ビューティフルピープル・パーフェクトワールド (IKKI COMIX)
- 小学館 (2010年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091885340
感想・レビュー・書評
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美容形成に特化した未来。案外、不老不死に置き換わるのはこういう方向性かも、とか思ったりして。ってか、実際問題、美容面の進歩は結構優れてますよね。ひと昔前と比べて、明らかに見た目年齢はみんな若くなってきてますもん。
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デザイナーズチルドレンと似た考え方。
みんなイケメン美女で個性もクソもあるか。
翼とは意外性ある。 -
見た目を好き勝手に変えられるようになって、誰もが若く美しくなれば中身で勝負するしかない。
見た目を変えれば何かが変わる、かもしれない。でも見た目を変えても中身がついていけなかったらどうしようもない。 -
2013年8月14日
<beautiful perfect world>
単行本デザイン/セキネシニチ制作室 -
あら、完結かと思ったら2巻があるのですね。
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「整形手術をしてはいけない」この言葉は一般的よく言われることだと思う。ただなぜ整形手術をしてはいけないのか明確に答えることができる人はいるだろうか?親にとっては、どんな顔でも子供はかわいいので(かわいいはず)生まれたままの顔でいてほしいと思うのはうなずける。顔に大きな腫れものができて、それを取り除きたいという程度の整形手術ならまだわかる気がするが、顔を根本的に変えるのはいかがなものかと私は個人的には思っている。でも「してはいけない」と納得させるのには不十分だ。
少し話はそれるが2chのスレッドで女子大学生が大学院に行くよりもそのお金で整形手術をして美人になった方がより良い投資なのではないかという物があった。あながち間違いではないのかもしれない。現在私は社会人一年目で一年前に就職活動をしていたが、なんだかんだ大手の社員さんは美人の割合が多かった気がしている。ちなみに男はそんなに顔は関係ない印象。
さて本書は本を紹介する雑誌ダ・ヴィンチでたくさんの新刊から高クオリティーの作品を月に一冊選ぶ「プラチナ本」に選ばれたマンガだ。現在の日本よりも安価で手軽に整形手術をすることができるようになり、中学生前後から整形手術をみんながやり出す。ちょうど今の日本で中学生くらいから眉毛を剃り出すのと同じ感覚だ。
このマンガの世界ではみんなが美人、美男子になれる。異性を選ぶ基準を聞かれて多くの人は世間体を気にして性格と答える。しかしながら現実は違う。なんだかんだ男は美人が好きだし、女はイケメンが好きだ。私の高校の数学の先生も授業中に話していたし、親しくしている女友達もそう話している。顔というのは最初に目に入ってくる情報でその後に性格やその他が付随してくる。
この「顔」がどんな顔にも整形できたら私たちはどうなってしまうのだろうか。マンガのなかでは初恋婚が流行った。整形する前に素をさらけ出していた時に好きになった人と結婚すること。これは私たちの世界でも共感できることだと思う。小学生の時や中学生の時にまだ好きっていう気持ちがわからないけれども気になったことは誰しもが経験することだと思う。その対象となった異性は今でも気になることが多い、少なくとも私はそうだ。
このマンガはただ単にみんなが整形手術をしている世界をコミカルに描いているだけではなく、顔で解決できること、どれだけ美人になっても解決できない心の部分がしっかりと描かれている。メッセージ性が奥深くに潜んでいるマンガだ。 -
タイトルから(満足度の高い、幸せそうな話が展開しそう)と思いましたが、内容は全く予想もしないものでした。
確かに、美しい人々が大勢増えた近未来が舞台ですが、それは美容整形が一般化し、ほとんどの人が整形をする世の中になったからです。
留まることを知らない美へのコンプレックスで、ついに人は自分の体にメスを入れるまでになったのかと、不気味に思いながら読んでいきました。
老若男女、美しい人ばかりが目立つ世の中になっており、逆に顔をいじっていない人は、貧乏人として笑いものにされるという差別社会。
クラスメイトの誰もが同じような顔つきで、区別がつかないというくだりに、ぞっとします。
見た目年齢も手術で自由に決められるようになったため、教師も、41歳なのに、ツインテールに吊りスカートという幼女の出で立ちで、点呼を取っています。
クラスの中で一人顔をいじらない女の子が出てきますが、彼女は20年ローンを組んで、背中に羽をつけていました。
空も少し飛べるという大きな翼。服の内側に収納可です。
自分がもし整形するとしたら、顔を美しく変えるのと、背中に翼をつけるのと、どちらを選ぶだろうと考えました。
顔だろうと思いますが、翼をもっている方が人生楽しそう。
いずれにせよ、クレイジーな世の中です。
引きこもりの兄が、萌えアニメのヒロインのような外見になった話も載っていました。
やはり見た目が変わると、性格も劇的に変わるようです。
ただ、ここまでくると、現実がカオスすぎて、虚構とのボーダーがあやふやになって、混乱を招きそう。
同窓会を行っても、誰が誰だかまったくわからない、初めて会う人たちのようなぎこちなさがあるとのこと。
見知らぬ外見の旧友と昔話を懐かしむのは難しいでしょう。
マニア向けに、世間の流行とは逆に、わざわざ醜く整形して、ブス専のクラブに勤める人や、自分が好きな人の好みの顔にしてしまう人も登場しました。
そこにむなしさはないのでしょうか。
また、人気スターが亡くなっても、そっくりに整形した人がまた替え玉として続けていけるというものすごい話もありました。
もはや、誰でもよい時代なんですね。
「この人じゃなきゃダメ」という必要論が一切意味を持たない、生きる張り合いのない世界。
誰もが夢見たすてきなパラダイスのはずですが、こんな未来はほしくありません。
思い通りの容姿を手に入れても、人は幸せになれるわけではないんですね。
どこか鬱々としたあきらめとやるせなさをもてあますような世界に、『終末のフール』の閉塞感を連想しました。 -
美容整形技術が高度に発展した未来が、オムニバス形式で、相互に重なり合いながら、リアルに描かれている。テーマの選び方、切り込み方は上手い。ただ単に「美容整形」じゃなくて、現状の「美容整形」を超えて、世界を作り出してるところに好感というか、興味をわかせる。
お話がしっかり作られてる分、絵の拙さというか、味気なさというか、個性の弱さというか、キャラの描き分けが出来てないというか、絵が確立されてない感じがどうしても気になってしまった。
ただ、ストーリーを追って行く上で、納得できないところとかはなく、ストンと一回で落ちていく、ネームの読みやすさ、生み出される軽妙なリズムが素晴らしい。どこまでも読んでいたくなる漫画のリズム。上手いなあ。無駄な台詞がなく、コマ割りもそれほどアクロバティックなこともしてないのに、なんだか上手いと思う。基本押さえてて上手い感じ。ようわからんけど、すごい。
それだけに、やっぱりキャラの目に、生気が足りないのが、何とも勿体なく。
あと天使の羽を生やした装丁がなんとも言えない良い雰囲気。
とにかく、この作家さんは追いかけたいと思いました。★は3つだけど、良い意味で3つですね。
作家さん1972年生まれとな。ベテランの方なんやなあ。寡作やけども、苦労してはるんかなあ。次回作も期待しております。 -
近い未来、本当にこんな技術が当たり前になったらと思うと恐ろしい。妙にリアリティーを感じながら読んでいた。
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なんて醜く
なんて美しい世界だろうか。
美に価値観の全てを置いた世界がやけに非現実的なのに現実味を帯びて迫ってくる。