健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

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著者 : 柏木ハルコ
  • 小学館 (2014年8月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091863577

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)の感想・レビュー・書評

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  • 内容の簡単な説明は他に任して私は自分の経験に照らして感想を書く。

    とは言っても、経験を軽々しくは書けない。私は彼らの人生をどられくらい知っているのか、自信がない。ただ、労働組合運動で10件ほどのケースに接してみて思うのは、例えばパチンコで生活保護費のほとんどを使ってしまって困っているという話を聞いて、軽々しく不正受給だとか、受け取る資格がないとか、生活態度を改めるべきだとか、人に話したり、SNSで書くべきではないということだ。そのことが仕方ないことだとは、私も思っていない。しかし本人に優しく厳しく注意出来るのは、本人と深く関わっている支援者だったりケースワーカーに限ると思うのだ。

    私がビックリしたケースにこういうことがあった。ある生活保護受給をしている青年で、仕事も決まったばかりの彼が、新しい給料が出るまでの生活費の1-2万円を借りれないかと言って来たのだ。私は意外だった。彼はたまたま職を失っているけど、側からみても他の受給者の世話を献身的に行い、性格もいいホントに好青年だったのだ。労組としてそういう金銭援助は禁じられているとしても、ポケットマネーで貸すぐらいは何とでもなりそうだった。しかしその時の労組専従はキッパリと断り冷たく突き放した(ように見えた)。彼はもともとパチンコ依存症とでも言うべき理由で受給者にまでなったというのだ。金はなくとも餓死しない知恵はあるだろう、というのが専従の考えだった。つまりは厳しく当たらなければならないケースだったのである。私は自分の考えの甘さを恥じた。

    不正受給は件数で全体の2%、金額では全体の0.4%にすぎない。一方、利用することか可能な人が利用している割合(捕捉率)は2割程度だ。あとの8割は利用していないのだ。

    我々納税者は、しなければならないのは、不正受給を糾弾することでも、生活保護費の増大を嘆くことでもない。命の危険に晒されているあと8割の国民の生存権を守ること、増え続けている生活保護費の元凶になっている穴だらけのセーフティーネットの責任を追求し再構築を求めることだろう。「その財源はどうするのだ」と必ず反論が来る。だからこそ私は「責任」を追求しろ、と言っている。

    受給者の就労意欲について、我々がコメントするようなことなど一つもない、というようなことがこの漫画の様々なケースを見るとわかってくる。それこそ、ケースワーカーや支援者の専門的な支援に感謝して期待したい。

    いや、一つ我々にも出来ることがあった。受給者は一人一人様々なケースがあることを、この秀逸な作品を通じて「知る」ということである。私も数件だけと、具体的なケースを知らなかったら、こういう確信は持てなかったのだから。

  • 本屋でお試し一話を読んで続きが気になり購入。生活保護かあ…。いろいろ知らないこと多いな。とは言え新人でいきなり100世帯のケースを持たされるって大変そう…。支出は押さえたいけれども本当に必要な所には出し惜しみしてはならない。その辺りの加減が難しそうですね。

    とは言え主人公みたいな頼りないケースワーカーさんが付いたら困るなあ…。相談に行ってちょっとわかりません、じゃあ一大決心して行く人も心が折れるのではないかと。自分が軽んじられてるような気がするし。重たいテーマなので難しいですがいろいろ考えさせられます。

  • こんな漫画があるってすごい。
    もっと発信してほしいと思った。

  • 今就職活動とか言うものをしつつ、公務員試験を保険としか考えていない学生たちはこれ読んで出直してきたほうがいい。

  • あらすじ見て気になったので読んみた。生活保護のケースワーカーとして働くことになった子の話。
    いろいろ覚えることも多い上に、コミュ力高くないと大変な仕事というのがよくわかった。
    そのうち、ドラマ化するんじゃないかなと思う。

  • 2015/04/15開催の若手ビブリオバトル@雑司ヶ谷で紹介された本⑤。翌日ネカフェですが京都にて1巻まで読了しましたのでレビューします。

    私は福祉事務所には行ったことはありません。でも、リアルに生活保護受けてもおかしくない生活はしていたことがあるので、結構リアルだなぁと思って読みましたよ。

    生活保護に関する知識は、何処にでも当てはまるような本当に基本的なレベルについてさっとしか触れていません。ですから、生活保護についてしっかり知りたかったら「自分の生活地域でどうなってるか」を特に意識して、漫画で得る知識とは別に調べる必要がありますね。ケースワーカーという仕事を把握する上でも同じです。
    ここで描かれてる人間模様も、「現実よくあること」ではなく、「こういうケースもあるんだ」と一旦突き放す必要を感じました。「生活保護受給者にも様々な事情がある」こと以上に、「生活保護受給者という括りで、彼ら・彼女らがどんな人達なのかを一概に説明することなど不可能」ということをむしろ読み取るべきだと思います。

    難しいですよ。この漫画。おそらく、百人いれば百人違う読みになるでしょう。受ける印象から共感度までかなりバラツキが出るんじゃないかな。理由は単純。「この漫画を読んでいる今の自分がどういう生活状況にいて、これまでどういう生活を経てきたか」がその時々の漫画の評価にモロに影響を及ぼすテーマだから。そういうテーマだと思いますね、生活保護って。
    その分、「繰り返し読めば読むほど味わいが変わる」面白い漫画とも言えましょう。

    それでも、この巻に描かれているどの生活保護受給者達にも共通するある面に私は読んでいて気付かされました。それは「生活保護なんかに頼りたくない」という至極真っ当な想いです。その想いが「こんな事になったのは自業自得で、責任は自分で取るのが当たり前だ」という形で露骨に対応として現れている姿です。一見個人主義的で上昇意欲がある結構な態度と思いがちですが、生活保護受給者達に至ってはそういう意識が改善に対する足枷にすらなっている。

    本来なら、人に頼ることで人から頼られるのが当たり前なんです。自分で自分の責任を取り切れない弱さゆえに受給しているんです。

    そういった状況下で「自分の意志で選択したんだ」という自負とか、「自分はこんな人間じゃない」という自尊心とかは全部裏目に出ます。心の底から頼り、一緒に弱さを克服していかなくてはならないことを受け入れられない。阿久沢さん、岩佐さんはそういう面がかなり強く出ていると思いますね。

    そんな訳で義経ちゃんはじめ新米ケースワーカーさん達に言いたいのは一言、「ま、頑張って」。

  • 連載開始当初から公務員クラスタ、特にウチらケースワーカーの間でかなりの話題になっていた柏木ハルコさんの「健康で文化的な最低限度の生活」の第1集が販売されましたので購入してきました。

    東京都東区の東部福祉事務所に配属された新人ケースワーカー・義経えみるの奮闘を描く物語。
    「これから死にます。」配属された初日の終業時間ギリギリにかかってきた一本の電話に揺れる第1話から、ケースワーカーが直面する「どうしたらええの?」をリアルに表現しています。

    生活保護を題材にした漫画はこれまでにも「陽のあたる家」があるのですが、視点がケースワーカーというのは漫画ではこれが初めて(なはず)。
    生活保護を巡る視点というのは、受給者を視点に受給者をバッシングするか、行政をバッシングするといったものが多く、どちらのスタンスでも現場のケースワーカーは心をすり減らされるため、いつも「キツいなぁ」と思っていたのですが、この漫画では比較的フラットにケースワーカー側、受給者(ケース)側から描かれていて好感を抱きました。
    例えば、第4話で保護受給前に作った借金を保護費から返済していることを隠していたケースで、福祉事務所の窓口に行くことを「まな板の上のコイ」「ヘビににらまれたカエル」「針のむしろ」と言うのはケースワーカー側にも理解できる感覚です。

    と、いいつつも……実はワタクシ、連載開始から3話まではコンビニで立ち読みしていたのですが、以降は「単行本にまとまってからでいいや」と放置してしまいました。
    第1集ということもあるのでしょうが、一つ一つのケースの踏み込みが浅く、「ケースワーカーあるある」に留まっている感が否めないなぁ、というのが正直な感想。それだけ、踏み込んじゃうと一話で描けないという所なのかもしれないのですが、少しずつで良いので、薄く広くでなく「ここを描きたいんだ」というのが見えてくるといいんだけどなぁ……。

    かなり現実からするとマイルドになっていますが、ケースワーカーという仕事を知るにはちょうど良い一冊だと思います。
    第2集も楽しみです。

  • 726.1||Ka77

  • 図書館に5巻があったので(最近、図書館には漫画ばかり置かれているような気もする)借りた

    この世界を知らない人が中学生にも見える主人公と一緒に知っていくのにはちょうどいい本のような気もするけれど、現実はこんなに甘くないだろうし、でもそんな現実を描いたら誰も読みたくないだろうし、と思った

    「知る」ことは一歩だから

    『ブラックジャックによろしく』系の漫画かな

  • 生活保護をここまで掘り下げた企画が、よくも通ったものと。社会福祉事務所という局所化したなかでの保護費削減にはげむのは正しいとは思うのですが、非常識な使い方の政務活動費を平気で通すのも公務員という矛盾。結局は、弱い者いじめに近いんじゃないかとも思えたのでした。

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健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)の作品紹介

[生活保護]のリアルに迫る青春群像劇

新卒公務員の義経えみるが配属されたのは福祉事務所。

えみるはここでケースワーカーという
生活保護に関わる仕事に就くことになったのだが、
そこで生活に困窮した人々の暮らしを目の当たりにして――


新聞メディアはもちろん、
現職のケースワーカー、医療、福祉関係者の方も注目する本格派ドラマ!

[生活保護]に向き合う新米ケースワーカーたちの奮闘劇、開幕!

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)のKindle版

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