雪紅皇子 (小学館文庫 きA 16 夢の碑 6)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091912268

感想・レビュー・書評

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  • 後南朝を舞台にした漫画。
    夢の碑シリーズの中でも、特に好きなお話です。
    滅びるとわかっていながらも、自分に付き従ってくれる民を見捨てず、最期まで民のことを考えて戦い、死んでゆく二皇子に、哀惜の念を抱かずにはいられない。

    私はこのお話で吉野に興味を持って「吉野葛」読みました。自天王という章に、南朝の皇子についての記述があります。

  • これも自分の原点とも言える作品。異能を持つ根姫と後南朝の皇子と伝わる映宮忠義王の物語。判り得ている史実を最大限に使い、後南朝を巡る陰謀や愛憎を描いている。根姫もあやかしの類らしく、あやかしモノの元祖かも知れない。帝の深日宮も映宮も後南朝は滅びゆくものと捉えており、里人の糧として幻想を演じている姿には哀しみを覚える。再興を悲願とする赤松家家臣も、貧しい暮らしをする領民の為と言いながら幻想を見ているのだろうか。昔は内容の半分もわからなかった。だからこそ、根姫の純粋でまっすぐな姿に映宮は惹かれたのかもしれない。

  • (2019-06-08L)(2020-12-24)

  • 頃は南北朝時代。
    人の心を読む不思議な力をもつ鬼の娘、根姫(ねき)は賊に襲われていた所を南朝の武士に助けられる。
    根姫を助けたのは落ちぶれた南朝の帝の義弟、映宮(はゆるのみや)。
    以来、根姫は映宮の忍部(おんべ)となる。
    忍部とは、帝直属の秘密機関の総称。
    忍部は主が行方知れずになった時、どれほど遠くからでも仕える相手の居場所を探し出すという。
    映宮はその役目を根姫に託す。

    強烈なカリスマ性をもち群集に慕われる美しい映宮。
    そして義兄の帝とその妻、義母、映宮の忠実な家臣たちと忠実なふりをして実は別の考えをもつ者たち、裏切り者、間者・・・。
    それらの思いが全てあいまって、悲劇へと進んでいく。
    義母に嫌われいじめられながら、優しい帝とほのぼのした兄弟愛を結び、忠実に仕える映宮の姿がいじらしく思えました。
    悲しく美しいストーリーです。

    他に、
    映宮の忠実な家臣、振矢の初恋の話(水琴窟)
    幼い頃の映宮と幼馴染の山婆の娘との淡いラブストーリー(上ゲ哥)
    が収録されています。

  • なんで木原漫画のヒーローとヒロインは最後鬱エンドなん?
    でも好き。

  • シリーズ通して読んでこその「夢の碑」ですが、ダントツお気に入りなのと、1冊にまとまってて薦めやすいのとでコレを。
    木原さんの、「まつろわぬもの」たちへのしんとした視線はとてもきれいで、ブレることがない。その美しさにいつもはっとさせられます。「オニ(鬼・隠)」の概念も好きだー。

  • 切なくていい!

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著者プロフィール

木原敏江

1948年(昭和23年)、東京生まれ。1969年「別冊マーガレット」に掲載された『こっち向いてママ!』でデビュー。77年、旧制高等学校に通うふたりの少年を描いた『摩利と新吾』を発表する。この作品は、その後7年間にわたって描き継がれ、明治末から大正、昭和と、三つの時代を舞台に展開する一大大河ロマンに結実した。84年『桜の森の桜の闇』『とりかえばや異聞』の発表で始まった連作「夢の碑」シリーズも、97年まで執筆が続いた大作。85年、同シリーズにより第30回小学館漫画賞を受賞。『アンジェリク』『大江山花伝』『紫子―ゆかりこ―』は宝塚歌劇団で舞台化された。そのほかの作品に『どうしたのデイジー?』『エメラルドの海賊』『銀河荘なの!』『天まであがれ!』『杖と翼』などがある。

「2021年 『ワイド版 マンガ日本の古典28 雨月物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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