not simple (IKKIコミックス)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091883445

感想・レビュー・書評

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  • とてもシンプルに家族の愛を求めているのに、こんなにも運命の糸は、複雑にからんで、もつれて、繋がらないものなのか。

    報われないイアンの人生と彼を見守っていて彼を小説にすると言ったジムのお話。

    可愛らしい落書きみたいな絵が重くなりすぎなくていい。

  • 読んだあと
    これほど放心し
    心揺さぶられた作品は
    久しくなかったように思います。

    しかも読み終わった後すぐさま
    また読みたくなる、
    なんとも言えない
    深い余韻と吸引力がハンパないし(汗)

    どこか外国の作家が描いたような、
    誰にも真似のできない
    スタイリッシュで個性的な絵柄。

    時間軸をずらし
    緻密に作られたストーリー。

    まるで映画を観ているかのような
    お洒落で含蓄のある
    セリフ。

    ただ、説明的ではないし、
    読む人それぞれの感性に委ねる部分が大きい漫画なので、
    そこが評価の分かれ目かな。


    ラストシーンから始まる構成で、
    読者は初めに
    結末を見せられるだけに、
    なんともやりきれなく物悲しい気分を背負いながら
    その先を読み進めることになります。


    その複雑な生い立ちから
    家族に愛されなかった主人公のイアンは、
    幼少の頃に
    生き別れになった姉を捜して放浪する。

    その中で出会う
    様々な人々との交流。

    しかし運にもツキにも
    とことん見放されていたイアンは、

    思いとは裏腹に
    不幸のスパイラルから
    なかなか抜け出すことができない。


    イアンが望んだものは、
    身近な人から
    愛して愛される関係性と、

    家族や好きな人の
    手のひらが傍にある
    当たり前の生活。


    ただそれだけなのに、
    悪い偶然が次から次へと重なり
    イアンがたどる悲劇的な人生と、

    あまりにも理不尽な最期が
    どうにもやりきれなくて
    激しく胸を打ちます(≧∇≦)


    そして物語はさかのぼり、
    読者はイアンが信じて追いかけ続けていた『希望』が
    何であったのを知ることになるのです。


    悲劇的な結末で終わったイアンの人生だったけど、
    それは果たして
    本当に悲しい人生だったのかな?

    当たり前のシンプルな幸せこそが
    本当は最も
    手にすることが難しい。

    けれども
    イアンが特別に不幸の星の下に生まれたわけではなく、

    誰の人生も実は
    not simpleであり、

    不幸だと思う人生の中にも
    気付かないところで
    誰かの幸せが隠れている。


    最後まで希望を持って
    生き抜いたイアンは、
    例え結末がどうであれ
    それは悔いのない人生だったと
    自分は思いたいです。

    救いのないストーリーなのに
    どこかあたたかな光を感じられるのも、
    オノ・ナツメさんだからこその
    得難い魅力だと思う。

  • 暗い話だけど悪いことばっかりではないんだよね?と思う本。
    読みながらこうならない道はないのか考えるけど、本を閉じてみればこれでいいんだと納得のような諦めのような。

  • まっっったく救われない話。悲しすぎるし、切なすぎるけど、それがいい。B級映画みたいな、ロードムービーな感じ。悲痛な人生。

  • 悲しいなあ、イアン…。

    イアンの過去の幸せが、現実の不幸なイアンを暖かく照らすから、
    それがかえって悲しい。

    ああ、つまり良い思い出っていうのは、星のようなものなんだ!
    届く光はすでに過去のものだけど、確かに現在の自分を照らしていて、
    慰めになったり道しるべになったりする。

    おお…発見だ。

    人だって星のようなものだ。
    人は星のようなものであり、星をまき散らすものでもある。

    そしてイアンは、ただただ歩く。

    最近「好き」とか「悲しい」とか「寂しい」という言葉を
    直接的に使うようになってきたなぁ。いかんなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「届く光はすでに過去のものだけど」
      その光の温かさをより味わうために、順番が入れ替わっていたんだね、、、
      「届く光はすでに過去のものだけど」
      その光の温かさをより味わうために、順番が入れ替わっていたんだね、、、
      2012/06/02
  • ドラマチックなイアンの生涯を描いた作品。

    ボールペンで描いたみたいな独特なタッチの絵が話にとても合っている。

    読み終わってまた読み返したくなるような円環の構成。細かいヒントが散りばめられている。

    イアンは不遇な人生だが、飄々とした立居振る舞いで悲痛な感じはしない。こういうふうにあれたらいいなと思う。

  • 学生の頃読んで立ち上がれないくらい打ちのめされた。
    昔BSマンガ夜話でオノ・ナツメのリストランテ・パラディーゾの特集をしていたとき岡田斗司夫が「オノさんの漫画はまるで映画のような表現をする」と言ったゲストにめちゃくちゃ噛み付いていたが、わたしもオノさんの漫画は映画のように画面の移り変わりを意識しているように見える。

    イワンがニカッと笑った顔がいつも大きく描かれているのは、それを見た人々が心のなかにその笑顔を飾っておく棚を作ったということなのかもしれない。
    歳を取ってそのたびに読むと見えてくるものが変っていく。
    でもその度に打ちのめされて立ち上がれなくなる。

  • 救われなかった青年と、見守った親友の物語。
    切なく、心が痛みます。
    まるで一本の映画のような作品。

  • 最高……。言葉の断片すべてがキレキレ、空白が饒舌。シンプルな線で描かれる、表情の微妙なニュアンス。これは「ある男の人生を描いた漫画」じゃない。人生そのものだ。
    酒を買ってきたかと尋ねる母、買ってきたよとうなずく少年、それを見てなんで母親がそんな顔しちゃうんだよ……。細部でこころが締めつけられる。
    漫画がうますぎるよ。

  • ミニシアター系の映画のような作品。

    救われない物語で、展開が見えてくるにつれ、切なさというか、悲しさというか…やり切れなさのようなものが深まっていく。
    それでも、最後の場面で読後感が和らいでいると感じる。

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著者プロフィール

2003年『LA QUINTA CAMERA』 でデビュー。『さらい屋五葉』(全8巻/小学館)『リストランテ・パラディーゾ』(全4巻/太田出版)『ACCA13区監察課』(全6巻/スクウェア・エニックス)など映像化作品も多数。
「モーニング・ツー」では『Danza』(全1巻)『COPPERS』(全2巻)『つらつらわらじ』(全5巻)『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』(全4巻)を連載。

「2023年 『ザ・ゲームスターズ(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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