響~小説家になる方法~ 1 (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091867698

作品紹介・あらすじ

ギクシャクは創造の母!!

とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。
編集部員の花井は、応募条件を満たさず、
ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。
封を開けると、これまで出会ったことのない
革新的な内容の小説であった。
作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない・・・

【編集担当からのおすすめ情報】
一瞬でも小説を書きたいと思ったことがある方
または、モヤモヤ伝えたいことがいつもあるけど、言葉が見つからない方
・・・・・是非読んでみてください。
小説の発想はどこから生まれるのか。
書ける人と書けない人の差はなんなのか。
この漫画を読めばわかります。

感想・レビュー・書評

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  • 賛否両論分かれてる理由は理解できるが、元々自分でも文章を書き、子供の頃から本好きな自分は楽しく読めた。
    主人公の響がエキセントリックで暴力的、コミュ障な側面のあるキャラクターなのは否定しない。入学初日の文芸部での一幕で引いたという意見もわかる。
    だがそもそも響は、読者が共感できるキャラとして設定されてないのでは?
    よくいえば異才、そのままをいえば変人。
    響は小説を読むのも書くのも好きで、自分の感性や価値観に絶対的な・不動の自信を持った、一風変わった女子高生であり、彼女の言葉を借りれば「朝起きて学校行って夜寝る」普通のライフスタイルを貫くだけで周囲との摩擦や軋轢を引き起こす。
    この漫画で語られているのは非情なまでの才能の多寡、天才と凡人の壁であって、響が自然体であればある程、彼女を天才として特別視する周囲との温度差がシュールなギャップを齎す。

    彼女を嫌う読者の主張や彼女の言動が鼻に付くと厭う向きもわかるが、左右の本棚を巡るコミカルな攻防戦(元ネタの本は山田悠介)には吹きだしてしまった。響も無茶苦茶やってるように見えて、好きな作家に出会ったら率直に好意を表明し握手を求める年相応に可愛らしいところが沢山ある。
    村上龍や村上春樹に綿矢りさ恩田陸、それにサラ・ウォーターズなど、作中のコマや扉絵に描かれた書籍が実在するのも元ネタがわかればとても楽しい(右の本棚に恩田陸の「麦の海に沈む果実」を入れるセンスには敬意を表したい)

    響の小説が描写されないので天才性にリアリティがないというが、天才外科医の漫画だって、別に作者が外科医である必要はない。
    なにせ「響」で描かれるのは小説の技巧ではなく小説家のありさまなのだ。

    そして小説家のありさまには、小説を書くという行為に魅せられた(または憑かれた)人間たちのみっともなさや恥ずかしさ、ずぶとさやしたたかさや崇高さ、天才でないが故にあがき続ける人々の悲喜こもごものヒューマンドラマが含まれる。
    いっそのこと響という起爆剤とうっかりすれ違ったばかりに人生をクラッシュさせられた、天才ならざる作家や読者の群像劇と見た方が面白い。
    この漫画の場合響の文体は直接描写されず、周囲の称賛がクローズアップされる事で彼女を「特別」足らしめており、小説の技巧ではなく小説家の生き様を抽出する限りにおいて、その手法は効果的だと思った。

    とにかく面白いので小説家をめざしてる人間はもちろん、趣味本業問わずクリエイティブな事に携わってる人間はぜひ読んでほしい。
    ちなみに私が一番好きな台詞は「人が面白いと思った小説に作者の分際で何ケチつけてんのよ」。
    創作のモチベーションを保ち続ける手がかりになりえる漫画だ。少々毒が強烈だが。

  • こんなに主人公に共感できない作品も珍しい。
    と言ってもこの作者のヒロインはいつもエキセントリックだけど。

    第一話から掴みが凄かったなー。

    社会生活に徹底的に馴染めなくて、喧嘩売ってきた不良をボールペンで刺し殺そうとしたりする(それで私は何も間違ってないとか言い出す)ような主人公、響(15歳)が小説家になるというのがあらすじ。

    ヒロインが次に何をしでかすかわからないドキドキと、小説家としてのサクセスストーリーが同居する。
    その上で、響は小説家として初めから天才なので(御伽の庭、読みたい)振り回される周りの人の話だ。

    物語としては響は精神的に成長しそうにないので、文芸部長のリカさんの成長が軸になるのかなあ。
    (連載では)今のところ、世間に認められた天才だったはずが本当の天才に出会って打ちのめされる役割。今後ヤムチャになるのかベジータになるのかが楽しみ。

  • 先に映画を観たんだけど
    原作読んでなくても爽快で破壊的で直球で
    すごく好きだったんだよね

    だから
    原作への感謝こめてコミック買わなきゃって
    ひとまず2巻まで買ったの

    読んだら映画の良さが際立って
    さらには原作の凄さにたどり着いて
    残り全部買うことは決めた

    原作にも映画にも
    どっちにもチカラがないと
    こんな実感はわかないだろうね
    それだけ
    この作品は先を読まずにはいられない

    映画の中の小栗旬が
    遮断機の前でようやく生きることを決め
    仄暗い瞳に光がさす瞬間がいちばん震えた

    先入観なく観て正解だったし
    そのあと原作読んでも素晴らしかったし
    久しぶりにいい作品に出会えたなぁ
    、、、ってゆーおばさんのひとりごと

  • ツイッターで現役作家の人が絶賛してたので、5巻まとめて買って一気に読んだ。
    だから、5巻まとめての感想。

    「おもしろかった」
    っていうのが、素直な読後感。
    でも、このおもしろさは、文芸系出版界の内輪話への興味がほとんど。
    それと、主人公以外のキャラクターがいろいろと魅力。

    「うーん」
    それなのに、☆を3つしかつけなかったのは、このマンガをひとつの創作作品として読むと、そんなにおもしろくはないかなー、っておもったから。

    人格はいろいろとアレだけど文才は天才的、っていう主人公のキャラクター性にすべてを依存したストーリーなんだけど。
    肝心の主人公の「すごさ」が、ただ「すごいーすごいー」というほかのキャラクターの絶賛のコトバで語られてるにすぎなくて、ゾクゾクするようなすごさが読んでて感覚的に伝わってこない。

    ものすごい革命的な小説を書いちゃったらしいけど、その小説は一行も文章として出てこないし。
    たぶん、アスペの設定なのかな、っておもう主人公の性格も、ちょっと「?」っておもうぶぶんがいろいろあって、「猟奇的な天才」の魅力はぜんぜんかんじれない。

    「天才」のすごさを描く物語、ってむずかしいね。
    でも、続編に期待。
    このつづきも買ってく予定。

    あとでブログにいろいろと書く。

  • 友人から面白かったから読んでみて!と13巻セットで回ってきた本(^^;)こういう事がよくあるので、今後彼女のことは「大人買いの女王」と心の中で呼ぼうと決心(・-・ )それはともかく、面白かった!最初は響ちゃんを「何だ?この子は…(-_-;)」と思ったけれど、最後には響ちゃんの小説が読みたくて仕方なくなった(*゚Д゚*)でもリカさんのお話の方が私好みかも?(^.^)まだまだ始まったばかり、これからどうなっていくのか、しばらく楽しめそう♪

  • この本を読むと小説が、読みたくなる不思議な本

  • 冒頭から引き込まれる素晴らしい漫画。この漫画の作者自体が主人公の鮎喰響かと思うほとである。

    主人公達が入部するとき、映画にするとPG12は避けられない場面があり、そこは少しばかり不快にはなったものの、響の変人気質のおかげで割とあっさりしていた。

    しかし、主人公は、捻くれ者というか、部長のリカの言葉を借りると「どう言葉を選んでも、彼女は頭がおかしい」

    作家や創作者はみな変人というあまりにもステレオタイプではあるものの、天才という存在についても考えさせられた。

    2巻目が気になって仕方ない

  •  面白かった。主人公が完全にアスペだった。ヤンキーの不良の指を折るところと、その後屋上に呼び出された場面が面白かった。

  • ある出版社の文芸誌の編集部に手書きの小説が郵送されてくる。
    若手女性編集者の花井はその才能に驚く。
    新人賞にノミネートさせて売り出したいと思う。
    ところが連絡先が書いていない。
    ところは変わってある高校の文芸部に響という女の子が入部する。
    文芸部の部長は有名な純文学作家の一人娘のリカだった。
    リカ自身も自ら小説を書く。
    それなりに才能を認められて七光りも含めて
    デビューも決定している。
    そんなリカが響の書いた小説を読んでその才能に驚愕する。
    で、リカをデビューさせようとしていたのは
    前述した若手女性編集者の花井であり、
    リカを通じて花井は響の小説を読む。
    そして郵送されてきた連絡先不明の小説の書き手が
    響であることが判明する。
    響の作品は新人賞にノミネートされる。
    そして芥川賞、直木賞に同時ノミネートされることに・・・。

    ギリシャ神話の神様ってめちゃくちゃ理不尽で暴力的じゃないですか。
    一体何が神様なんだ???って思うくらい(笑)
    というか神様に人間の理を求めるってことが
    初めから無意味ともいえますが。
    普通の人間に計り知れない部分があるからこそ「神」なのか??

    さて今、何かに秀でている天才に対して「神」と
    表現することが多いですね。
    今回紹介するこのマンガに出てくる女の子「響」も天才です。
    何の天才なのかというと、小説を書くことについての天才。

    で、天才つまり「神」なのでとっても暴力的(笑)
    気に入らないことがあると実際に
    相手を殴ったり蹴ったりする。
    ついでに、あまりに才能がありすぎて、
    周囲の人間たち、プロの小説家や
    周りにいる小説家を夢見る人たちを
    絶望的な気分にさせてしまうという
    精神的な意味でも暴力的なんです。

    で、このこのマンガはそんな天才の苦悩を描く!
    ではなくて、そんな天才と遭遇してしまった
    そこそこの才能しか持ち得ない人たちの想いを描いた作品ですね。

    映画「アマデウス」の主人公がモーツアルトではなくて
    サリエリだったというのと同じですね。
    このマンガも主人公は一見天才少女響だけど
    本当の主人公は周りの人たち、という事になるのかなと。
    そうした人たちの苦悩みたいなものがうまく描かれています。
    興味深いマンガです。
    2017/08/01 07:38

  • このマンガは、天才というもののあり方を表現するというマンガではなく、基本的には主人公・響のエキセントリックな(頭のおかしい)行動と、それに振り回される人々を楽しむマンガだと思っている。
    この性格を楽しいと思うか、引いてしまうかで大きく評価がわかれると思うが。
    実際、リアリティは全く感じない。
    天才ゆえの苦悩や努力など全くない。
    ただただひたすら響は天才なのである。
    区別するならば私的にはギャグマンガに部類するものだと思っている。
    でも、ただ、あり得ないと思いつつも、ホンの一抹、羨ましいと思ってしまう自分がいる。
    性格破綻者ではあっても、自分の好きなものに真っ直ぐなその姿勢に。

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