は想像以上のハッピーエンドらしい。

  • 物語を作るときの秘技のようなものが詰め込まれていて、これに従っていたらもしかしたら面白い物語が書けるんじゃないか、って気になってくる。それに、藤田先生の言葉は先生のマンガと同じくらいエネルギーに満ちていて、読めば読むほどに気持ちが奮い立つんだよなあ。人間やマンガに期待し続ける藤田先生の姿に胸が熱くなる。この人のマンガの、そういうところにいつも救われてきたんだよなあ。

  • 熱い、そして、詳細で愛のあるアドバイスが盛り沢山でした。

  • 発売当初に読んでたのを再読。やさしい根性論だと思う。元気が出ます。

  • 漫画家になるつもりはないけど、アイデアの出し方であったり、転用できそうなことがたくさん書いてあって感動した。何よりも、自分の外の世界とのコミュニケーションを大切にしようと思った。

  • 無口禁止
    人の行動に興味を持つ
    「なんで?」を常に意識する
    好き=個性

    読んでいてハッとさせられる事もあり、漫画家を目指す人でなくても面白く読めると思う。
    読み終わった後は行き場のないやる気がわいてきて困った。

  • 藤田和日郎、新人アシスタント育成術を語る!
    という歌い文句が帯にあります。

    ビジネス書のような煽りですが、育成術というより漫画に対してこういう風に感じて書いています!という決意表明みたいなものかな。そこまで大上段に振りかぶっていないようにフォローしてますが。

    とはいえ、新人や後輩に仕事を教える時にこういう言い方したいなぁ、と思うことも多々あり。ブレないことだよね、教える際に。それが一番難しいんだよなぁ。
    こちらとしてはブレていないのだけど、受け取る方が矛盾を感じてしまう言い方になってしまっているんだよなぁ。
    担当の武者さんに言われたこと、それを噛み砕いて伝える藤田和日郎さんがいるというのは、いい環境です。この二人がブレてないから、伝わるんでしょう。

    ブレないって、大事だ。
    だから、藤田和日郎作品が好きなんだ。そう思えた、再確認でした1冊でした。

  • 仕事場で売れっ子漫画家がアシスタントに話しかける体裁で進められる仕事論的な教育方法論。研究室や院生部屋の存在価値、あるいはメンターとしてどう振る舞うかなどを考えさせられる。オススメ!

  • 「からくりサーカス」「うしおととら」などの好きな漫画家である藤田和日郎先生が漫画家になるためのアドバイスを詰め込んだ本。

    ずっと独り言に近い会話形式なのですらすら読めます。

    漫画家のこだわりとか考え方というのは非常に興味深いですね。

    面白かったです。

  • 「うしおととら」
    「からくりサーカス」
    の作家が語る
    人づくりの本

    ほっとかない
    ほっとけない
    うざったいほどに温かな人柄が伝わってくる。

    だから
    氏の作品は
    人の心を強く揺さぶるのだろうなあ。

  • 少年漫画の最前線の作者の言葉

    創作している人のぶつかる壁に対しての一流プロの視点がとても勉強になった

  • 創作論

  • (特集:「先生と先輩のすすめる本」)
    「うしおととら」「からくりサーカス」などの漫画のヒット作を生み出した藤田和日郎氏。そんなトップクリエイターが文章で書いたストーリー仕立ての創作論です。本当に面白いものを作り出している人がそのノウハウを惜しげも無く開陳しているわけですから、とんでもなくエキサイティングで、ためにもなります。漫画創作の本ですけど、広くデザインや設計に関わる人は、読んでおいて損はないですよ。藤田さんのところに弟子入りした新人アシスタントになったつもりで、クリエイティブの修行を体感してみてください。
    (教員推薦)

    ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00546462

  • めちゃ名作やん。最強のコーチングブックであり、全業界に通じる超絶具体的な創作指南書。

  • これは藤田和日郎から、漫画を愛するすべての人へのラブレターだ。
    藤田和日郎が全力で愛してるぜって言ってくれる。
    こんなの泣くっての。

    どんな種類でもいいのですが、クリエイターなら一回読むといいです。
    こんな師匠が身近にいたらなあって思わずにはいられないですよ。

  • 2017.6 了読。
    凄く面白かった。
    物語を読み解く視点をひとつもらった。
    そして、漫画家に限らず新人を育てる際に有効だと思われる事も結構あった。
    最近職場の同僚と話したのだが、若い(特に20代の)同僚達は「深く考える」という事をしないで失敗する傾向にあると思う。「Aと言われたらBと答えればいい」と、その答えだけを覚えて、「何故Bと答えるのか?」という事を考えないので、少しでもイレギュラーな事が来たら対応できなかったり、ここでこれをやったら(やらなかったら)この後どうなるか?という事を考えずに「マニュアル通りにやればいい」と気軽にやってしまってトラブルを起こしたりといった事が多い。
    人を育てる時、「わかった?」と聞いて「はい」と応えていても、実はわかっていないのだ。この本に書いてあるように、理解した事を本人に説明してもらって初めて、本当に理解してる事がわかるんだな、と思った。あと、教える側と教わる側の心の交流も大切だし、熱意を伝える、そして相手から引き出す事も大切。
    「コミュニケーション力を鍛える方法を教える」ためのヒントがたくさん書かれていた。

  • 2017/6/18
    発売すぐに買ったけど読むのは今頃。
    読者だけど読んじゃいました。
    前から熱い人だとは思っていたけどやっぱりめちゃくちゃ熱い人でこっちまで熱くなった。漫画化志望じゃないのに。
    好きなもの人に言わなくなったもんな~
    熱く語るなんて滅相も無い。
    人に心のうちを見せるのが怖くて怖くて避けてるうちに自分でも何が好きだかよくわからなくなってどうすれば熱くなるのかもわからない現状ににっちもさっちもいかない八方塞出口はどっち?って日々なんだけど、こういうことをすれば出られるのかも。
    からの最終章。
    「耳あたりのいい言葉」はコワイと来た。
    スゴイスゴイ!大興奮。バレてる!
    耳あたりのいい言葉で言い逃れること多いもん。私。
    本音を言わず小手先で無難で美しいことを言いたがるのよ。
    それで切り抜けてしてやったりってかっこ悪いなぁ。
    でもサラリーマン的には時々は仕方ないねん…
    でもなでもな、一生懸命やろう。好きなものは好きと言おう。
    怖くても考えてもがいて真面目にやろう。
    藤田和日郎のファンって見る目あるんだから、私。

  • 『うしおととら』などを代表作として持つ漫画家、藤田和日郎氏が漫画家としての大切なことを語ります。漫画家にとってまず大事なのはコミュニケーションをしっかり取ること、好奇心を持つこと、編集者に言われた助言を自分の頭で噛み砕き考えて血肉に変えること、自分の「好き」を追求すること、そのためには精緻に言語化すること。そういった内容を読み手に優しく語りかけ、諭すような語り口調で綴られています。これは漫画家に限らず職業一般に通じると思います。特に本書の最後のほうに書かれている「オリジナリティ = 好き」はとても大事。著者の新人に対する愛情を感じました。良書です。

  • 一つの道を極めた人の話は、いろんなことに通じる。
    漫画の描き方を説く本なんだけど、自分の知らない自分の知り方や、コミュニケーション、上司との接し方なんかに通じると思った。
    特に、就活中の学生さんなんかが読むと、とても良いかもしれない、そんな一冊。

  • 会話形式で簡単に読めるが、大事なところも読み飛ばしてしまいそうになるのが欠点。もう少し要約をつけるなりしてもよかったのでは。

  • いつか、映画解説本を書いてほしい。

  • マンガだと思って買ったら、まさかフェイクドキュメンタリー小説だとは!
    とはいえ、仕事本としてとても興味深い一冊。

    「好き」が個性だから。

    は、至極名言。

  • 漫画だけではなく色んなことに応用できるんじゃあなかろうか

  • 購入

    詳細は読み終わってから書く予定。

    この内容は上司・部下の関係や同僚との関係にも使える気がする。

全31件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

北海道旭川市出身。1964年生まれ。88年、『連絡船奇譚』(少年サンデー増刊号)でデビュー。少年サンデーに連載された『うしおととら』で91年に第37回小学館漫画賞、77年に第28回星雲賞コミック部門賞受賞。ダイナミックかつスピーディー、個性的ながらエンターテインメントに徹したその作風で、幅広い読者を魅了し続けている。他の代表作に『からくりサーカス』(少年サンデー)がある。

「2007年 『黒博物館 スプリンガルド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤田和日郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×