海のアリア (1) (小学館文庫 はA 22)

著者 :
  • 小学館
3.56
  • (21)
  • (38)
  • (69)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 298
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091913821

作品紹介・あらすじ

8月の朝、嵐の海に消えた少年が半月後に見つかった。海から還った少年は奇跡の楽器になっていた!? SFマリーン・ファンタジー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初版の時に一巻だけ買って読んでいたけど、その後忘れていたので2巻まで電子版購入。

    前読んだ時に、マリサの家って海辺でいいなーと単純に思っていたのしか思い出せて無かったけど、これはガッツリSFだった。

    個人的にこのシチュエーションなら、SFで無い話で読みたかったなぁ。
    2巻は、良くも悪くもSF全開。萩尾望都らしいっていったらそうだけど。一巻最初の、マリサと音楽と謎の少年をSF抜きで描いて欲しかった。勝手な読者ですね。

  • 仲間たちとともにヨットで海へと出た音羽(おとわ)アベルは、嵐のなかで光る球体を目にして、波にのまれて行方不明となります。

    やがて家に帰ってきたアベルは、それまでの記憶をうしない、以前の彼からは理解できないような言動をくり返して、弟のコリンをはじめ周囲の人びとを戸惑わせます。そんな彼らの通う聖シモン学院に、有亜土(ありあど)ディデキャンドという音楽教師が赴任してきます。彼は、自分がエイリアンだと名乗り、アベルの身体のなかに入り込んだ「ベリンモン」という楽器の演奏者であるといいます。自分はアベル以外の何者でもないと反発するアベルは、アリアドに背を向けつづけますが、アベルの不思議な能力によってさまざまな事件が引き起こされていきます。

    著者のSF作品のひとつですが、いくつものテーマが混在していて、やや間延びしてしまっているような印象もあります。とはいえ、メインとなるストーリーがまぎれてしまうということはなく、整った構成にしあがっています。また、一人の少年が楽器となって奏者と共振し、音楽をかなでるというボーカロイドのような設定は興味深く感じました。

  •  沖縄での歌手とのエピソードの完成度が高く、ここで終りにしてもよいのでは、と思う。
     荒れる海・穏やかな海の描写が卓抜で、絵のお手本にしたいほど。
     双子の弟コリンの後悔の涙が胸を打つ。

  • 日本が舞台の萩尾望都作品はあまり読んだ事がないので新鮮。逗子の海にヨット。とても萩尾望都らしい!アベルがマリサを助けるくだりから、日本版メッシュのような連作になるのかと思いきや、アリアドが出てきてから物語が大きく舵を切る。そしてそれはもちろん最初からそう決まっていた。(しびれる)
    逗子に帰ってからのアベルは、萩尾望都特有の感情的な美少年然としている。なにせ感応力の持ち主。一巻ではまだ全貌は分からず、どこまでSFなんだろうといった感じ。楽器?どういうこと?といった感じ。
    それにしてもアベルとベリンモンの共存の具合がなんとも絶妙。
    普通の人間より複雑で、おそらく我が強く、潜在能力として超能力も持っていたというアベルだからこその調和加減なのだろう。塩梅がすごい。

  • 壮大な音楽ファンタジーと聞き、読んでみました。本当に壮大すぎてストーリーの説明がしにくいのですが、舞台は湘南の海。登場人物たちは高校生。休日に同級生たちでヨットを乗っていると嵐にあい、1人が行方不明に。死んだと思われていたその人物が沖縄で発見され、なんと、宇宙人の楽器になっていた!という感じのお話です。最初は平凡な高校生の学園マンガかと思いきや、最後はハリウッド映画なみのスケールになっています。各章のタイトルが「テンペスト」といった風に名曲のタイトルが使用されているのが嬉しいところ。

  • 「自分が自分じゃなくなっていく」という感覚がゾッとする。
    海での事故以来、記憶を失ってしまったアベルのSF物語。

    綺麗な絵と、音楽が奏でる不思議なストーリー。
    文庫で全2巻

  • 嵐に襲われ漂流した兄・アベルらしき男が見つかったとの情報を聞きつけコリンが沖縄に駆けつけると、そこには記憶を失いながらも不自然に音楽的才能を開花させたアベルの姿があった。
    コリンや友人らの助けもあり、なんとか日常生活に馴染もうとするアベルだったが、音楽教師アリアドの登場により自身の「楽器」としての宿命に巻き込まれていく。

    逗子海岸でヨット乗りをする場面から始まる作品だが、壮大なSFへと展開していく。
    主筋は重いのだが、冗談交りの友人との三角関係やディスコミュニケーションのおかしみなんかもあり、読み口は結構軽め。
    登場人物それぞれのコンプレックスも丁寧に書かれており、コンプレックス克服の成長物語という一面も持つ。

    相変わらずの高い構成力と奇抜なアイディアで完成度の高い作品に仕上がっている。

  • ヨットの遭難で海に消えた少年アベルは、記憶も常識も喪失して還ってきます。
    彼の体内には、宇宙生命体である楽器ベリンモンが宿り、その楽器を追い求めてエイリアンが現れます。
    こんなふうにあらすじを書くと、???がとびかうような突飛な話のようにみえますが、さすが、萩尾望都先生。美しい抒情詩のような仕上がりになっています。でも作品群の中では比較的軽い感じでさらっと読めるほうです。

    話はそれますが、この一巻の最後に恩田陸さんがエッセイを書かれています。
    その中で、恩田陸さんのあらゆる作品の根っこになっているものが萩尾望都先生の作品だと。「精霊狩り」シリーズが「光の帝国」シリーズへ。「トーマの心臓」が「ネバーランド」へ。「ヴィオリータ」が「ライオンハート」へ。「この娘うります」が「ロミオトモミオは永遠に」へ。びっくりです。でも、私が恩田陸さんの作品に惹かれる理由もわかりました。私も萩尾望都先生の作品の空気がすきなんです。
    あの独特の空気、恩田陸さんの作品を萩尾望都先生がマンガにしたものを見てみたいです。

  • 楽器になる生命体のカラが壊れて人間に入る…という設定は面白かったです
     

  • アリアドとアベルがやっぱり素敵。
    終わり方が秀逸。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

萩尾望都の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×