河よりも長くゆるやかに (1) (小学館文庫 よA 5)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910059

感想・レビュー・書評

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  • 夢見る頃をすぎてもよりずっといいです。面白い。話も雰囲気もキャラクターも好きです。

  • 深雪「人間てさ……人間て 年とると 苦しいこと ばっかだと思うか?」
    季邦「…別に そうとも限んないだろ」
    季邦「でも おれのおやじみたいに いろんなこと辛抱して 辛抱しぬいて ある日突然パーッと とち狂っちゃう なんてことも あるんだよな」
    深雪「…この河だって 上流のほう 行きゃ きれーなんだ よなあ…」
    深雪「それがまあ こんなに汚れちゃって…」
    季邦「でも 海に 近くなる じゃん」
    季邦「…最初はさ きれいかもしれないけど 流れも急だし 幅もせまいだろ」
    深雪「まあな」
    季邦「でも 海に近くなると 汚れはするけどさ 深くて広くて ゆったりと 流れるじゃないか」
    深雪「どっちが いい?」
    季邦「うん! そうだな――…」
    季邦「おれは どっちかって いうと……」(p.173~175)

  • 物語前半は、学外で猥雑で危ない世界に身を置く男子高生の、重たいけど強かな生の描写がメイン。
    後半は、彼が根本的な問題は解消されないものの、仲間達との横の繋がりで何となく救われつつ生きていく描写が増える。
    未だに時々思い出すのは、トラウマを抱え自暴自棄にも見える生き方をしつつも、どこかで「この子は大丈夫」と思わせてくれる順子ちゃんのキャラクター。例え本人に思いは伝わらなくても、思いを寄せる相手の存在が、間違いなく彼女の心を強くし、破滅から救っている。
    汚れた世界に押し潰される少年や、裏社会で自分の汚れを厭わず巨悪と対決する少年を見たければ、同じ作者の他の作品が待ち構えているのでそちらを。

  • 80年代の男子高校生の日常。

  • 連載当時から姉と一緒に楽しみに読んでた。突如掲載されなくなった時、姉共々パニックを起こし、未だに読み返す、私の中の腐朽の名作。

    順子ととしちゃんのおこたのシーン、
    いまでも、これ以上美しき友情のシーンはないと思います。

  • 自分だけがいつも置いてけぼり。
    大切なことは最後まで知らされない。
    そんなことを抱えながら生きるひとりの高校生。

    あのこも、そのこも、みんな何かを胸に秘めながら生きている。

    くだらなくて、ばかばかしくて、でも少しせつなくて。

  • なんかいい雰囲気ですね。

    頭の中はエロばかり。なんか面白いことねーかな~。
    という高校時代は、自分が過ごした日々とは全てが重なるわけじゃないけど

    けど、いいよな、こんなの。
    という感じ。

  • お馬鹿で助平で刹那的で、楽しい、この馬鹿さ加減をどうしてこんなに上手く描けるんだろうと不思議。

  • 男子高生の日常青春☆…ゆえに、どうにも下ネタと切り離せない。
    そんなストーリーなので、絵柄も含めてちょっととっつきにくい人もいると思うけどやっぱり、吉田秋生すげー!

    各編のタイトルが映画タイトルのパロだったり、ユーミン等の歌謡曲のフレーズが上手く織り込まれるエピソードだったり、今読むと古さが際立つけどそれは逆に今でも当てはまる普遍的なフレーズなんだと思わされたり…その織り込み方が自然でホントに上手いなぁと感心させられる。

    オリジナルな部分でも、
    『河は上流の方はきれいかもしれないけど、流れが急で幅も狭い・・・
    海に近くなると汚れるけど、深くて広くてゆったりと流れる・・・
    ・・・
    どっちがいい?』
    なんて、深い。


    などなどと、色々考えさせられる作品で素晴らしいと思うのですが、3人組の話かと思いきや秋男のエピソードが足りなかったり終わり方が特に最終回らしくなかったり、投げっぱなし?と思われるフリが多かったりするので、完結した作品とは思えないのが非常に残念。

    個人的に片思い貫く順子の切ない話が非常に好きだ!

  • これ実際の男子校経験者(つまり男)から見たら、思うところも違うでしょうね。

    でも、そういうとこで違ってくる(つまり男子校への憧憬を抱いている女子的な楽しみの)面白み以外の影が書かれているから、吉田秋生だな、と思う。

    いや、影の部分を書きながら、きっちり思春期の男子校生をおちょくったギャク漫画としても成立しているから楽しい。
    (でもやっぱりこの人、っとに男の子に女装させるのと、男、特に白人男性と日本人の男のからみ書くの好きなのね。。。

    *
    本当は、この先もっと展開すべきはなしなんじゃないかしら、と思う。
    お姉さんと基地の彼とのその後とか、季邦の商売の先とか。
    もちろん、順子と久保田のこの先も。

    後半には季邦の麻薬関係の話も、基地の彼のこともほとんど出てこなくて、男子校のどたばたが中心になる。
    つまり、陰を消して陽の話として描いたわけ。(まだちゃんと読んでないけど、同時並行でかかれてた『吉祥天女』が相当に陰な話だからなぁ。。)

    男子校って設定はやっぱり極端で、その設定だけでお話が立ち上がってしまうから逆に難しいかもしれないけど。
    (季邦と基地の米兵相手に売春する女の子とのからみが、中学時代の友達という路線からしか描けないとか。)

    続編か、設定を少しずらしでもいいから、ないかなぁと思ってしまう。

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著者プロフィール

同姓同名あり。

1. 吉田秋生 (よしだ あきみ)
1956年、東京都渋谷区生まれの女性漫画家。武蔵野美術大学卒業。1977年「ちょっと不思議な下宿人」でデビュー。1983年、「河よりも長くゆるやかに」及び「吉祥天女」で第29回小学館漫画賞を、2001年に「YASHA-夜叉-」で第47回小学館漫画賞をそれぞれ受賞。その他代表作に、「BANANA FISH」。
代表作のメディア化が多く、「吉祥天女」は2006年TVドラマ化、2007年に映画化された。「海街diary」は2015年に映画化されている。2018年には「BANANA FISH」がTVアニメ化された。

2.吉田 秋生(よしだ あきお)
1951年生まれのテレビドラマ演出家。学習院大学法学部卒業。

吉田秋生の作品

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