ウは宇宙船のウ (1) (小学館文庫 はA 10)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910202

感想・レビュー・書評

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  • ■ウは宇宙船のウ 31p
    抒情たっぷり。
    「ポーの一族」がひと段落し、「百億の昼と千億の夜」で弩級のSFと戦ったあとに、これを原作に選ぶのがいい。
    歴史的にはどうかわからないが、最早ブラッドベリ+萩尾の組み合わせが至上と思える。

    ■泣きさけぶ女の人 22p
    これは恐い……読んだ年齢によっては永遠に引きずるかも。
    というのも自分しか知らない埋められた女の人を、どれだけ訴えても大人が真面目に取り合ってくれない、その無力感と、実際的な怖さと。

    ■霧笛 32p
    抒情……失われたものへの愛惜……人生……恐竜。
    灯台守が、恐竜の内情を想像するところに、人生が重ね合わされて……いい。

    ■みずうみ 18p
    溺死した永遠の少女。アナベル・リーか。
    「ポーの一族」のメリーベルの系譜。

    ■ぼくの地下室へおいで 30p
    こりゃ怖い。
    ジャック・フィニイ「盗まれた街」プラス、本多猪四郎「マタンゴ」。

    ■集会 31p
    ハロウィーンのオバケたちの中で、落ちこぼれの少年が視点人物。
    オバケ目線でも孤独なのだ。

    ■びっくり箱 32p
    「屋敷に閉じ込められる子供」モノ。
    なんと命名すればいいのか分からないが。
    ヨルゴス・ランティモス「籠の中の乙女」、服部まゆみ「この闇と光」など。
    もう少し場所を拡げればルシール・アザリロヴィック「エコール」「エヴォリューション」も入れていいかな、と考えたところで、あー寄宿舎モノと繋がっているんだな、と気づいた。

    ■宇宙船乗組員 23p
    これはつらい……「ウは宇宙船のウ」と対になっており、本の最初と最後で美しい構成になっている。
    ところでラスト1コマについて、ごく最近似たオチをどこかで見たような気がするのだが……思い出せず……ひょっとしたら他の作品ではなくてこの作品を思い出しているだけなのかもしれない。

    ◇エッセイ―ねえ、君たちは今どこにいるの?:谷村志穂(作家) 4p

  • ブラッドベリ原作ものの短編集。コクトーもそうだったけれど、ブラッドベリも本家より先に萩尾望都で読んでしまった。「霧笛」がやはり思い入れ深い。

    ※収録作品
    「ウは宇宙船のウ」「泣きさけぶ女の人」「霧笛」「みずうみ」「ぼくの地下室へおいで」「集会」「びっくり箱」「宇宙船乗組員」

  • さすが……さすが萩尾望都先生です。しっとりした雰囲気がブラッドベリにピッタリじゃないですか! しかもこんなにページ数が少ないのに原作の雰囲気壊さないまままとめてるー!! すげえよ! これが職人技か!!

    「みずうみ」の奇麗さがたまらーん。
    「びっくり箱」はたしか原作は男の子だったはず。でもドーナ可愛いしいいや! 
    「万聖節」10月のじっとりした霧の匂いが漂ってくる!!

    小説の漫画化としてはすごい再現度じゃないでしょうか。ブラッドベリの文章と、萩尾先生の童話的な絵の相性があやしすぎて頭グラグラする。そのグラグラに酔っていたい、と思えるような短篇集です。

  • レイ・ブラッドベリのSF小説を漫画化。喜びの裏側にある悲しみを感じるお話でした。

  • このマンガで、レイ・ブラッドベリを知りました。日常の中の非日常を描いたSFが大好きです。

著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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