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訪問者 (小学館文庫)

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著者 : 萩尾望都
  • 小学館 (1995年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910141

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訪問者 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 4つの短編を収録。「訪問者」トーマの心臓に出てくる唯一心地良い少年オスカーの10才から転入まで。「城」ラドクリフ少年の11才から16才までの自己を知る成長過程。「エッグスタンド」ヒトラー政権時代のドイツを舞台に少年が抱える光と闇(闇強め)を描く。「天使の擬態」珍しくフツウ設定で女学園の生徒と先生モノ。いつも思うけど選ぶ哲学テーマは重く黒いのにいつの間にか美しくキラキラした漫画に昇華させる技量が、凄いの一言。

  • 表題作『訪問者』は、『トーマの心臓』のオスカーの過去を綴った話。
    居場所を求めて苦しんでいたオスカー。これを読んでから『トーマ』を読むと、苦しさを経験したオスカーの心の強さにじーんと来る。
    『トーマ』で、オスカーは何故、ほぼ無条件にユーリのことを好きだったのか、最後のシーンでなんとなく分かった。

    『エッグ・スタンド』
    第一次大戦の時のフランスが舞台。
    迫害から逃れ身を潜めている女性ルイーズと、身体を売って生活する少年が出会い、ともに暮らす。
    そこへ、レジスタンスのマルシャンという青年が絡む。マルシャンとルイーズはやがて心を通わせる。
    そのままハッピーエンドになるかと思いきや、少年の正体が……。
    ずっと寒い冬景色の中で話が進む。最後に、来ない春を思うマルシャンが印象的。

  • 1995年刊行(初出1984年?)。「トーマの心臓」の前史ともいうべき短編「訪問者」を含む四つの短編。いずれも肉親との関係性がいびつで、その皺寄せが子供・少年の側に来ているものが多い。こういう構成は実に萩尾望都らしい。本書掲載短編は、このトラウマを克服するまでは描写しきれてないものの、親、特に未成熟な父親への怜悧な目線は印象的だ。ただ、先に読破した「禁断愛大全」での、同性愛・少年愛の生々しい現実を見れば、ああフィクションだな、と思わざるを得ないところもある。

  • 「トーマの心臓」に登場するオスカーの幼少期を描いた作品を含んだ短編集。オスカー好きとしては嬉しい外伝だけど、読んでいて胸が痛くなるお話です。幼少期のオスカーは可愛らしいという印象で、そこからあのカッコイイオスカーになることを想像すると、取り残された環境であっても強く生き続けたんだなぁと、しみじみと感動します。「親子の愛」がテーマでもあるので、子供を持つ人におすすめしたい。「訪問者」という題名も、読み終わってみると考え深いものになります。他の三作も面白く、哲学、宗教、愛を含んだ読み応えある文学的な物語です。

  • 「訪問者」
    「トーマの心臓」に出てきたトーマの外伝。
    母を殺してしまった父を庇う子の話。
    逃避行の途上で体調を崩していく父の姿が悲しい。

    「城」
    寄宿学校に預けられたラドクリフが、優等生のアダムとギリシャ人の不良オシアンに影響される話。

    「エッグ・スタンド」
    ナチスドイツの侵略するフランス。
    パリの踊り子ルイーズのもとに身を寄せる謎の少年ラウルを、
    非合法活動に携わるマルシャンが、ふたりを愛しつつも調査する話。
    「愛も殺人も同じなんじゃないの?」というラウルの存在が面白い。

    「天使の擬態」
    自殺未遂をこころみ、天使になることを夢想する大学生の次子が、
    新任教師シロウと触れ合ううちに、本来の自分を取り戻す話。
    次子がいったい何に絶望していたのか、が最後に明かされる。

    どれもよい中篇・短編だった。
    「訪問者」「エッグ・スタンド」は萩尾作品によくある設定だが、珍しく「天使の擬態」は日本が舞台で驚いた。

  • 短編4本を収録しています。

    「訪問者」は、『トーマの心臓』の番外編で、シュロッターベッツにやってくる前のオスカー・ライザーとその父親を描いています。写真家の父のグスタフ・ライザーは、オスカーが自分の息子ではないという事実に感づきながらも、そのことに向き合う勇気のない男として描かれています。彼は、妻との間でその件を持ち出すことを避け続け、最後には妻を殺害してしまいます。やがて刑事が彼に疑いの目を向け始めます。しかし、グスタフ以上に心に大きな負担を与えられることになったのはオスカーでした。オスカーは、父と母と自分の関係が家族というまとまりを失ってしまっていることに気づきながらも、家族でありたいと願い続け、逃避行を続ける父と行動を共にします。

    「城」は、両親が離婚し父に引き取られることになったラドクリフという少年の物語。なかなか友人のできない彼ですが、同じクラスのアダムという親切な少年と、その友人で不良学生のオシアンと過ごす時間が多くなります。ところが、ラドクリフは偶然にも、キャルガリ先生の若妻メディーナとオシアンが不倫をしていることを知ってしまい、そのことがきっかけで、彼は人間の心の複雑さを知ることになります。

    「エッグ・スタンド」は、第二次世界大戦でドイツの占領下にあるフランスが舞台の物語です。キャバレー「花うさぎ」で働くルイーズというユダヤ人の娘は、ラウルという身寄りのない少年を引き取ることになります。ところが、彼女の店に現われた、レジスタンス運動の闘士であるマルシャンという青年が、ロゴスキーという協力者の死をきっかけに、ラウルに疑いの目を向けるようになります。やがてマルシャンは、戦争の中でしか生きられない少年の心を知り、みずからの手でラウルの運命に結末を下すことを決意します。

    「天使の擬態」は、ヨコハマアドリア女子学園に通う有栖川次子(ありすがわ・つぎこ)と、生物学の新任教師・織田四郎(おだ・しろう)の物語です。次子が自殺未遂事件を起こしたことがきっかけで2人は知り合うことになります。ストーリーは次子が中心となって展開していき、やがて四郎が次子の抱えている心の傷を知るようになります。

  • 「訪問者」と「エッグ・スタンド」が特に好き。
    「訪問者」は読んでいる間、オスカーって聞いたことあるような…うーん何だったっけ…とぼんやり思ってましたがユリスモールが出てきてようやく思い出しました。そうか、「トーマの心臓」の前日譚か。ずいぶん前に一度読んだきりのはずなのに印象に残っているものだ。

  • 他3編の短編もそりゃあ素晴らしいのですがオスカー厨なのであえて訪問者の感想です!
    この話のなにが一番の救いって、あくまでトーマの心臓って物語が未来にあることを前提として訪問者って話が作られたことだと思います。親から与えられるべき当たり前の愛を得られなかったオスカーが、それでも自分以外の他人を許し受け入れ愛することができた、それがトーマの心臓におけるオスカーの姿なんだもんね…許される子供になれなかった子が一人の人間を許し愛せるようになったという…
    最後のページのユーリの姿がたぶんオスカー視点なのだと思うけどあまりにも眩しくて…ユーリにとっての愛という救いをもたらした天使はトーマとエーリクだったのだろうけどオスカーにとってのその意味での天使は紛れもなくユーリだったのだなって…大丈夫、っていう何も知らない故の美しくて優しい言葉がどれだけそのときのオスカーの心に染み込んだことでしょうか

  • オスカーの小さい頃の話がいい。泣ける。

  • オスカー!と心の中で叫びながら読んだ。銃で殺された母親も、南国へ行った父親も、学校で出迎えた校長も、みんなそれぞれに間違っていて、それでも正しくありたい幸福になりたいと願っていたんだろうと思う。幸福な家族とはどういう姿をしてるのだろう。

  • 短編集の中で一番好きかも。どのお話もいい。でもやっぱりオスカー好き!!!

  • コミック短編集。天使に進化するまでは、せめて天使のふり……というような表現はなんとなく好み。

  • 「トーマの心臓」のオスカーの話が載っていると聞いて購入。他の短編作品も感想を書くほど何かを掴めていない。消化するまでまだまだ繰り返して読まないといけない。

  • オスカー・・・

  •  萩尾望都の文庫の中で、いや漫画の文庫本で一冊を選べと言われたら迷わずこれを推します。表題作、『エッグ・スタンド』、脇を固める『城』と『天使の擬態』、いずれも傑作・大傑作。

  • 「トーマの心臓」の名脇役オスカーのスピンオフ過去編。


    ※収録作品
    「訪問者」「城」「エッグ・スタンド」「天使の擬態」

  • 表題作がよても良かった。
    最後の一ページで胸が詰まって泣きそうになった。
    思わずトーマの心臓を引っ張りだしてきて、成長したオスカーが健やかに暮らしているのを確かめちゃった。

  •  親子ってものはなんでこう難しいのかね。

     本当に血がつながってなくても、まあいい。
     確かに自分は愛されている、そこに自分の
     居場所があると、こどもが思うことができれば
     それでいい。

     でも、それが叶わなかった子って、たくさん
     いるんだよね。不安定な気持ちのまま
     育った子が。

     そんな子はきっと、我慢して我慢して
     いい子でいようとするでしょう。
     自分の気持ちを隠して大人に合わせようと
     するでしょう。愛されたくて。

     だから、子どもの割に変に落ち着いてたり、
     見方によってはどこか冷めてたりもする。

     子どもが子どもらしくいられる。
     みんながそうであったらいいのに。

     オスカーみたいな子を増やしたくない。

     
     ただ願うのは、オスカーがいつの日か
     幸せな家庭を築いてくれること!
     繰り返さないでほしい…

  • まるで純文学のような。
    どっしりと骨太で何かが心に残る作品集でした。
    あと、絵が綺麗。(樹なつみはもしかして作風が似ている?それとも時代性?)

    解説が折原みとでした!

  • 「トーマの心臓」に出てくるオスカーの物語が
    表題の短編集です。
    子どもって強く育つんだなとしみじみ。。。

  • おおおおおおおおオスカー(;;)ぶわ
    短編集ではこれが一番好き

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