BANANA FISH (11) (小学館文庫 よA 21)

著者 :
  • 小学館 (1997年5月16日発売)
4.16
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本棚登録 : 768
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091911810

作品紹介・あらすじ

ニューヨークを舞台に描く大長編ロマン。

アッシュを襲った月龍の刺客、その執念をのせた銃弾が英二を貫く。 凍りつくような孤独の中、アッシュは二度と英二に会わない決心をする。 一方、敵の捕虜となったマックスたちは国立精神衛生センターに囚われていた。 救出に向かったアッシュの前に立ちはだかるゴルツィネの牙城。 だが、そこではバナナフィッシュを狙うフォックスの謀略が密かに進行していた。 アッシュ・リンクス最後の戦いが始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 「あいつは憎んで覇者となるよりも
    愛して滅びる道を選んだんです
    その命がけの選択を認めてやってはもらえませんか」
    ああ。アッシュ…。

    言葉にすれば陳腐だけどまぎれもない「愛」の物語だった。それは「憧れ」だったり「血の繋がり」あったり「執着」であったり「嫉妬」であったり、様々なかたちをしていた。
    あのディノですら結局アッシュに向けていたのは愛だったのだと読み終えてみてよくわかる。

    アッシュの生きざまは、傷だらけになりながら命を燃やして生きる様は、「生きる」とは何なのかという哲学的な問いにひとつの答えを提示していたように思う。

    アッシュと英二くん。作中では「親友」って表現されてたけど、個人的には「ソウルメイト」とでもいうのがしっくりくるふたり。
    会えない間も、たとえもう会えないとしても、お互いのことを想い合い、その存在がいることで前を向いていられる、強くなれる、救われる。
    それって相手がもう魂の一部になったということだ。
    なんと切なく美しい関係だろうか。

    英二くんはアッシュを「守りたい」と言った。自分の命も、その上で他人の命も守ることができる強靭な身体を持つアッシュに対して。
    アッシュは英二くんに「人殺しはさせない。俺が守る」と言った。
    おそらく彼らは人間としての尊厳、心の一番柔らかい部分、一番プライベートな部分、お互いの心臓をさらし、互いのそれを何より大切に思い、守ろうとしたのだ。
    それって凄まじい結びつきだ。セックスをするよりも余程。
    だからアッシュと英二くんという男同士の関係が描かれたのだとわかる。男女じゃ性欲やセックスという単純明快な欲望を媒介とする関係がどうしても発生してしまうから。
    この作品はそうじゃない究極の結びつきを描き出したかったんだろう。
    性的な欲望に傷つけられてきたアッシュ(ここは作者や読者の女性とも読み替えられる)が、求めるものはきっと欲望を媒介としない、それでも深く結び付き合った関係だ。

    対等に愛し合う人間と人間の関係、それによる自分自身という存在や愛への問題提起と追求、
    それらを描くという意味でこの作品はまぎれもなく少女マンガだった。内容がハードでも、視点のありかが少女じゃなくても。大切な誰かへ向かう感情がわかりやすい恋愛感情(性欲)じゃなくても。

    傷だらけになりながら、それでも「生」や「愛」を求め続け、そのありかを全身で訴え続けた彼らの物語はきっとずっと忘れない。

  • いろいろ思うことはあるが、少なくとも天気のいい日と会議の前に読む本ではない。

  • 言わずと知れた名作。多分再読。某健康ランドで偶然発見し、4巻まで号泣しながら一気読み。続きを…と思ったら、なんと5~8巻まで抜けてる!ショック…と思ったら、翌日、図書館で発見!ラッキー!やっぱここの図書館はいいなぁ。他にも読みたい漫画がいろいろあったぜ。で、5巻~最終巻である11巻まで、また号泣しながら一気読み。ほんとラストは切ない。こんな終わり方あり?アッシュがあまりにもかわいそうだ。でもほんとアッシュと英二が出会えて良かったと思う。アッシュが裏切るようなことをするとき、皆が英二を人質に取られたんだなと分かるところがすごい。英二自身がそれを悪いと思わなくなった、と言ったところがすごい。だって、そんなことアッシュは望んでいないもの。アッシュがこんな才能ほしくなかった、と言うのはほんとに切ない。しかし、人気になるはずだ、と思う。こんな昔にこんなテーマ。漫画は偉大だ。小児性愛者なんて死んでしまえと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ほんとラストは切ない。」
      だから私は再読出来ません。。。
      でも、今は「海街diary」読んでウルウルしてます。
      「ほんとラストは切ない。」
      だから私は再読出来ません。。。
      でも、今は「海街diary」読んでウルウルしてます。
      2013/03/02
  • 読みはじめて終わるまで一週間、ずっと頭の中はBanana Fishでした。
    他の人も書いていましたが、こんなに日常生活に支障がでる漫画の最終巻は初めてです。

    素晴らしい作品でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「素晴らしい作品でした」
      人が生まれ変わる話は好きだけど、この話は辛かった。。。
      「素晴らしい作品でした」
      人が生まれ変わる話は好きだけど、この話は辛かった。。。
      2012/12/08
  • 【アニメ視聴・Another Story鑑賞前】
    アッシュの最期が衝撃的で、見終わってから放心状態。しんどくて体が重たくなって何もやる気が起きず、、、
    アッシュと英二が最後に会うことができなかった納得できる理由を考えることに必死になってしまいました。


    本人も何度か口にしていたけれど、アッシュが幸せに生きるには人を殺しすぎてしまった、、、だから幸せに生きていく【〜完〜】では虫が良すぎる物語になってしまう。個人的にそうなってほしいと心から思うけど、誰もが望むその結末をアッシュが手に入れるのはやはり難しい、、、悲しいけど、物語の結末は変わらない、これが現実なんだ。

    それに、彼らが逢えなかったのは相手を想う”愛”ゆえでもある。アッシュは「英二をこっち側の世界に二度と来させない」ために会うことをためらった。最後には英二の手紙で「会いたい」という衝動に突き動かされていたけれど(泣)ユエルンは「2人でいる時こそ気を許しているから弱点」と言っていたけれど、まさにその瞬間にラオに遭遇してしまったわけだ。


    ラオのことも考える。
    シンを想って、シンを守るためにアッシュを殺した。ラオにとってのシンは、アッシュにとっての英二みたいに守りたい存在だったかもしれない。ラオの気持ちもあるからこそ、辛いよ。

    それに、関係してるのはラオだけじゃない。
    もしシンがアッシュに挑んでいなかったら、、、
    ユエルンがチャイニーズの部下たちにアッシュと英二を殺せと言わなければ、、
    とか遡って〇〇がなければとか考えるけれど、それも無理な話で、アッシュの死は積み重なった状況に導かれた宿命なんだ。

    アッシュと英二は会えなかった、でも、英二はたしかにアッシュの最期に手を添えて立ち会うことができたと思ってる。彼らの心は、いつもそばにある。だからこそ、アッシュはあんな穏やかな顔で最期を迎えることができたんだ。

    あぁ、なんて美しい愛の物語。
    久しぶりに大切な作品に出会えてよかった。



    最後にアッシュの好きな台詞を書き留めておきます。

    「俺は今幸福なんだ。この世に少なくともただ一人だけは何の見返りもなく俺を気にかけてくれる人間がいるんだ。もうこれ以上ないくらい俺は幸福でたまらないんだ」

  • ネタバレされてて良かったかもしれない…
    このラスト知らなかったら耐えきれなかったかも…
    いや、私はいいよ
    英ちゃん大丈夫なのか?!
    がんばれ英ちゃん!!

  • 遂にこの名作を読み終えることができてとても達成感があります。
    ネタバレからラスト予想図が自分の中に出来上がっていましたが痛恨のミス。(英二が死ぬものだと…)
    深手を負いました。大変泣き喚きました。
    アニメのエンディング変えて欲しいです…日本へ行こうよ…
    追記:変わることのない美味しさを味わいました。もう、感無量です。

  • 読者の胸をナイフで突き刺すようなラスト。
    久々に引きずる作品。

  • ラストはわかっていたのに、心がはち切れんばかりにギューっとなった。

    でも手紙を読んで幸せそうに微笑んで突っ伏している表情は、最後は愛に満たされていたんじゃないかと思わせる。

    この作品が1985〜1994年にかけての作品なのに今読んでも訴えかけるものがあるということに感動。そして作者は何を思ってこの作品を書いたのか、とても興味がある。リアルタイムで読んでいれば、インタビュー記事とか目にできたかもしれないのに。残念。舞台設定も登場人物も、どこかに同じような事が起こり、存在しているんじゃないかと思わせる。知識量にも驚きだけど、観察力や考察力そして表現する力がある作家さんなんだと思う。

  • マフィア×クライムサスペンス×BL
    四半世紀前にこの完成度と鮮烈で仕上がっていた!

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著者プロフィール

同姓同名あり。

1. 吉田秋生 (よしだ あきみ)
1956年、東京都渋谷区生まれの女性漫画家。武蔵野美術大学卒業。1977年「ちょっと不思議な下宿人」でデビュー。1983年、「河よりも長くゆるやかに」及び「吉祥天女」で第29回小学館漫画賞を、2001年に「YASHA-夜叉-」で第47回小学館漫画賞をそれぞれ受賞。その他代表作に、「BANANA FISH」。
代表作のメディア化が多く、「吉祥天女」は2006年TVドラマ化、2007年に映画化された。「海街diary」は2015年に映画化されている。2018年には「BANANA FISH」がTVアニメ化された。

2.吉田 秋生(よしだ あきお)
1951年生まれのテレビドラマ演出家。学習院大学法学部卒業。

吉田秋生の作品

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