機械仕掛けの愛 1 (ビッグ コミックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 321
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091846440

作品紹介・あらすじ

ロボットのワタシも、泣いていいですか。

本作『機械仕掛けの愛』、第17回手塚治虫文化賞 短編賞受賞が決定!
著者、業田良家氏入魂の単行本第1集の内容は以下の通り。

本を愛する刑事、最強の兵士、
子育てのベテラン、失敗ばかりのダメ店員……
ココロを持ったロボットたちの愛情と葛藤、
そして“人間”を描きだす、切なくて温かいオムニバス!!

持ち主に飽きられたペットロボの女の子は、
愛された記憶を頼りに“お母さん”を捜すが…?
人間の遺言で自由を手に入れた、介護ロボの苦悩とは?
思い出を託された執事が、約束を果たすために選んだ道は?
ロボット神父は、搾取に苦しむ農民たちを導けるのか?
機械仕掛けのココロの系譜、9編を収録。



【編集担当からのおすすめ情報】
ヒトではないキカイが、「生きたい」と叫ぶ。
錆びついた心に響くロボットシリーズ、開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 【人の在り方を見せつけるロボット達の悲しい物語】

    皆さん、今週末は壮大なテーマを優しい描写で包み込んだ作品
    を大切な方と一緒に読んで、もう一度お互いの愛情を再確認して
    みませんか??

    そんな今回は福岡県が誇る人情漫画家の業田良家氏の傑作、
    『機械仕掛けの愛』をご紹介します。

    この作品の主人公は表題通り機械であるロボットをメインに
    据えながら、そんな彼らが活躍する近未来の世界感を背景に
    人間の切なさ、愚かしさ、そして深い愛情を淡々とした描写
    で書き連ねているのが特徴になっています。

    上記に加え短編集であるが故にストーリーが凝縮されており、
    特徴的な描画を全面に押し出す事で暖かい雰囲気を醸し出し、
    読者の心を大きく揺さぶってくれるのです。

    この作品を読むと、もしかして”心を持つ”事は不幸なのでは
    ないか、と思ってしまう方もいるかも知れません。

    それはこの作品に収められている九話全てが言いようも無い
    深い悲しみに覆われているからです。

    第一話の『ペットロボ』の女の子は何故寂寥感を持ったのか?
    第五話の『罪と罰の箱』のボノボの正しい行いの結果とは一体
    何だったのか?
    第八話の『リックの思い出』のリックは人の死に当たり何を
    思い行動したのか?

    そういった哲学的な問題にまで踏み込み、あくまでも人間の
    代用品として心を持たず、感情すら無いロボット達の行動を
    通じ、道徳観が薄れ、正しい行いすら理解できず、同じ人間
    なのに他人を憎悪し、蔑み、あざ笑い、蹴落とす事に快感を
    覚える・・・

    生まれた時には誰もが持っていた人を思いやる心、人に対する
    愛情をいつの間にか無くして迷走し続ける現代の私達を辛辣に
    批判しているのです。

    購入した本作品には帯がついていました。
    それにはこう書かれています。
    『ロボットのワタシも泣いてもよいですか。』

    本作に描かれているロボット達以上に『人間味を持っている』
    と自信を持って断言できる方は私も含めてほとんどいらっしゃ
    らないと思います。

    そんな人として一番大切な心を無くしたロボット以下の私達が
    『人間である』と公言できるのでしょうか?

    こんな時期だからこそ人として存在できる定義、『他人を思い
    やる心』を今一度再確認してみては如何でしょう。

    読後、涙でボロボロになってしまった妻を見て更に愛おしく
    思った・・・むうでした!!

    PS:TWITTERでフォローさせて戴いている方の中に、本作の
    帯文を書かれた担当者の方がいらっしゃいます!!
    機会があれば・・・応援してあげてね!!

  • 近未来で、ロボットが普通に人間と共存する世界の悲喜こもごもを描いた作品。

    『ペットロボ』から『グレイト・シード』まで、9篇の短編集。それぞれ味わいのある作品です。

    持ち主に飽きられたペットロボの「まい」。
    かつて愛された記憶を頼りに、優しかった女性〝お母さん″を探すが、そこには...

    病人に尽くすことを喜びとする介護ロボ。
    親しくしていた患者さんが亡くなり、遺言状で、全財産を介護ロボに譲ることに。
    莫大な遺産を相続し、働く必要もなく、悠々自適の生活を手に入れた介護ロボの取った判断とは?

    特に、『リックの思い出』は、かつてロビン•ウィリアムズ主演の映画『アンドリューNDR114』にも似た流れで、つい涙がほろり...

    ロボットの記憶って、単なるICチップだけではないのでは?と思える作品群です。

  • 安定の業田クオリティ。
    ロボットを相手にするがゆえに人間のエゴがむき出しになったり、逆にやさしさがにじみ出たりする。
    とても切なく、心に残る物語。

  • ロボットを通して人間を描いた秀作。善人、悪人とは心のあり様ですが、そこに心を持たないはずのロボットを置くと、心の輪郭がくっきりと見えてくる。損得や保身よりも主人である人間に自己犠牲の精神で尽くすも、最後は型落ちした家電の様に廃棄されるロボット達に愛おしさを覚える。心のビタミン剤の様な短編集。

  • どこかにアトムがいそうだなと思うような世界観でした。
    悲しい話が多い気がするけど、最後には少し救われているような気がするので嫌な気持ちにならずに読めます。

    主人との思い出を無くさないように頑張るロボットの話が個人的に一番好き。
    これは二巻買わねば。

  • ロボットと人との交流が時に切なく、時にコミカルに、時に残酷に描かれる。読み終えて優しい気持ちになれる、愛おしい作品群。「リックの思い出」にほろりとした。

  • 人間でない機械が人間的感情を持つことにより、人間的感情のおかしみ、哀しみを更に際立たせている.
    業田良家の人間哲学は好みですねえ.

  • これは素晴らしい。ロボットをテーマにした上質な短編集。7月末に2巻が出るとのこと。待ち遠しい。

  • ロボットが心を持ってしまう話と言えば、あぁ、そういう話ねとかよくある話ですねと感じるぐらいそういう話は色んな形態の媒体で使い果たされた感があるが…それでも、ロボットから見た人間という人の心をそれぞれの時を送ってたロボット達から見つめた時、人間は、愚かしくも汚いと思いながらも、ロボット達が人に対してひたむきに接する事で人では無い機械が心を開花させ、誠実に行動する時、その純粋な想いは捨てたものではない人が持ちうる一つの心の側面だなと感じ、目頭が熱くなってしまう。やっぱり良い。

  • 兵士や刑事だったロボットの末路は悲しく描かれ。子育てロボットや、子供代わりのロボットの話は、最後は温かい気持ちに。体はお前らのものだが、心は神様のものだから、と信念を持って死刑囚を逃し続けた神父の一言がぐっとくる。総じて、ロボットも、人間らしい感情を持つ、あるいは最初はそうでなくても感情や理想や信念が芽生えるように描かれているように感じた。

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