さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

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著者 : 穂積
  • 小学館 (2013年11月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091355799

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)の感想・レビュー・書評

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  • 19世紀末のパリ。
    画壇界を席巻するパリ一の画商
    グーピル商会のテオドルス・ファン・ゴッホ。

    街に生きる普通の人々や
    労働者たちのありのままの姿を描きたいと願うテオドルスの兄で、
    のちの天才画家フィンセント・ファン・ゴッホ。

    この漫画はそんな二人のゴッホの絆や確執を描いた
    伝記ロマンです。


    高い志を持った
    日の目をみない芸術家たち(ボヘミアン)から
    権威の犬や保守側の人間だと思われていたテオドルス・ファン・ゴッホが、
    「体制は内側から壊すほうが面白い」と言った
    まさかのセリフから
    一気に引き込まれました。
    (巨悪や権威に立ち向かう男たちほどカッコいいものはないもんね~笑)


    貴族の肖像画や神話を元にした従来の権威主義の芸術とは違い
    生活の中にある「ありのままの素晴らしさ」を描いた
    テオドルスが企画したアンデパンダン展によって
    美術革命を起こそうとする若き志士たち。

    そしてその行動は
    金持ちの美術蒐集家ではなく
    一般の街の人たちから圧倒的な支持を受けるのです。

    上流階級のためにあった「芸術」というものを
    市井の人々のものにし、
    貧しさに喘ぐ多くの人の人生を 
    美術によって救おうとする若き志士たちの行動は
    素直に胸を打つし、

    美術は労働者たちにも解るものだと唱え、
    人間のありのままの姿を包み隠さず描く革命は

    危険であったハズのロックという音楽が1970年代に入り
    テクニックを重視しどんどん高尚なものに鳴り果てていく中で現れた
    「パンク」というロック界の「揺り戻し」現象とカブってきて
    個人的にはかなり共感しました。


    もし、誰もが知っているゴッホのストーリーが
    実は作られたものだったとしたら…

    そんな斬新な発想と視点から
    新たに紡がれたストーリーは
    二人のゴッホの絆と
    兄の才能を嫉妬する弟の葛藤を
    実にスリリングに
    そしてミステリアスに描いていきます。


    しかし、作者の穂積さんは
    デビュー作の「式の前日」のときから思ったけど、
    やっぱこの人は天才ですね~。

    わずか2巻の中に
    これだけ濃厚なドラマを凝縮できる才能は稀有だと思うし、
    天性のストーリーテラーだなと思いました。


    映画『アマデウス』のモーツァルトとサリエリ、
    西川美和監督の傑作『ゆれる』の
    オダギリジョー演じる写真家の弟と香川照之演じる冴えない兄、
    『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』の凡人の姉ヒラリーと天才の妹ジャッキー、
    『ソーシャル・ネットワーク』の
    真面目な優等生だが仕事のセンスのないエドゥアルドと
    友達のいない変人だがやることなすこと上手くいくセンス抜群のマークなどなど、
    才能を持つ者と持たざる者の対比を描いた映画や小説は多い。

    才能を持つ者は持たざる者の苦悩を理解できないし、
    そもそも自分が才能を持つ者であることにすら気付かない。

    反対に才能があるが故の
    誰にも理解できない孤独感ってのもあるんですよね。

    兄と弟の絆や確執がメインテーマではあるけど、
    保守的な美術界を変えるために戦った
    若き志士たちの記録として見ても
    なかなか面白い作品です。

    全2巻。

  • 創作の醍醐味か。

    歴史小説をはじめとして、実在の人物をモデルに創作することはよくある。しかし、通常はそれが創作だと分からないように、あたかも本当であったかのように描く。読者はすっと受け入れるのが通例だ。

    この作品の漫画史を画する部分は、確信犯的に、読者にそうと分かるように、創作したことだ。正直すぎるといってもいい。たいていの読者は、すでにある意味、作られたゴッホ兄弟のイメージを持っているため、裏切られたと思う。評価もしないだろう。

    しかし、本作で見逃してはならないのは、二人のゴッホの本質を捉える努力をしていることだ。わざとらしい構成を使いながらも、「いまの時代」につらなる美のあり方を伝えることに成功していると認めないわけにはいかない。

  • 『式の前日』もそうだったけど、なんで毎回叙述トリックみたいな展開に頼ってしまうのか…1巻を読んだときにはテオのキャラクターが魅力的で、先を楽しみにしてたので、すごく残念。どんでん返しが来るなら史実を題材にしなくてもよかったのでは。
    絵がきれいで、映画みたいな話の運びが素敵なので、そういうのをもっと活かしてくれたら嬉しかったな。

  • なるほど、そうきたか!というオチでした。
    最後に打った大芝居と、兄のその後を歴史に残した大事業は
    弟への愛情なのか、自分の生きた証を残したかったのか…。

    超オススメ!…ってわけではないですが
    読後感さわやかで、色々と考えたり語りたくなる点がオススメです。(´∀`*)

  • 評価をされている方々には申し訳ないが、テーマに対しての作者の力不足を感じます。

    特に二点。
    ひとつは、当時のパリの風景を書き切れていないこと。「兄弟が幼い時を過ごした」田園と、大都市の対比はこの作品にとって不可欠なはずですが、描写が説明的で雰囲気が立ち上がってこない。
    例えばバルザックを読まれれば、紙の上に都市を立ち上げるということが、如何に大事業かわかるはずです。

    もうひとつは、ふたりの性格設定と感情の流れが単調で陰影に欠けること。
    天才の兄を持つ弟の感情というのは、こんなに単純なものでしょうか?相手はゴッホなんですよ?
    この程度の設定なら、ゴッホ兄弟である必要はないと思います。

    全体的に『式の前日』で見られたような細やかさが失われてしまっているように感じます。


    残念ながら、取り上げるのが早かったのでは。次回作に期待です。オムニバス形式の短編とか読みたいです。

  • 兄に憧れた弟というのは…
    果たして 兄の死後も生き続けられるものか…と

    まさかの2巻完結。
    ゴッホの人生をなぞるように描かれると思っていたが、
    全く違う展開で驚いた。
    大抵の漫画は架空の物語であるが、
    世間一般に知られているゴッホ自体をフィクションとし、
    ノンフィクションのゴッホを描いたというと言い得て妙である。
    しかしテオの感情はどちらの世界でも同じである。
    自分もゴッホの人生とともにある者として、
    「兄に憧れた弟」として自分の物語さえも彩る。
    兄は弟の、弟は兄のソルシエだったのだろうと思う。

    幼い頃から 兄さんはずっと 俺の…
    俺の人生の全てだった

  • すべては兄のため。
    フィンセント初めての怒りの果ては、
    兄弟の絆と宿命への道。
    兄の死に、テオがとった行動は驚愕!!
    ものすごい想像力です!
    こんなゴッホ兄弟、考えつきませんよ~。

  • これは良かったな~。2巻完結っていう潔さも素敵。長く続けようと思えば続けられたと思うけど、作者的に一番描きたかったのが、きっと2巻の後半、ゴッホの人生はでっち上げられたもの、っていう設定だったんでしょうね。個人的には正直、ゴッホの絵によって救われる人たちを描いた、1巻の展開の方が好きだったんですが。でもそれを続けたら今度はマンネリっていう問題が出てくるだろうし、作品全体のバランスで見ると、絶妙なのかなって思います。

  • 兄・ゴッホの才能に惚れこんでいるのは確かなんだけど、その奥にはその才能への嫉妬が紛れていた。
    「俺より才能があるんだから死ぬまで書き続けろ」と言い放つシーンは胸に来ました。
    ゴッホの生涯をある程度知っていて読んだので、史実と全く違う展開だけどそのまま終わらすのかなと思いきや、
    より人が絵に惹かれるように、兄の迅雷を数奇な者に作り変えてしまおうという展開とは。
    弟のテオの方は全く知らないので、参考文献に上げられていた本をちょっと読んでみようと思います。

    いやーしかし、絵柄が好みだわ(大事)。

  • 私は特段ゴッホのファンというわけではないのですがひきこまれてあっという間に読んじゃいました。
    だから左耳をきってしまい精神を病んでしまった末自殺したこと、弟がいること、そしてひまわりと自画像くらいの印象しかありませんでした。
    だからこれを弟のテオが作り上げた架空の人生にしてしまうことに驚きました。

    確かに壮絶な人生の中で描かれた絵のほうが見てみたいかも。

    弟のテオは私もほとんど知りません。
    全くと言っていいほど。
    だからこのマンガで知りたくなりました。

    よほど有能だったに違いない。

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さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)の作品紹介

ふたりのゴッホの愛と確執と絆の物語、完結

19世紀末のパリに現れたふたりのゴッホ。のちの天才画家の兄フィンセントと画商の弟テオドロス。
子どもの頃から兄の才能を評価し、その絵を世界中に広める野望をもった弟は、マイペースを崩さない兄にやがて嫉妬と怒りを覚えはじめる。だが、兄の身に起こった衝撃の事態を前に、弟はある作戦を仕掛ける決断をした・・・。
兄と弟の切ないまでに純粋な伝記ロマン、堂々の完結。

【編集担当からのおすすめ情報】
デビューコミックス「式の前日」が大絶賛された穂積の初長編作品です。「式の前日」さながらのどんでん返しやあたたかい感動が、本作でも読者を包みます。

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)のKindle版

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