- Amazon.co.jp ・マンガ (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091847201
感想・レビュー・書評
-
全巻通して読み終わりました。
SFとしても見事、伏線回収も含めてミステリとしても一級品。私はこれ読んで「あぁ原作読みたい!」となりました。やっぱり良いものは良い。実に良いコミカライズだと思います。
全体的に「そうだ、俺達人間はこうしてのし上がってきたじゃねぇか!」というような人間賛歌を感じるストーリーでした。ゾクッとしました。スカっともしました。ただまぁ、こういうのにゾクッとするというか、スカッとするっていうのは、何なんでしょうか。いや、当然物語が面白かったとか、そういうのもあるんですが、その一方で何か一抹のモヤッとした感じを抱いてしまう。
やっぱり肯定したいんでしょうねぇ、人間存在という自分達の存在のあり方を。そういう欲望というか、願望というのが、私の感じたものもそうですし、物語そのものの背後に隠れているような気もします。
読みようによっては、戦争や差別、虐待や貧困といった負の歴史から、抜き難い攻撃性から、知性の闇まで、人類の闇は全てテューリアン人が責任を取って謝ってくれるみたいな、自分達とは違う異世界の超越者が責任を取ってくれるみたいな、だからお前たち人類は大丈夫だみたいな、むしろよくやってきたじゃねぇか見直したぞみたいな、そういう話としても読めるわけです。究極のご都合主義ですよ。
ただ、そうと感じつつもね、まぁ、気持ちは頗るよくなるわけですね。「僕らが悪いんじゃないんだ! むしろ僕らはこれまで頑張ってきたほうなんだ!」って思えるというのは確かにある種のカタルシスをもたらしますから。
タイトルの『星を継ぐもの』。何というかそういう意味では複雑な気持ちになった読後感でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まるで1本の壮大なSF映画を観たような充実感・・・
大変堪能できました。
すべての謎に答えを出しての物語の終焉は・・・
素晴らしいの一言です。
星を・・・太陽系を継ぐ者として進化した人類。
現実でも辿り着ける場所なのでしょうか?? -
思わず「おお」とうなる美しい展開。原作譲りにしても、漫画家と相性がすごく良かったんだろうな。僅か4巻で語りきった名コミカライズ。
-
J・P・ホーガン原作の”巨人たちの星”シリーズ(「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」)をマンガ化したもの。
今回で完結する。
ジェヴレン人(ランビア人との末裔)の存在と、彼らが人類を支配しようと策謀を巡らしている事に気付いた主人公たち。
一方、シャピアロン号の巨人たち、ガルース船長らは、自分達の末裔がその対立の元を作ってしまった事に気付き、どちらにも加担せず、去っていこうとする。
武力面では話にならないほど差があるジェヴレン人に対して、どのように対抗していくのか・・・。
「星を継ぐもの」の方は何度も読んだので、ストーリーをよく覚えているが、他の2作については、記憶がかなり曖昧なので、どの部分がどのようにアレンジされているのか、といった楽しみ方はできなかった。
先日、後日譚である「内なる宇宙」を古本屋で入手したので、今度、それも含めて読み直してみたい。
印象的だったのはジェヴレン人のヴェリコフに協力するように説得するシーン。
ちなみにこれまでのすべての「謎」の種明かしにもなっている。
ヴェリコフの説得はガニメアンのガルース船長が行う。
その説得に用いた方法は「真実を語る」こと。
目の前の損得ではなく、そもそもの始まり、自分達(の末裔)が行った暗部も包み隠さず話した上で、協力を求めた。
(捕まって、カマをかけられたとはいえ、ヴェリコフは一度、ジェヴレン人側を裏切っている、というのが底辺にはあるが)
不都合な事は無かった事、もしくは過小に扱い、都合のいい事は針小棒大にして語る事は誰にでもできる。
が、真実を語る事は、そう簡単ではない。
本当は一番の近道なのかもしれないが、一番、勇気がいる事なので、そうできない事が多い。
どこかの国で話題になっている問題も、お互い自分にとって都合のいい事ばかり言っているうちは決して進展しないだろう。
ところで、原作では「星を継ぐもの」のラスト近くでダンチェッカー教授が論理的考察だけで真実に近い所まで迫るシーンがお気に入りだったのだが、マンガではアレンジされ、別の人物に持っていかれてしまったのが少々、残念。
ダンチェッカー教授のようなキャラは好きだっただけに・・・。
(実際にいたら、敬遠してしまうかもしれないが) -
J・P・ホーガンの星を継ぐ者を原作とした漫画の完結巻。
原作そのままではなく、同著者の続編の要素を含んだオリジナルの内容となっているらしい。
SF漫画に対して評価が甘い自覚はあるけれども、とても面白かった。
原作を読んでないのでそっちも是非読んでみたい。