鬼さん、どちら (ビッグコミックス)

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著者 : 有永イネ
  • 小学館 (2015年11月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091874085

鬼さん、どちら (ビッグコミックス)の感想・レビュー・書評

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  • プロットの巧みさに唸る。読後、心がじくじくして、すばらしかった。「鬼」を扱いながら、テーマはファンタジーではない。「ふつうのひと」とは違うことが一目でわかってしまうひとたちと、その周りのふつうのひとの葛藤を描いた話。
    連作短編で、登場人物は共通している。みちるちゃん(メインの主人公)のおじちゃんが、話数を重ねるにつれ衝撃の過去を背負っていることが明らかになるのがとくに印象的。
    たとえばこれをもっと現実にあるような症状や障がいに置き換えても、なんら変わることのない心理だと思う。だが、「鬼」(この話のなかでは「突起症」という"病気")というファンタジーで少し位相をずらして提示するところがものすごくうまいなと思う。「桃太郎」が「差別的表現だ」として国語の授業で規制を受けてるところとか。

  • 「強くて脆い、醜くて美しい人間のすがた」

    頭に角が生えている「鬼」のいる世界。彼らは三千人にひとりの確率で生まれ、「先天性頭部突起症」と認定を受け暮らしていた。鬼でない者は鬼に様々な種類の偏見を持ち、鬼は「可哀想な者」扱いされる自身を縛っていく。何ひとつ超常的な力を持たない鬼たちの存在により、日常生活に潜む様々な負の感情が引っ張り出される。恐れによる思い込みや小さな優越感などの厄介さに、心当たりがある人も少なくはないだろう。簡単に解決しない問題から自由になるにはどうすればいいか。シリアスに、時に温かくその術を教えてくれる作品です。各話のタイトルも秀逸(kuu)

  • なんというか今の現代の行き過ぎた24時間テレビなどの障害を持った人がうんぬんして感動、みたいなものを遠まわしにディスってるなと感じました。僕は障害を持ってる方を差別したりはしませんが、24時間テレビの障害者の方を持ち上げまくってお涙頂戴みたいなのが非常に大っ嫌いで、最初から可愛そうだとかそういうレッテルを貼ったようなところが好きになれないのです。その気持ちをこの鬼さんどちらは代弁してくれたと思ってます。物議を醸すような内容ではありますが非常に面白かったです。

  • 完。

  • 全1巻 三千人にひとり頭に突起の出来る「鬼」がいる日常、差別問題から浮き彫りになる人間の醜さ、優しさが胸を刺す作品

  • 完全に表紙に騙された。。。内容はとてもハートフルな中学生日記みたいな感じ。何か違う外見をしている人に対して"普通"に接することはとても難しい。

  • 文句なし、満足しての五つ星だ
    ただ、こう言うのが正しいのか、有永先生の癇に障らないか、不安で胸がいっぱいになるんだが、オブラートに包んでも仕方ないから、ハッキリ言おう
    じわじわ来るので注意
    読んでいる時、読み終わってすぐは、そこまでじゃない
    正直なトコ、面白かったけど、感想を書いて、他の漫画読みに薦め、魅力を話し合いたい作品じゃないかなぁ、と思っていた。ただ、妙なモヤモヤは心の中に残っていた
    いつもなら、しばらくすれば消える類のモヤモヤなのだが、どうやら、この『鬼さんどちら』、私にどうあっても感想を書かせたいのか、三日してもモヤモヤは消えず、それどころか、感想を書かないのはマズいのかな、そんな焦燥感にすら駆られ出した
    この感想を書くため、改めて、一度目より深く、作品の世界に潜って読んだが、やっぱ、作品の質が、一般的な青年漫画と比べて突出しているのだな、と肌で感じられる
    二度目で、一度目より肌が粟立ったのは久しぶりだ
    どんな内容なのか、それを説明するのは少し難しい
    当たり前だが、読んだ人間によって、受ける印象は千差万別だからだ
    少なくとも、私はこの『鬼さんどちら』を、骨太な人間ドラマとして受け止めた
    友情、青春、失敗、挫折、絶望、希望、幸せ、強さ、弱さ、儚さ、楽しさ、人間誰もが持っているモノ全てが詰まってる作品を、私は人間ドラマ、としか表現できない
    鬼、そんなファンタジー要素を前面に押し出してこそいるが、結局、向き合う「普通」の人間と「普通」の人間の話だ
    誤解を恐れずにハッキリ言うが、現実問題、どうしたって解決できない、この世界の、純然たる善意が引き起こす、相手を無自覚で傷つける、無意識の差別に対して、有永先生は真っ向から挑んでいるのだと思う、この『鬼さんどちら』で
    ホント、タイトル負けしていないストーリーだ
    鬼ってのは、人を容赦なく傷つけ、虐げ、泣かせ、追い詰め、奪い去る象徴だが、いつでも、人に敵意を向けるのは人間だけだ。鬼は人の中にこそいるんです、なんて陳腐な感想すら、この『鬼さんどちら』を読んだら吹っ飛ぶな・・・・・・
    正しい、間違っている、を決めつけず、自分だけの意見を持つのが大切、と言われているような気がしたのは、私だけじゃないだろう
    艶っぽさすら感じる絵柄が、これまた、ストーリーに凄味を与えてるんだよなぁ
    もし、有永先生の絵柄が少しでも違ってたら、私はここまで衝撃を受けなかった、と断言すらできる
    ハッキリ言って、ここまで、胸がジクジクと膿むような痛みを読み手に与えられる漫画は、尾田栄一郎先生、鈴木央先生、藤田和日郎先生、羽海野チカ先生にだって描けないだろう。もちろん、有永イネ先生にだって、『ONE PIECE』、『七つの大罪』、『うしおととら』、そんで、『3月のライオン』は描けない
    有永先生は、自分にしか描けない、自分だから描ける、『鬼さんどちら』を描いた
    だから、私は敬意を表したくて、この作品の感想を書いている
    きっと、これから、もっと注目される作品の一つになるだろう
    なので、私の書いている、この感想が却って迷惑になってしまわないか、不安になる
    この『鬼さんどちら』を語る上で外せないのは、当然、第5話「手の鳴るほうへ」なのだが、私の琴線に触れたのは、第4話「手は鳴らさない」だった。何より、この話の主軸になっている、端場の“人間らしさ”は強烈だ。相手を嫌う理由を必死に考えて、態度を取り繕っていないと、彼らの心に寄り添いたくなってしまう、その「当たり前」を求める衝動を応援したくなってしまう自分になってしまう、それを拒もうとしつつも、結局、嫌いにはなりきれない、彼の心は割かし、普通なまともさがある
    この台詞を引用に選んだのは、これがなかったら、星を一つ減らすどころか、即時、古本屋に売り飛ばしてたな、と思わせるほど、とんでもなく太く尖った楔を私の心に打ち込んだからだ
    人より弱くて、人並みの事が出来ないから可哀相で、普通じゃないから人にチヤホヤされる一方で、ちょっと自分と違うだけで、迫害し、環から追い出し、酷い言葉をぶつける事で、自分が特別だと勘違いして優越感に浸る、それこそ、憐れな人間もいる。弱い事、可哀相な事、人と違う事がいけないか?
    人間なんだから、他人より弱い所があって当然だし、逆に他人より勝ってる部分だって持っているんだ、その分。自分の弱さにコンプレックスを感じちゃっている人間をもっと弱くするのは、そんな相手を憐れむ人間の恩着せがましい、執拗なプレッシャーじゃないだろうか? まぁ、そう偉そうに言いつつも、私だって、ロクな人間じゃないってコトは自覚してるし、すぐには意識を改善できない、脆弱な人間だ・・・ただ、少なくとも、私は自分と違う人に向かって、「可哀想ですね」なんて言った事はないし、これからも言わないだろう。だって、そんな言葉を平然と口に出来る人間の方がよほど恥ずかしいし、可哀相な人間扱いされる、と知っているから
    人に向ける同情と優しさは別物だし、持つべき強さ、正しさ、まともさは十人十色だ。弱さも強さも取っ払われて、個性に差がなくなって、人間全員が、「普通」になったら面白味がなくなるだろう、世界そのものから
    強い人間も、弱い人間も、この世にいやしない。違い合う人間だけだ、いるのは
    人間には、人間が人間らしく生きられる世界を作るのは、そう難しくないと思うんだけど、中々、そう簡単には行かないようだ。けど、だからこそ、徐々に変わっていく過程が面白いし、その努力にこそ、人間らしさが見出せる
    長々と語ってしまったが、この『鬼さんどちら』、ホント、学生に読んでもらいたい青年漫画なので、是非、図書室に置いて欲しいし、道徳や倫理を担当する教師にこそ読んでいただきたい

  • 深い。
    ほんとに微妙な人の感情を描写していて共感もし、ちょっと痛くもあり、ほんとに「鬼さん、どちら」と問いかけられてるようでした。
    「鬼」というのはいろんなもの置き換えて考えたら自分もあちらだったりこちらだったり…。

  • 年の瀬に面白い漫画にぶち当たり続けてて大変幸せ。ツノが生える『先天性頭部突起症』の人間がいる世界と差別を、突起症の少女とその周囲の人々とともに描いた連作。チクチクと心にクるシーンが多いが、ラストは笑って終わる形に収束するのが良い。そして百合だ。傑作

  • マイノリティである鬼の少女と空気読めない系少女の友情にほっと息をつく。「なんで、全員正しくなくちゃいけないんですかね」

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鬼さん、どちら (ビッグコミックス)の作品紹介

“あちら”と“こちら”、境目は何だろう?

三千人にひとり「鬼」のいる日常。「鬼」には「先天性頭部突起症」という名前がつけられ、節分の風習もなくなった。周囲に気をつかわれながら生きている鬼の女子高生・崎、崎のことが気にかかる同級生・ゆいこ、「突起症の天才少年」という過去を引きずるチェロ弾き・真央、かつて「鬼」だったがツノを切除した奥富、「鬼」を嫌悪する崎の担任・端場――――「鬼」という存在が浮き彫りにする人間の弱さと強さの物語、5篇を収録。

【編集担当からのおすすめ情報】
『さらば、やさしいゆうづる』『かみのすまうところ。』など、少年少女の心の揺らぎを瑞々しく描いてきた有永氏が挑む、連作短篇集。特別視される「鬼」という存在を介してみえてくる人々の様々な感情は、鬼のいない私たちの世界でも、いたるところにあふれてるもの。普段はみないようにしている厄介なものや、言葉に出来なかったけれど確実にあるもの。そんなあやうく繊細な人の心を、強くやさしく描きます。読み終えると、みえる風景がちょっとだけ変わる――そんな一冊です!

鬼さん、どちら (ビッグコミックス)のKindle版

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