健康で文化的な最低限度の生活 (2) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091867469

作品紹介・あらすじ

生活保護に向き合うケースワーカー奮闘劇!

福祉事務所でケースワーカーとして
働きはじめた新人公務員の義経えみる。
生活に困窮している人々を支援することの難しさに悩みながらも、
日々、[生活]の最前線で奮闘している。

そんな折、就労支援に取り組む最中で、
えみるが担当する阿久沢さんに多重債務が発覚!
一方、同期の七条が担当する岩佐さんも、
高い就労意欲とは裏腹に精神的に追い込まれ…
対応に葛藤する新人ケースワーカー達。
彼らにできることは何なのか?

==============
2集では、容易にはいかない“就労支援”の実態と、
騒がれている“不正受給”の、とある一面が描かれる。

医者でもない。警察官でもない。
けれど、[生活]を救える仕事がある!

新人ケースワーカー達の奮闘劇、渾身の最新作!!

感想・レビュー・書評

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  • 福祉事務所でケースワーカーとして
    働きはじめた新人公務員の義経えみる。
    生活に困窮している人々を支援することの難しさに悩みながらも、日々、[生活]の最前線で奮闘している。
    そんな折、就労支援に取り組む最中で、えみるが担当する阿久沢さんに多重債務が発覚!
    一方、同期の七条が担当する岩佐さんも、高い就労意欲とは裏腹に精神的に追い込まれ…
    対応に葛藤する新人ケースワーカー達。
    彼らにできることは何なのか?
    2集では、容易にはいかない“就労支援”の実態と、
    騒がれている“不正受給”の、とある一面が描かれる。
    医者でもない。警察官でもない。
    けれど、[生活]を救える仕事がある!
    新人ケースワーカー達の奮闘劇、渾身の最新作!!

    多重債務が発覚した阿久沢さんも就労意欲はあるけど夫のDVのフラッシュバックや就労しなければというプレッシャーから抑うつ状態にあることを隠していた岩佐さんも文盲であることがケースワーカーに言えなかった中林は、自らの尊厳を守るためにケースワーカーに多重債務や文盲や自分のメンタルのことを打ち明けられなかった。
    そういう生活保護受給者の心をほぐし信頼関係を築いて悩み苦しんでいることを打ち明けてもらうには、こちらの都合を押しつけるのではなく待つこと見守る忍耐強さもケースワーカーに必要なことが、阿久沢さんや岩佐さんや中林さんのケースから分かる。
    また生活保護受給者をバッシングするやり玉に上がっていた「不正受給」の大半は、世帯員の申告漏れが原因である。
    この巻で取り上げた日下部さんのケースは、まさにそれ。
    生活保護受給者世帯の自分は、アルバイトしたら収入申告を知らなかったことが原因。
    音楽でプロになりたいというささやかな夢も、ギリギリの生活の中で音楽を楽しむことも、許されない息子の欣也の怒り、ギリギリ生活している日下部さんに徴収金の説明をしなければならないえみる、それぞれが辛い展開の2巻。

  • 柏木 ハルコ プロフィール | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/list/author/5f6486317765611014000000

    (10)「柏木ハルコ」 - 浦沢直樹の漫勉neo - NHK
    https://www.nhk.jp/p/manben/ts/7W327R2Y4N/episode/te/L87R9ML7Z2/

    健康で文化的な最低限度の生活 2 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09186746

  • 私はボランティアで労働相談の真似事をしている。そのためか、常識人や非常識人含めて、何かあるごとに私に「生活保護の人って働かないでベンツ乗れるってホント?」という種類のことを聞いてくる人がいる。「それより、不正受給はちゃんと取り締まってもらわないと」という不満を口にする。それは「俺たちは働きすぎるぐらい働らいて税金を納めているのに、彼らは働かないで税金を掠め取っている」という気持ちがあるからだろう。だからといって、「生活保護受給者は楽して食べている」とか、「パチンコはしてはいけないし、車も絶対乗れない」とか、誤解と偏見に満ちた意見を持ったままでいいということにはならない(どう誤解と偏見なのかは、ここでは述べない。読めばわかる)。

    第14話冒頭にあるように、生活保護利用者数216万人1053人、生活保護総額3兆6028億円、うち不正受給額190億5372億円、割合にして全体の0.5%(平成24年度)なのである。しかも、この巻後半で描かれているように、「不正受給者」のほとんどは制度説明の不徹底によるもので、裁判になるほどの悪質なのは100件と少ししかない。それよりも国民としても直視しなくてはならないのは、収入が最低生活費を下回っている世帯のうち、現に生活保護を利用している世帯の割合(捕捉率)は15~18%に留まっているということだ。こちらの方が問題であり、このことの根本的な解決を外しては増え続ける生活保護問題は解決しない。いや、むしろ行政がそのことを直視し目を向けさせるために憲法は「健康で文化的な最低限度の生活」という言葉を入れたのだ。

    と、いうようなことを(上から目線のごとく)つらつらと述べても、私の経験上、理解しない人は全く理解しない。その前に問題の「不正受給」の実態とはどういうものなのか、こういう作品を見ることの方がよっぽど理解の助けになるだろう。
    2015年2月読了

  • センシティブな「問題」を、よく取り上げたものだと感心した。取り上げられたケースは、慎重に練り込まれているように思う。この作品をきっかけとして、広くこの「問題」が
    共有されるといいと思うが、センセーショナルな取り上げられ方にならないようにと、切に願う。

  • 担当する世帯の状況や人柄にもよることから
    どう提案し、どう向き合うか難しい。。
    異動が多くて担当が目まぐるしく変わる公務員だからこそ 保護される側だったら毎回担当者に心開くまでに時間がかかりそうだなぁ〜と思いました

  • 借りたもの。
    制度に関する知識や事務処理の技能以外のものが求められる現場であることを痛感する。
    心配で一日に何度も留守電を残してうつ病の人にプレッシャーをかけてしまう(健常者でもこれはプレッシャーでは?)七条。
    専門性が高く、真面目、合理的で容赦ない栗橋は担当していた中林さんが字を読めない事に気づけなかった……
    それは教養を受ける機会が無かったためかも知れないし、失読症だった可能性もある。
    ケースワーカーは生活保護の専門性だけで対応できるものではなかった。

    半田さんのコメントは心に響く。
    それはカウンセラーの傾聴にも通じるような姿勢ではなかろうか。

    仕事でもそれ以外でも、人間は(健常者でも)自分の「都合」でしか動かない。
    だからこそ「聞く準備がある」という「待つ」姿勢を示すことが重要で、どれだけ難しいかを痛感する。

  • 受給世帯の高校生。生きる糧としていたバイトの稼ぎ。申告せずに不正受給。ルールはルール。返還しなければならない…国家の役割は供給能力を確保すること。必要なものが必要な人に届けられる仕組みを作ること。国民の多くが幸せを感じられること。決して、財政を均衡させることではない。税は財源ではない。供給能力さえあれば、お金はいくらでも発行できる。生活保護費に財政的制約があってはならない。やるせなさを感じるのは、登場人物だけに留めて欲しい。誤った理解に翻弄される行政の現場にむしろ読者は怒りを感じるべきだろう。

  • 債務整理とかよくわかってないっつう…所謂情弱なんだよ! 経験値に差ですね どんな温厚な人でも尊厳を侵されれば怒ります 聴聞会 生活保護を受給中の人がパチンコ店を利用してはいけないという法律はありません 悪質な不正受給に関しては極めて例外的だともとれますよね

  • 2015年2月4日発売。
    第8話ㅤどうしろというの
    第9話ㅤWHY?
    第10話ㅤそれぞれの
    第11話ㅤ夏の休日
    第12話ㅤ日下部 欣也(くさかべ きんや)くん
    第13話ㅤ不正受給?
    第14話ㅤ63?78?
    第15話ㅤ全額徴収
    第16話ㅤやり場なき怒り
    第17話ㅤ彷徨(さまよ)う

  • えみるの同期・七条と彼が担当するシングルマザー・岩佐さんの話から。

    この七条も、描き方のバランスではすげー嫌な奴になりそうなんだけど、「まあでもこういう考え方もしちゃう人いるよな」というさじ加減で悪役にさせずに描くあたりに、作者の思慮深さを感じる。

    また、えみるが担当する阿久沢さんとの面談で、半田先輩のメガネ越しの目が描かれたコマは、惚れるわー。

    「どんな温厚な人でも尊厳を侵されれば怒ります」

    次の母子家庭での高校生男子のアルバイトによる不正受給というのも、こういう法の事実は初めて知り、考えさせられる。

    「オレは…そんな悪いことしたんですか…?」
    「これって…何の罰なんスか…?」
    という言葉、切なすぎる。

    このあたりの描き方も、この作者はどのキャラクターに対してもその人物の本音をまず「聴いて」掬い取ることをしようとしてるのが、読んでて沁みるんだな。

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著者プロフィール

柏木 ハルコ(かしわぎ はるこ)
1969年、千葉県生まれの漫画家。千葉県立東葛飾高等学校卒業、千葉大学園芸学部卒業。1995年『いぬ』でデビュー。
代表作に、2008年映画化された『ブラブラバンバン』、そして2018年7月からドラマ化された『健康で文化的な最低限度の生活』。

柏木ハルコの作品

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