築地魚河岸三代目: 江戸前の心 (3) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091843586

作品紹介・あらすじ

▼第1話/ヒラメの上目遣い(前編)▼第2話/ヒラメの上目遣い(後編)▼第3話/江戸前の心(前編)▼第4話/江戸前の心(後編)▼第5話/アサリは何処へいった(前編)▼第6話/アサリは何処へいった(後編)▼第7話/日本の魚とフランスの味(前編) ▼第8話/日本の魚とフランスの味(後編)●登場人物/赤木旬太郎(元・銀行マン。妻の実家、築地魚河岸の仲卸『魚辰』の三代目を継ぐことに…)、拓也(『魚辰』に入って3年目。素人の三代目をいろいろ助けてくれる)、英二(『魚辰』を実質的に仕切る男。魚の目利きはとくにスゴ腕)、雅(『魚辰』6年目。仕事がおもしろく、素人の三代目がおもしろくない?)、エリ(お帳場さんと呼ばれる経理担当。フグが好き) ●あらすじ/旬太郎が大きなヒラメを買ってきた。でもそれは、通称こそ「オオヒラメ」だが、実は「オヒョウ」という別の魚なのだった。だまされたことに怒った旬太郎は、オヒョウを売りつけた店に押しかけるが、店主に「だまされるほうが悪い」と一蹴されてしまう…(第1話)。●その他の登場人物/『新宮』三代目(築地仲卸の老舗の三代目。"築地のサラブレッド"と呼ばれるエリートで、魚の目利きは築地で五本の指に入る腕前)、明日香(旬太郎の妻で、『魚辰』のひとり娘。料理がヘタで、魚にも触れない)、大旦那(旬太郎を三代目にした張本人。店にはあまり顔を出さないが、その影響力は大きい)

感想・レビュー・書評

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  • 現代日本では寿司は高級化しているが、江戸時代は屋台で食べるファーストフードであった。寿司は庶民的な食べ物であり、江戸の町人文化には欠かせないものであった。江戸前寿司は江戸の町の人々に愛された。

    高級料理と思われている寿司も本来は値段と味は比例しない料理である。フードロスをなくすというSDGs; Sustainable Development Goalsにも通じる取り組みであった。
    大石賢一作、はしもとみつお画『築地魚河岸三代目 3』「江戸前の心」には「安い魚、鮮度が落ちやすい魚でもなんとか旨く食べてもらおうと、先人たちは工夫に工夫を重ねてヅケや酢締め、煮貝といった江戸前と呼ばれる技術にしていった」との台詞がある。
    漫画『江戸前鮨職人きららの仕事』で海棠きららは、私の握りたい鮨は一部の金持ちだけが食べられる鮨じゃないと主張する(早川光原作、橋本孤蔵漫画『江戸前鮨職人きららの仕事 1』集英社、2003年)。
    鹿賀ミツル原作、加藤広史作画『おすもじっ!◆司の一貫◆』「第壱貫 平目」は捨ててしまう部位も美味しく調理できることを示した。「第弐貫 鯵」は鯵を「安もんやし、青臭いし、黒っぽうて陰気な魚や」と見下す客をギャフンと言わせる鯵の寿司を出す。

    米国の小説では寿司がジャンクフードとして紹介される。「LAじゅうのありとあらゆる店で大量のジャンク・フードをつまんできた―ドーナツ、ブリトー、ピザ、スシ、なんでもだ」(ニール・スティーヴンスン著、日暮雅道訳『スノウ・クラッシュ 新版 下』早川書房、2022年、373頁以下)。
    江戸時代の寿司は屋台で食べるファーストフードであり、寿司をジャンクフードの仲間に考える方が寿司の歴史からは正しい。ハンバーガーはパンという炭水化物と肉を同時に食べるものである。寿司も米という炭水化物と魚肉を同時に食べるものである。

    日本人の和菓子離れが指摘されている。「和菓子は手土産や旅行の土産など、ハレの日需要が中心だ」(阿古真理「「ういろう」「落雁」「ねりきり」知らない10代も、紀の国屋廃業で注目、日本人の「和菓子離れ」加速する5つの理由」東洋経済Online 2022年5月20日)。洋菓子と異なり、日常の消費が乏しいことが原因である。寿司もカジュアルな消費が大切である。それでこそ、これから先もずっと愛され続けるだろう。

  • この本を読むまでとても身近な場所なのに船橋三番瀬の問題は知りませんでした(反省)

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著者プロフィール

漫画原作者、作家。1963年、長崎県生まれ。長崎県立佐世保商業高等学校、中央大学文学部卒業。スタジオ・シップ勤務後に漫画原作者として活躍。代表作に『築地魚河岸三代目』(小学館)、『東京地検特捜部長・鬼島平八郎』(日本文芸社のち小池書院)、『火災調査官 紅蓮次郎』(日本文芸社)。現在は東京工芸大学芸術学部マンガ学科の非常勤講師なども務める。

「2018年 『運は人柄 誰もが気付いている人生好転のコツ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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