BANANA FISH ANOTHER STORY (1) (小学館文庫 よA 22)

著者 :
  • 小学館
4.21
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091911827

作品紹介・あらすじ

感動のストーリー、バナナフィッシュ番外編

アッシュの死から7年。NYで暮らす英二とシンはいまだアッシュの死の影から逃れられずにいた…。『BANANA FISH』のラストを飾る名作『光の庭』、ショーターとアッシュの少年刑務所の日々『ANGEL EYES』、ブランカとアッシュが初めて出会う『PRIVATE OPINION』、棒高飛び選手・英二が空に舞う一瞬『Fly boy,in the sky』など、奇跡のような生を駆け抜けたアッシュ・リンクスがよみがえる珠玉の5ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  •  BANANA FISHは私が今までに出逢った作品の中で最も感銘を受けた作品だ。そしてANOTHER STORY、中でも『光の庭』は本作中で一番胸を打たれたエピソードだった。
     アッシュを失って7年の月日が経ってもなお、彼の背中を追い続ける英二。罪悪感を抱えながら英二を見守り、自身はアッシュに敵わないと苦しみ続けるシン。二人はアッシュの影を追いつつも、同時にそれから逃れようとしていたのではないだろうか。
     そんな中、日本から伊部の姪:暁がやって来る。そして、彼女をきっかけに英二とシンの時間は再び動き始める。

     本編時代からシンを推している私にとって、光の庭はあまりに苦しい話であった。英二は苦しむのが許されているのに、シンには許されていないような、そんな感覚。自身の名前にすら『罪』の意識を感じてしまうほど彼は追い詰められていたのに、暁が来るまでの7年間、彼は一体誰に頼ることができたであろうか。
     月龍がシンに忠告した、「思い出と戦っても勝ち目はないよ」というあの言葉も、きっとシンには的外れだったのだろうと思う。シンは知っているのだ。英二にとって、アッシュはまだ『思い出』にすらなれていなかったことを。写真を見返すことも、図書館を視界に入れることもできない。彼に似た背中を見つけては追ってしまう。そんな英二が、いまだにアッシュの死を受け入れられていないことを。
     その姿を見かねたシンは英二に対し、アッシュのことはもう忘れろと口にする。それはシンが7年間の罪の重さに押しつぶされる前の、最後の叫びでもあったように見える。
     だけどもう、二人ともアッシュのことを忘れることなんてできやしないのだ。それでもシンの苦しみは確実に英二の心に届いたはずである。英二がアッシュの人生を『奇跡のような生』と言ったその時から、二人の時間は再び動き出したのだと私は思う。
     それぞれの生を受容することは、その死を受容することの裏返しだ。アッシュの死と、シンの生。アッシュの魂は英二に夜明けの光を与え、その光はシンの闇をも晴らしていく。各々が受容した生死とその魂を同時に抱えながら、彼らは『その時』を生きていくのだ。

  • 一番好きなアニメのバナナフィッシュ、のアナザーストーリー。光の庭がとくにいいと話には聞いていたけれど、なかなかアニメを見終えてから立ち直れず日が経ってからこちらを買いに行きました…。 ショーター、ブランカ、シン、エイジにアッシュと本編で主要な彼らがここにいる。かなしいけれどあったかい。 昔のクスッとなる出来事から、ある日をきっかけに止まってしまった時間からまた針が進むようになる話まで。アッシュのファーストネームである「アスラン」の意味を、英二がギャラリーに飾った一枚の彼の写真のタイトルにするなんて(号泣) 正直言ってこれを見て立ち直れるどころかまた沈みもしたけれど。。沼ですね。

  • 短編集。

    本編のラストには納得したつもりでいたのですが(美しかったし、これしかないという作者の強い意思を感じた)、第2話の『光の庭』を読んで、救われる思いがしました。
    <引用>
    ――あの奇跡のような”生”と(中略)いっしょに過ごすことができたことを(中略)誇りに思う――

    誰かを恨み、傷つけることで、自分の気持ちに折り合いをつける。
    前にアッシュも、マックスに同じこと言ってたな。

    第1話『ANGEL EYES』は、ショーターファン必見(絶対!)。

    第3話『PRIVATE OPINION』は、ブランカファン必見。
    といいたいところですが、14歳のアッシュの魅力が炸裂しちゃってます。
    ここから『うら・BANANA』『Fly boy, in the sky』までの3作品は、本編未収録。

  • 「BANANA FISH」は別コミ(別冊少女コミック)に連載当時に連載と並行してコミックも集めていたので、コミック最終巻の19巻に「ANGEL EYES」「光の庭」はすでに収録済み。ブランカのお話は、記憶に残っていたから別コミで読んだんだろうと思う。もう一度読めて良かった。
    イベさんと英ちゃんの出会いのお話も読めてとてもよかったです。こんな昔に二人の出会いの物語があったなんて、嬉しかったです。

    「BANANA FISH」は私にとって宝物。
    子ども時代に感動した物語を、大人になる過程でも読み返し、自分が親になってからも何度も読んでしまう。
    これ以上に心を揺さぶる物語に、私は出会ったことがないです。

  • 【光の庭】
    アッシュのあの穏やかな横顔を最後に、その後の英二の気持ちと人生は読者に委ねられていた。アッシュの死を知った英二は、きっと崩れ落ちて悲しむんじゃないか、、、最愛の人を失った彼はどういう人生を送っていくんだろう、、、そんなことを考えていました。

    なんと7年経っても彼の傷は癒えておらず。人の死は癒えるような傷ではないかもしれないけど、彼がアッシュの写真を見ないようにしていたり、図書館に近寄らないようにしていたり。愛が強いからこそだと思いますが、アッシュという存在を感じないように避けていたということは予想していませんでした。それほどに辛さを抱えながら生きていたんですね、、、

    でも暁の渡米によって少しずつ止まった時が動きだして、「アッシュやシンと向き合う」という一歩を踏み出すことができて本当によかった。きっとアッシュも喜んでると思います。

  • 素晴らしい・・・
    素晴らしい結末に素晴らしい余韻・・・
    最終話では出なかった涙が光の庭で溢れてきます。
    本当にもう言葉に出来ません・・・

  • 何につけても『光の庭』だ。言葉など必要ではない。失われるものは確かにあるけれど、その実、何も失われてはいないのだ。

  • 光の庭、思い出しただけでも涙が出る。
    7年後の英二とシンのお話。

    『ごめんよ、長いこととじこめてしまって』

    大号泣。これからはきっと、向き合って生きていけるかな。

  • 「BANANA FISH」を読み終えて、完璧なラストだと思いつつも置き所がなかった気持ちを、この本に収められた「光の庭」が昇華してくれた。 ?君と同じ名前の人を知っているよ…? 鎮魂と再生の物語。その他、収録された話もいい。永久保存したいコミック。

  • 名作。本当の意味での完結作。
    プラトニックで、どこまでも美しい作品だったなと感じます。救われないけれど、なんだか救われた気分にもしてくれる。
    みんなの未来に幸あれ。

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著者プロフィール

同姓同名あり。

1. 吉田秋生 (よしだ あきみ)
1956年、東京都渋谷区生まれの女性漫画家。武蔵野美術大学卒業。1977年「ちょっと不思議な下宿人」でデビュー。1983年、「河よりも長くゆるやかに」及び「吉祥天女」で第29回小学館漫画賞を、2001年に「YASHA-夜叉-」で第47回小学館漫画賞をそれぞれ受賞。その他代表作に、「BANANA FISH」。
代表作のメディア化が多く、「吉祥天女」は2006年TVドラマ化、2007年に映画化された。「海街diary」は2015年に映画化されている。2018年には「BANANA FISH」がTVアニメ化された。

2.吉田 秋生(よしだ あきお)
1951年生まれのテレビドラマ演出家。学習院大学法学部卒業。

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