- Amazon.co.jp ・マンガ (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091910073
作品紹介・あらすじ
天女の末裔?謎の少女をめぐる幻想ロマン!
小夜子に魅入られるように男たちは惑乱し、死んでゆく。遠野の家では、小夜子をその怪物性に恐れつつも愛した涼が、ひとり破局を押し止めようとしていた。しかし事態は悲劇的結末めがけて走り始める……。羽衣を奪われた天女・叶小夜子。傷ついた少女の魂の化身。いつの日にか魂を鎮め、吉祥天・愛の女神になれるだろうか。
感想・レビュー・書評
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女尊男卑の家系 信大の医学部にいた人だから なかなかうがってるよ 何度妄想の中でわたしを犯したか… 夢枕 日和見そのもの 魑魅魍魎の集まり 叶家の分家筋さ 可愛さ余って憎さ百倍 飴玉を取られた餓鬼みたいだ! あなたったらまるで処女みたいね ヤジロベエの両端 相対する二つのもの… まさしく鳶に油揚げだだもんなあ 羊の群れに狼が忍び込んでるのに誰も何も気づかない 男の攻撃と女の攻撃は違う 養女 古い吉祥天 懸想けそう 世評が高いもの 構成の見事さと少女漫画の枠を超えたテーマ設定に感嘆した テーマを過不足なく描き切り 義兄ぎけい 政治的・社会的な文脈の中で読まれると、フェミニズム(ウーマンリブ)に直結する可能性を暗示している 男だけが持つY染色体に攻撃性の源があり、それ故に男は女より攻撃的であるとする説である。 名著 この説は染色体異常者を観察することによって、さらに補強される。 依拠いきょ 引揚者ひきあげしゃ 女性看守による性的虐待 よくりゅう抑留者 強姦をし得る性であるという女性差別思想の上にである 因習と迷信 陵辱 何らかの落ち度はある 巻中で最も印象的な大沢の墜落シーンはこれを象徴している 攻撃の虚しさの後に浄化がくるラストシーンは、物語りの当初から構想されていたものに違いない。「吉祥天女」という題名がそれを証明している。 呉智英くれともふさ 近代に対する根源的懐疑の立場から
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「女であるということが時どきどれほどの屈辱をもたらすか…あなたたち男にはわからないでしょう」(204p)
悲しい話、だけど最後でふんわりと、持ち上がるような。そんな終わり方。凄くフェミニズムとかそんな考えと結びつきそうなお話。女、という生物について考えさせられる… -
<KISSHOH TENNYO>
カバー写真/中田昭
小面制作/岩井彩
カバー・デザイン/末沢瑛一 -
強い女をまえにしてなすすべもなく自滅していく男たち。その姿を当然の摂理としてしか受け止められない自分は、本作を(よくも悪くも)ホラーとして読めない。発表当時におけるフェミニズムの文脈が一般化し、より強いものが勝ち残るというシンプルなゲームの枠組みだけが残った。最後の由似子のセリフに象徴的な、エンパワメントされた者の祝福に集約されるべき傑作。
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サスペンス仕立てのお話だったけど、美人過ぎるお嬢さまが無垢だった頃から世の男性たちの劣情になぶられ続け、本来一番美しく気高くかつ無垢に咲き誇る年頃であろう高校時代に、すでにああいった魔性の女性になってしまっていた…ってお話でした。
彼女に劣情を抱いて、悪いことをした男らがヒドイめにあうのは当然だと思うし、死んでも全然かまわないんだけど、彼女を理解できるはずだった好青年もその巻き添えになるラストはちょっと…。
まぁ、この青年の死をきっかけに彼女の復讐は終わり、聖女のように見えても精神のダークサイドでもがき苦しんでいた悪女から、心も体も穏やかな境地の吉祥天女へと変わって行くんだろうけれど…。
時代的にもまだ男性が優位な頃のお話だろうし、いろいろ考えさせられるお話でした。
できればあと1巻増やして、お嬢さまと彼女に従う元医大生との関係とか、おばあちゃんと彼女の関係とか、伏線にしていた部分をがっつり回収しておいてほしかったです。 -
吉田秋生の作品では、性暴力により何かしらの心の傷を描いた人間が登場することが多い。例えば、「BANANA FISH」の主人公アッシュは同じ男性から、「ラヴァーズ・キス」に登場する川奈里伽子は小学校の教師から、それぞれ幼少期に性的暴力を受けている。そして、この2作では、様々なストーリーの中でその傷をどう癒していくかが重要な作品のテーマとしている点で共通している。
一方、本作「吉祥天女」の主人公、叶小夜子も同じような性暴力に巻き込まれかけるが、本作では他の作品とは異なり、無慈悲なまでの復讐により、暴力を振るおうとする男性がことごとく死を迎える。その死に様や暴力の描写は「BANANA FISH」以上に生々しい。
こうした生々しく悲劇的な流れの中で、タイトルにもなっている「吉祥天女」が唯一の救いとして機能する。