わたしは真悟 1 (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 11)
- 小学館 (2009年12月26日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091828651
作品紹介・あらすじ
21世紀への警鐘!楳図かずおの最高傑作、完全版!!
PROGRAM 1[誕生]▼Apt1/ロボットは組み立てられた▼Apt2/ロボットは着いた▼Apt3/ロボットは動き始めた▼Apt4/ロボットは少年と出会った▼Apt5/工場にて▼Apt6/ロボットと少年と少女と▼Apt7/ロボットを見学して▼Apt8/夜の工場▼Apt9/位置ぎめ▼Apt10/入力(インプット) PROGRAM 2[学習]▼Apt1/N▼Ame!?▼Apt2/解体▼Apt3/回路
●主な登場人物/近藤さとる(父親の工場にやって来たロボット“モンロー”に興味を持つ小学6年生の少年)、山本まりん(さとるの父親が勤める工場で、さとると偶然出会った少女。父親は外交官)
●あらすじ/父親から「うちの会社にロボットが入社する」と聞いたさとるは、ロボットに興味津々。次の日、学校で同級生にこのことを話すが、誰も相手にしてくれない。その頃、さとるの父親の工場にはロボットが届いていた。そのロボットとは…(▼Apt2)。
●本巻の特徴/楳図かずおの最高傑作が、ついにUMEZZ PERFECTION!で刊行(全6巻)。雑誌連載時カラー80ページ、単行本収録時追加カラー156ページの全てを完全収録!!
感想・レビュー・書評
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魂のふるえる最強の恋愛漫画。
コンピュータを擬人化する試みは幾千と重ねられているが、これほどまでに血肉の通った物語は他にない。ロボットと言えば、多分に漏れずわたしのなかにも手塚先生の「ロビタ」が根っこにあって、湿っぽくならない程度にきゅんとさせられていたのだけれど。遥かに凌ぐ勢いでわたしの領域を侵食してきた。子供からおとなになるときのある「世界」から、置いていかれることへの恐怖が見事に描かれていて、それは、自分とそれを取り巻く世界の不可分な関係を、機械と言葉と、それから「愛」というものをちりばめて描いてあって、すっかりおとなになってしまったわたしには、なんかもう無性に泣けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SF・ジュブナイル・恋愛・陰謀もの・神話など、様々なテーマが詰め込まれた楳図かずおの漫画。
序盤は、主人公である少年「さとる」と少女「まりん」が子どもながらに愛を貫こうとし、所詮子供の恋愛だと一笑する大人達に対してさとるの父親が働いている工場にあったコンピューター<モンロー>を介して対抗していく展開。中盤以降は、二人が離ればなれになってしまった後で<モンロー>が二人を繋ぐメッセンジャーとして意志を持って街をうろつきだすSF色の強い内容になり、徐々に神秘的で不可解な出来事が強まっていく。
中盤以降の不可解で啓示的な展開も面白いのだが、とにかく物語全編を貫く核となる少年と少女の出会いと別れを描いた前半が素晴らしい。美しすぎる。
大人になると誰もが失ってしまう子供の世界と秩序の中で生きる少年と少女が、大人になることを頑なに拒否して戦い続ける姿にはかなりぐっとくるものがあった。
物語としては全体的に整合性が取れていない部分や無理矢理な展開が多く、やや不細工な漫画ではあるのだが、作者である楳図かずおの作品に込めている強い情念と意志がその不細工さを凌駕している。
特に主役の二人が東京タワーに登る場面は非常に高いテンションで描かれており、入魂の名シーンだと感じた。
「わたしたちは今が一番幸せな時かもしれないわ」というまりんのセリフや、ランドセルを踏み台にしてジャンプするシーン、そしてその跳躍の結果として<モンロー>に起こる事象などは、子供から大人への成長とそれに伴って失われるものを強く意識させられる。
全体的に物語が形而上学的に構成されており、現代をベースにしながらもどこかおとぎ話のような、不可思議で隠喩的な表現の多い作りになっているせいか、読んでいると自分でもよくわからないままに童心を(あるいはそれを既に失ってしまった自分を)思い返してぐっと涙がこみ上げてしまうようなところがあった。
楳図かずおの作品は漂流教室くらいしか読んだことがなかったので「ぶっとんだ設定のホラー漫画家で、絶叫顔を描く達人」という程度のボヤ〜ンとした印象しか持ちあわせていなかったのだが、読んでみると非常に独特で魅力的なインスピレーションを持つ熱い漫画家だと感じた。
ホラー漫画家であるのに悪いことと良いことの境目をあえてあやふやに描いているところが面白い。シーンに対して読み手が恐いと思えばいいのか、笑えばいいのか、怒ればいいのか、判断に困るような演出をおそらくはわざと行っていて、そこが怪しい魅力になっている。
単純に「この人の感性によって描かれた荒唐無稽な物語・場面・シーンをもっと見てみたい」と思わせる個性があり、熱狂的なファンがいるのもうなずけた。他の作品も読んでみようと思う。 -
楳図かずおの最高傑作。
男の子と女の子二人が離れ離れになってしまう際に二人のこどもとして名づけた機械が自立行動をし始めてしまいそこから発生するお話。
二人と一台?の会えそうで会えない展開がたまらない。
何度読んでも面白い。
圧倒的に面白い。
楳図作品のわりにグロはあるが少なめ。 -
たたみかけるような疾走感、この感覚、楳図作品でなければ味わえない。
誰もが「通過」する子供の時代。
さとるとまりんの恋は
この上なく純粋であり、かつ、この上なく危険な選択だったのかも知れない。
子供の無邪気さの本質を鋭く描く、楳図作品最高傑作のひとつ。
“真悟”の奇跡は誰にでも起こるのだ。
333のてっぺんから飛び移りたくなる、電脳版小さな恋の物語。
楳図フレーバーでどうぞ。 -
子供が終わる音がするわ!
だなんて、なかなか出てこない言葉じゃないかな。
さとるのまっすぐな目は気味が悪かった。
まりんのような少女に出会いたい。
大作!
全6巻。
(10.10月ごろ) -
数ある楳図かずおの作品の中でも一番ぶっ飛んでる最高傑作
考えるな感じろ
祖父江慎+吉岡秀典の装丁もカッコいい
見学生徒の列の最後に・・・
美しい人が・・・
一人・・・
いただろ・・・ -
楳図かずお作品。
漂流教室以来です。
自宅にあったので読んでみましたが、読み終わってびっくり、2500円もする!
なんで?
火の鳥黎明編の様な展開になるのでしょうか。
まだまだ導入期。
まりんちゃん、可愛い。 -
一巻から既に感動的。ジュブナイル的な展開からこの後の流れが心にぐさり。
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この漫画が最初の楳図作品やないかな??むちゃくちゃ衝撃受けた。
何にって、抽象的だけど、小学生の頃、あたしそこまで考えられたかな?って。
種類の違う生き物のと心を交わそうとする純粋な気持ちと、与えられたことに感謝する気持ちの交錯があたしには本当に衝撃的だったと思う。 -
独特な雰囲気に飲まれつつ今のところ面白く読んでる。リズムよく読めるところと、楳図作品のエキセントリックな人物たちのやり取りは竹中直人のコントみたいですごい好き!(笑)