- Amazon.co.jp ・マンガ (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091335395
感想・レビュー・書評
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そういえば、東野圭吾の「白夜行」や「幻夜」を読んだとき、ふとバナナフィッシュを思い出した。
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大好きだけど、悲しくて読み返せない作品のひとつ。
こんなのあんまりだ。でも、美しくもある。
物語としては大満足の結末なんだけど、悲し過ぎる。 -
何度読んでも胸を揺さぶられる。
NYのストリートギャングの抗争、ベトナム帰還兵にマフィアなど、非常に社会派でハードな世界観。
にも関わらず人々の生き様は純粋と言えるほどひたむきで、必死に光さす方へ手を伸ばしている。 -
当時読み終わってボロボロに泣き、1週間は何をしてもラストが影のようについて回りました。
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85年当時はBLというジャンルが確立されてなかった。
本作は少女マンガ誌に連載されており、当時から既に異端の存在感を放っていた。子どもの頃たまたま雑誌で見かけ、えらく風変わりな漫画があると驚いたのを覚えてる。なんたって絵のタッチからして全然違うのだ。
レビューでBLか否か意見が分かれているが、個人的にはBL。ただし狭義ではなく広義のBLだ。
BLとは男性同士の恋愛・性愛を扱った作品ジャンル。
アッシュと英二は性的関係こそ一切ないが、「光の庭」でシンが言及する通り、互いを唯一無二とする相思相愛の関係性は恋愛に非常に近い……というかBLとは一線を画す、もっと崇高だのと主張が過ぎるとBLを一段下に見てるようで嫌だ。
英二とアッシュは魂でセックスしてるようなものだし、アガペー(無償の愛)を体現するかの如く互いに献身していた。分類するとブロマンズだろうか。ストイックにプラトニックに、お互いを一番に考える行動原理は完全に二人の世界にいっちゃってる。
血と汗と涙の結晶の研究成果さえポンと渡しちゃうのだから、アッシュにとって最大の理解者の存在がどれだけ有り難かったかわかる。
改めて読んだ感想。
「金髪碧眼の並外れて整った容姿の美少年でIQ200 高級会員制クラブの男娼上がりのストリートギャングのボスで格闘と射撃の天才でマフィアのドンの愛人」って、アッシュのプロフィール盛り過ぎ……BLの世界じゃ然程珍しくないけど。
兎に角この物語は最初から最後までアッシュ中心に動いてる。
アッシュと出会った人物の反応が愛憎高じた崇拝者になるか敵対者になるかの二択しかないし、アッシュ以外の人物(月龍とシン、伊部とマックス)の会話でさえ、そこにいないアッシュの話題に尽きる。
女子が憧れる王子様な男性主人公じゃない、女子が萌える傷付いたヒーローとしての男性主人公の究極型。アッシュのクールな魅力とハードボイルドな展開で乗り切っていくが、ツッコミどころは多い。
毎回毎回おそろしくキレイな顔だの比類なき美貌と気品だの掃き溜めに白鳥だの孔雀だの(主に男性陣に)容姿褒められすぎじゃねとか色仕掛けに走り過ぎじゃねとか、敵も毎回毎回性懲りなく色仕掛けに即オチして下心の権化すぎだろ仲間が端から殺られてんだから保身しろよ!!!とか、「この展開は無理だろさすがに……」となる。というか、登場する敵がほぼ全員アッシュに一目惚れするのが凄まじい。キングオブ魔性の美少年。
極論すれば、バナナフィッシュを巡るストーリー自体がアッシュと英二の特異な絆を強める添え物とすらいえる。
その証拠に最終回後に描かれた番外編は、全てアッシュの話。
チャーリーとマディの結婚生活とかマックスとジェシカの復縁後とか、アッシュの仲間のアレックスたちトリオとか、サブレギュラー陣の後日談には一切割かず、アッシュの過去と最愛の片割れを失った英二のその後に焦点を当てている。そもそもチャーリーたちは最終回のワンシーンのみで退場。
「光の庭」時点の彼らがどうしてるか知りたかったんだけど……特にアレックスたち。カリスマを失った後のグループで、ただでさえ短命なギャングの彼らがどうなったのか気になる。
「光の庭」の英二がNYの写真を撮り続けるのは、彼なりの墓碑銘(エピグラフ)にしてグリーフケアだ。
大人になった英二はシンに告げる、自分はアッシュを忘れてないがそれが不幸だとは思わない。
アッシュを忘れて前に進むより、故人の思い出と添い遂げる道を選ぶ。それはそれで幸せのカタチだ。
英二とアッシュが過ごした短い時間には、一生分の輝きが詰まっていたんだから。
アッシュの骨はケープゴッドに帰ったんだろうか。英二たちは墓参りに行ってるのだろうか。きっと英二はNYに骨を埋めるんだろうな……
ある日年老いた英二がNY市立図書館を訪れ、嘗て親友が死んだ席に座る。そこでヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」を開き、嘗て愛し、今も魂は共にある少年の追憶に浸り、安らかに死ぬ。
完全に妄想だが、いずれ英二に死が訪れるならこんな最期がいい。
アッシュは納得して死んだ筈だ。
仮に英二の誘いに応じ日本へ渡っても、平穏に暮らせたとは思えない。
アッシュ・リンクスはあの時代、あの場所でしか生きられなかった。ベトナム戦争の負の遺産を継ぐ、80年代の偶像(イコン)だった。
多くのストリートギャングやマフィアが抗争の中で命を落としたように、他者の血で手を染めた彼もまた報いを受ける運命。
そうならざるえなかった残酷な生い立ちを悼み、たぐいまれな才能を惜しむ気持ちはあれど、最後の幸せそうな顔を見るとあれでよかったのだとしみじみ滲みる。
アッシュの魂は救済された。ずっと孤独だったが、最期だけは孤独じゃなかった。
目で見え、手で触れられる距離におらずとも、魂はたしかに共にあったのだ。
アッシュの写真をギャラリーの一番奥に飾ったのは、彼が英二の心の一番奥にいるからだ。
いまも、いつでも、いつまでも。
夜明けを司る場所に。
同時収録の短編「Angeleyes」で描かれるショーターとアッシュの出会いもよかった。
十年間(体感すると二十年くらい)の長期連載だったのだから、田村由美の「BASARA」みたいに、あと3・4巻は番外編を出してほしかったというのは欲張りか。
ブランカの活躍やアッシュが14歳の時に本気で惚れた女など、まだまだ読みたい話や未消化のネタがたくさんあった。本編ではさらっと流されてるので脳内補完するしかないが、廃人化したグリフィンを連れ出した先でマービンに捕まる前後の時系列が曖昧なので、そこも詳しく知りたかったな…… -
アッシュのバナナフィッシュ前と後の逸話が掲載されててうれしかった。
後はちょっと無理がある気もしたけどね。
特にシンは・・・
バナナフィッシュはテレビアニメで見たのでほぼ同じ。
英二がなぜあんなにアッシュにとって唯一無二だったのか、
ちょっと分かりやすすぎかな。 -
再読。忘れていたんだ。アッシュは死んでしまうんだった、思い出した。シンには悪いけど兄弟愛とはいえ、あのゴルツィネよりもラオを憎いと感じた。何故なのだ、嫌なのだ。アッシュ、読み進むにつれ母性本能がくすぐられて、日本の穏やかな時間の中で愛する者達に囲まれた陽だまりの中で、持ちうる警戒心と野生の牙と爪を忘れて、ころんころんと寝返りをうちまどろむ山猫をどこまでも甘やかしてあげたいと涙する思いが募るばかりです
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15年ぶりに再読。守っているつもりの相手に守られていた二人の関係性。最終話はただ喪失感でいっぱいだったけど、後日談の光の庭に出てくる写真の中のアッシュの表情に涙が溢れて止まらなくなった。
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こんなに心に残る主人公に久しぶりに出会いました。周りはアッシュの生を際立たせる舞台装置のよう。ラストは可能性として予想はしてたけど…けど…!ぼーっと読んで、「その後」で泣きました。シンはとても好きだったので登場して嬉しかった。
途中からバナナフィッシュの存在がオマケっぽくなったのは仕方ないけど残念。アメリカという異国の地、スケールのでかさ、淡白な絵柄も合わせて、英二とアッシュの関係みたいにどこか曖昧で切なくて、印象深い。