フラグメンツ 3

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  • 小学館
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091792839

感想・レビュー・書評

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  • どこにも行けない。ここから逃れることなどできない。夢は悪夢へと変わり、わたしたちはただどうしようもないまま、やりきれない想いを抱えてここにいるだけ。

  • 〜これは夢か、現実か・・・われ欲情す、ゆえに我あり〜

    山本直樹の漫画は結構読んでいて・・・とか言うと、変な人って思われそうだ。
    エロ漫画なことに異論はない。わけても上質で、極めてエロいエロ漫画だったりする。

    だいたい、初期の作品はコミカルでありえない設定ながらも現実的。
    「フラグメンツ」では現実と仮想世界の狭間に潜り込み、今描いている「堀田」に至っては、もうシュールでぐちゃぐちゃな世界になっている。

    どれが一番好き?というと、フラグメンツの浮遊感が好き。まだ読んでいない作品もあるけど、本屋さんに売ってないんだもの。人間だもの。

    あれ?これって夢じゃないの、と、思うことがある。
    デジャヴ。予知夢。目の前の世界が演劇みたい。あれ、私って存在してるんだっけ。世界って何だっけ。

    フラグメンツには、そういう「現実の破綻」が何度も起こる。
    そして、そういう世界のなかで、いつも性交だけが、確かな実感を持って描かれる。

    山本さんの描く性交のシーンは、なんだか静か。えぐい表現なんだけど、不思議と静か。
    それは、白昼夢のようなファンタジーの中の出来事だからなんだろうか。

    山本さんの漫画では、性交の熱よりも、終わって熱が冷めたあとの、空虚で行き場のない気持ちの方が心に残る。
    車に乗って、どこともつかない街へ出たり。
    手をつないだまま、遠くを見つめたり。
    わけもないのに涙が出たり。

    まるで、性交した後には、そうするしかないみたいに、描かれる。
    だから、切ない。

    山本さんの漫画を、エロい漫画というよりも、まず「切ない漫画」として読んでいる。

    おぼつかない足で、地面をうまくとらえられない。
    そういう私たちが、どうしても、どうしようもなく性交に惹かれる。惹かれ合う。
    肌をくっつけて、自分の存在を、相手の存在を、確かめる。
    そうして、快楽と高揚ののちに、また「確信のない世界」がやって来る・・・

  • 山本直樹ワールドに引き込まれます。第参巻。

  • 首絞められてイク主婦に、たははな感じ。
    てへ。
    この主婦の見てくれが超好み。
    こんなオンナになりたいぜ。


    ほんとこの人の作品って、最後の〆が非常によい。
    あたしの好きな感じ。

  • これ重要!
    試験に出ます。

  • 第1章「この町にはあまり行くところが無い」、第2章「小指の思い出」、第3章「ASPHYXIA」。後半の別章「みはり塔」「奥さん、いいじゃないですか」「ぽつん」の6つの短編を収録。
    なんといっても「みはり塔」が良い。これだよ、この読後感を待ってたんだよ。”夢だね。今よりもっとマシな人生があるかもしれないっていう悪夢。”

  • 読み終わった後に作品の世界に浸れないのがこの人の作品。だからこそ読んでしまう。
    女子高生を描くなら、『センチメントの○○』より断然こっちだと思う。

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著者プロフィール

カルフォルニア大学サンタバーバラ校助教授 
専攻=映画理論・日本映画
Dialectics without Synthesis: Realism and Japanese Film Theory in a Global Frame, University of California Press, 2020, “Eye of the Machine: Itagaki Takao and Debates on New Realism in 1920s Japan,” Framework 56, no. 2 (Fall 2015).

「2019年 『転形期のメディオロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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