一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

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著者 : 永田カビ
  • 小学館 (2016年12月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091893208

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)の感想・レビュー・書評

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  • 基本的にマンガを登録せずに来たけど、前作がすごく良かったのでレビューした私です。
    今作もpixivで覗いたりもしたけど、購入。

    今回は、正直、全てを肯定的には読めなかった。
    「働くことで、社会や他者との相互承認を得られる。つまり、働くとは、自分が自分らしく生きることだ。」
    と(大分要約したけど)述べたベストセラー作家がいる。

    綺麗事かもしれないけれど、カビさんはアテンションを求めながら生きて、描いているのだと思って、前作を読んでいた。とても、良かった。
    そういう作品は、赤裸々な分、共感も批難もされやすいと思った。
    けれど、売れるという点においては、このレスポンスが「多い」ことが重要な訳で。
    ご本人がどのような精神状態だとしても、次作に繋がったことは、大きいと思うのだ。

    けれど、今作で母親との件と新しいガールフレンドの件を読んでいたら、自分は承認されたいけれど、誰かを承認することは難しい、という結末だったように思う。

    母親が可哀想だと思う気持ちも、ガールフレンドのような笑顔が出来ないと思う気持ちも、分かる。
    分かるけど、それは傲慢で。愛し愛される自分に「成長」すればクリアー出来るんだろうか?
    確かに一面を見れば息苦しい身内や世界はある。
    けれど、他方でカビさんは承認されている。
    それは、自分の思うレスポンスばかりではなくても。

    作者が、自ら痛みを負うても何かを承認することでしか、次の展開には至らないように思う。
    これだけの感想を出させるのだから、私にとっては読んで良かった。

  • 分からないものが怖いので、見つめたら見つめ返された。

  • この話は彼女の永田カビさんと家族とのことなので安易に肯定も否定もできないと思うが、作品として世に出された以上、否定的な意見、肯定的な意見もさらされることでしょう。
    村上竹尾の作品もそうだが、コミックエッセイはその著者の人格や行いによって作品の評価は一転して印象が悪くなる。
    2作目になるこの作品は前作と比べて親についてより明確に描写されているが、これは永田カビから見た親との関係性、印象についてしか触れられていない為に推測でしか書けないが、母親との愛着の分離がうまくいかなかった印象と父親からは否定的な言葉、干渉的なコントロールが垣間見えるシーンが度々出てくる。
    p59〜63、p111〜115、p31〜33は顕著で、独白の「私の幸せはお母さんを見捨てることで手に入る」は母親は母親の人生であり、母親の幸せは母親が手に入れるものであるはずが、そこにある見捨てることへの罪の意識、見捨てられる不安が綯交ぜとして歪んで存在し、父親との関係性はカフカと父親にあった確執とも似ている。
    引用だが、「僕が何かあなたの気に入らないことを始めると、お父さん、あなたはいつも、「そんなものは必ず失敗する」と脅しました。そう言われてしまうと、僕はあなたの意見をとても敬い、恐れていたもので、失敗がもはや避けられないものになってしまうのでした。ぼくは、自分がやることへの自信を失いました。根気をなくし、疑心暗鬼になりました。ぼくが成長にするにつれて、あなたがぼくのダメさを証明する為に突きつけてくる材料も増えていきました。そうやってだんだんと、あなたの意見の正しさが、実証されていくことになったのです。」の精神プレッシャーが作品からも見受けられる。
    投げかけられる言葉は娘の身を案じての心配の言葉や思いやっての言葉ではあるはずが、それが届かないまでに、傷つけられ、踏みにじられ、奪い取られたものとして彼女の中で恥や不甲斐なさなどが蟠り燻り続けて孤独感へ繋がっていると思います。
    あと、確かに描かれるのは暴力も貧困も別離もない一般の家庭ではあるが、それが却って彼女を苦しみ悩ませる要因に繋がっているのも大きな問題である。
    この作品は非常に評価が難しい。そう言えるのは作者はSNSでエゴサやヲチスレを覗いてるとあったが、それは無駄であり、精神衛生上宜しくないと思うと同時に本当に正当に評価を受けたいのは親からではないかと思うからである。

    自分のことが嫌い、でも好き、愛が欲しい、でもそれを享受出来ない、そこに生じるアンビバレンスな感情、葛藤、苦しみを持つ人はある種、芸術や文学に昇華されてきたがそれを鑑みても作者の行く末を案じる。

  • ――思った

    これは もう一人の 自分だ


    その寂しさも 孤独の辛さも 分かってもらえない痛みも
    寒さも――全部

    全部――知っている

    放ったらかしの自分自身
    誰がいつ 手を伸べるの
    自分が抱きしめてあげられなくて 誰がしてくれるの

    愛がほしいなんて みんなそうじゃない
    分かってほしいなんて みんな そうじゃない

    だから 苦しいんじゃない
    自分が 自分に与えていないんだから 苦しくて 当たり前

    すればいいって やり方が分からない
    誰にもしてもらってない もらってないから 分からない

    ずっと無視をしてきた自分の声を聴くのは とても苦しいこと
    過去に埋もれた自分をわざわざ掘り出して

    手を血と泥だらけにして 汚れた石を取り出して
    自分の血と涙で 洗うような

    ただ生きているというだけで
    普通という服を着て 町に出ているだけで

    あなたは ちゃんと 戦っている
    だから傷だらけになって 眠る

    ――みんながみんな 傷つけたわけじゃないでしょう?
    ちゃんと 優しい人も いたでしょう?
    気づかなかった?
    きっと 知らなかっただけ

    優しい場所で 眠って 優しい人に 出会って
    優しい自分に きっと 出会うのでしょう

  • 前作に衝撃を受け、続けて読みました。
    相変わらず、「わかるわかる!」な部分が多くて衝撃。
    本当に、自分の気持ちを言葉にするのが上手です。きっと、いっぱいいっぱいいっぱい考えてきたのだろうなあ…。
    私も絵が描けたら、日記代わりに残しておきたい。自分のきもち。
    作者はレズビアンなのか?ははっきりわかりませんが、男性、女性を意識することを嫌だと思っていて、性的なことに関する知識が少なかったことというのは、摂食障害やうつに関係があるのではないかと私は思います。(作者のことというより自分のこと)
    寂しい、愛情がほしい、ぎゅっとしてほしい。
    やっぱり泣きそうになってしまいました。てか泣きました。
    周りの人たちはなんでちゃんと生きていけてるんだろう、と本当に毎日よく思いますが、ちゃんとした「甘い蜜」を持っているからなのですね。仕事だったり家族だったり。現代のように多様な生き方ができるようになって、それはとても良いことなのかもしれないけれど、私にはそれがつらい。誤解されることを恐れず言うと、戦時中とか、封建的な時代とか国に生まれたかった。何も考えずに若くして結婚して出産してあまり寿命が長くない時代に生まれたかった、などど思ってしまいます。ばちあたりにも。究極を言うと、生まれたくなかった?(両親にはとても感謝していますけれど。生まれた子がこんなでほんとうにごめんなさい)
    今の自分、今の生活を幸せだなと頭では思うのですが、心がそう感じているかは疑問です。自分を大切にできていないんですね。平和ボケしたただのわがままな人のようですが。
    このレビューも、たぶん後で書き直す。読んだ直後の勢いですが、とりあえずこの気持ちが今の感想。

    この本の、ほかの人のブクログレビューが素晴らしすぎる。

  • 無償の愛を求めてしまう気持ちは分かる。
    それを手に入れるには愛されることだけでなく愛さないといけないけど、永田さんのようにまだその準備ができていない人ってそれなりの数はまだいるのだろうな。

  • 一見自分の状況をユーモラスに描いてあるように見えるのだけど、内容は奥が深くてどっしり重い。
    自分の気持ちにとことん向き合って、傷ついて、考えて考えて、考え抜いて、また落ちて行く…。
    読んでいて辛くなるのだけど、でも、どこかに小さな光のような物もチラホラ見える。
    こういう複雑な気持ちって大人になるほど、うやむやにして目の前の現実だけを歩きがちになるのに、カビさんは真摯に立ち向かって行く。
    答えがなくても、出なくても、ゆっくりと歩いて自分を労わって行けたらな…それが私の読み終えた感想です。

  • 著者より多少は器用だけど、他人とも家族とも上手く付き合うことができない自分のようや者には真綿で首を絞めつけるように響くでしょう

  • すごい
    最後なんて、一回物語と落とし込むことができないまま、そのまま描いてる。これほど生々しいものはなかなか見ない。特にすごいところは、エンターテイメントとギリギリの境界線だが、どうにかエンターテイメントとなっているところ。この綱渡りのような境地。
    もうエッセイは休んだほうがいい。このままだと死ぬ。

  • 泣いてしまう。ああ私と同じだ、分かる、ってすごいベタで恥ずかしい理由で泣けてしまう。特にお母さんのくだり…お母さんおかあさん。
    頭で考えすぎてしまうんだろなと思うけど、どうだろうか。真面目すぎる、少なくとも自分はそう。
    ほんと他人と愛し愛されるって奇跡です。一生無理な気がする。誰かに好かれて虚しいってのもリアル。

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拝啓。未来の私は、誰かに愛されてますか?

話題作『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の
永田カビが、過去と未来の永田カビに向けて綴る、
親との確執、初めての一人暮らし、愛のこと、そして
・その後・の生活――。セキララエッセイコミック!

【編集担当からのおすすめ情報】
『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』で
2016年のコミック界を激震させた永田カビ氏が
pixivコミック[ヒバナ]にて連載していた最新作、
待望の単行本化です!

本作の連載開始時は『レズ風俗レポ』単行本発売前で、
まだ何者でもなかった永田カビ氏ですが、連載中に同作が
発売になると周囲の状況は一変。
そんな中での心境の変化や、新たな発見、葛藤、苦悩などを
己との交換日記という形でセキララに綴っています。

連載中は本当に多くの共感のコメントをいただいた渾身作、
ぜひご一読ください!

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一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)のKindle版

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