忘却のサチコ (5) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 224
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091874696

感想・レビュー・書評

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  • 人それぞれ感じ方は異なるだろうが、私はこの(5)の表紙が、今まで一番、涎が出そうになった、それこそ、サチコに劣らぬほど
    手をかけ、技術の粋を注げば、当然、美味しい物を作る事が出来る。料理人の惜しまぬ努力、そこは否定する気は微塵も無い。だが、ニジマスの塩を振って炭火で焼く、この簡素な調理法で作られた塩焼きの味の破壊力、それが尋常でないのは確かなのだ
    時に、素材の良さが人の努力を上回ってしまう時もある、それがあるから料理は楽しいし、食べる事には幸せが満ちている
    では、改めて、内容・本編の感想を
    良くも悪くも、今まで通りってのが素直な印象
    強引な変化を付けて、読み手の興味を削がない阿部先生、さすが
    それでいて、新人・小林がレギュラーに加わった事で、話に深みと広がり、どちらも生じている
    姫村先生や美酒乱先生など、書き手サイドに個性豊かなキャラが揃ってるだけあって、小林の新人ゆえの無礼っぷりは、決して劣っていない
    そんな小林の世間知らずっぷりに振り回されているサチコもサチコで、案外、性格に難があるよな、と感じたのは私だけじゃないだろう
    赤の他人だからこその、勝手な推測だが、サチコも何気に人の話は聞かないわ、無自覚で人の神経を逆撫でするわ、勢いに任せて突っ走るわ、で恋愛に今イチ向いてないヒロインだ、そう感じさせるだけの要素が揃ってしまっているような気がする。ガードが固いとかなら、まだ攻略のし甲斐も、男としちゃあるだろうけど、こうも、無意識に自分の食欲や仕事を優先されちゃ、どっから崩して良きゃいいのか、経験値の低い男にゃお手上げである
    まぁ、そんな彼女だからこそ、食いっぷりには惚れ惚れとしてしまう訳だが
    今巻でも、サチコは各地へ出張しており、その地の美味しい物を心行くまで堪能している『おしゃべりは朝ごはんのあとで。』のように、旅飯に当てはまる作品でないにしろ、取材をきっちりと阿部先生や編集者さんがしているので、クオリティは決して低くない
    福岡編と高知編、どちらも「行きたい」と「食べたい」を刺激してくれるが、私の好みで選ぶのなら、高知編だな。鰹の塩たたき、これもまた、シンプルな旨味で食い手をKOする類の美味だろう
    まぁ、この(5)で最も何が食べたくなったかと言えば、やはり、梶特製ニジマスの燻製茶漬けな訳だが。これは、危険と評しても良いくらいの美味しさに違いない。梶さんはイイ人で、サチコ自身もちょっと意識している節があるにしろ、職場に、性格にこそ難があるにしろ、指導次第じゃ矯正できるレベルだし、何よりも美形の小林がいるとなっちゃ、あまり、悠長なアプローチはしてられんだろうな。今後、どんな関係になり、発展するのか、楽しみだ
    この台詞を引用に選んだのは、これまた、今ちょうど、仕事で悩んでいる私のハートにガツンとぶつかってきてくれたので。ここで書くようなコトではないかも知れないけれど、正直、対人関係のゴタゴタで、今の仕事に私は向いていないんじゃ、と憂鬱になっていた。しかし、サチコの言葉でハッとした。私はまだ、本気で仕事にも同僚にも向き合っていないんじゃ、と思えた。こういう意識の改革を促してくれるから、イイ漫画の名言に出逢えると嬉しい

著者プロフィール

1972年2月6日生まれ。静岡県出身。漫画家。
代表作として、『忘却のサチコ』など。

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