A-A' (小学館文庫 はA 25)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091913852

作品紹介・あらすじ

惑星開発プロジェクトにやってきたアディは事故死した本体にかわり配属されたクローンだった…!宇宙を舞台に、変異種ゆえの悲哀と愛を描いた表題作はじめ「X+Y」「4/4カトルカース」の連作を含む全6編。

感想・レビュー・書評

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  • 「一角獣種」と呼ばれる、特徴的な髪色をした登場人物たちが主役を務める短編作品6編を収録しています。

    表題作「A-A'」は、惑星開発プロジェクトのメンバーだったアデラド・リーが事故で亡くなってしまい、彼女のクローンがあらたなメンバーとしてやってくる話です。アデラドの恋人だったレグ・ボーンは、クローンとなって帰ってきた彼女と打ち解けることができず苦しみますが、しだいに二人の心に変化が生じることになります。

    「一角獣種」の登場人物たちはいずれも感情の動きを表面に出すことがすくなく、そうした彼らに戸惑いながら、自分自身の感情に駆られていく周囲の人びととの対照が印象的でした。

  • 一角獣種と呼ばれる特異な種を主人公にした一連の作品「A-A'」「4/4 カトルカース」「X+Y」と、比較的初期の「ユニコーンの夢」「6月の声」、グロテスクで美しい「きみは美しい瞳」を収録した短編集。「A-A'」は、クローンとオリジナルというSFでは定番のテーマを扱った名作。巻末エッセイは浦沢直樹。

  •  記憶と傷をめぐって綴られる『A-A'』の緊密・厳格な構成、突きはなしの残酷さには圧倒されます。萩尾望都の短編では『半神』と双璧をなす、と言えるのではないでしょうか。全作品中でも最も好きな掌編です(アデラド・リーが綾波レイのモデルだという噂は本当なのかな)。
     短編好きとしては最後の『きみは美しい瞳』もたまらないものがあります。

  •  一角獣種という架空の生き物を通して、まざまざと見せつけられる。
    「ありのままの不器用なあなたでいいのよ」という肯定感。そう肯定されなければ死んでしまうというくらいの不器用さだ。
     子供じみている、バカバカしいと思いながらも、それは、甘く優しく魅力的に映る。

     SFと言う舞台だから見られる夢である。
     現実でこれを描いたら、さすがに夢が覚めてしまう。

  • 萩尾望都先生のSFファンタジー短編が入っています。
    少しづつ話は違いますが、「一角獣種」という人工種のキャラクターが絡んでいる話が4編。後は昔のSFファンタジーが2編と別のモノが1編入っています。
    著者の作品を読んでいると本当にその世界に吸い込まれそうになってしまいます。それほど、構成力、ストーリー性が抜群に魅力的。
    トリルの話では「個」として大切にする少年と「種」を存続させることにのみ野望を抱く大人。やられますね、、こういう話は。

  • 読んだのはこの文庫ではなく古い作品集の17巻なので、収録が少し異なる。
    「A-A'」「4/4カトルカース」「X+Y」の一角獣種もののみ

    久々に読み返してみた。深い。
    「A-A'」は内容的には望都先生が何度か書いているテーマな感じで、心惹かれます。短いのに静かに深い。
    が、この1981年の漫画を今読むと、クローンって方が気になる。
    遺伝子・記憶を登録して、3年後に死亡すると直ぐに登録当時の年齢のクローンが現れる。
    3年で16歳まで成長させれるっていうのがすごい。その後普通に成長できるんだろうし、オリジナルがいないのだから、オリジナルとして暮らせるんだろうし、、、、でも、なんつーか、う~ん、、、そこに引っかかって。いいとか悪いとかではなく、何と言うか、脳内会議が止まらない。
    ま、主人公たちが陥るとまどいと同じだ。うん、実に深い!さすが望都先生!

    だからか、クローンの現れない同時収録の2作品の方が好きかも。
    モリもトリルもタクトも可愛い。
    トリルはまぁ、、、でも、同時収録してくれて救われる。

    (自)

  • 2008/4/13読了。(以下若干ネタばれあり)
    1・A−A’:死と隣り合わせの宇宙開発担当者は、万が一死亡した場合、優先的にクローン再生される。アディは3年間の空白を得て再生され元の職場に戻る。そこにはオリジナルのアディが愛した人がいた。
    2・4/4カトルカース:カレイドスコープアイを持ち、ESPを持つがまだコントロールが出来ないモリ。ある日赤い鬣を持つ一角獣種の少女トリルと会う。少女は言葉と感情を失っていた。モリはトリルがいると力のコントロールが出来る事に気がつく。
    3・X+Y 前後編:4/4の続編。4年の歳月が経ち、モリは火星にいた。地球から来た一角獣種の少年タクトにトリルの面影を見て・・・。
    4・ユニコーンの夢:ユニコーンは未来の夢を見せる。少女を残して少年は戦いの中へ。少女によりそうユニコーンが見せる夢がせつなく悲しく少女を少年の元に導く。
    5・6月の声:いとこのエディリーヌが太陽系外惑星移民第1段の追加メンバーに。婚約者を置いて、エディリーヌは宇宙に旅立つ。愛しい人の猫と共に。
    6・きみは美しい瞳:夢を見せる鳥。鳥が見せる物は何か。
    −−どちらかというと萩尾さんの作品ではあまり好きではない作品が多い。多分、私にとって難解なんだと思う。とくに「きみは美しい瞳」は、なんだか怖くて後味も悪い。

  • 感情の機微の表現がレベチ、流石だと唸る。

  • 今の視点で読んでみると”一角獣種”の特質がASD的なそれと重なる部分が多いように思える。本作を描いたのが1980年代前半ということを考えると、現在よりもさらにネガティヴにとらえられていたそういった特質をフラットに描写した彼女の視線の揺るがなさに驚かされる。

  • 萩尾望都『A-A’』読んだ。

    読み終わりたくなかった。
    SF多めの作品集。

    “一角獣種”に関する物語が3作品収録。
    (表題作A-A’と、その続編4/4と、X+Y)

    あと「ユニコーンの夢」と、「6月の声」、「きみは美しい瞳」。

    私が古本屋で手に入れたこれ、想定ってかカバーが違うんだよな。通常と。


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    一角獣種という神秘的な種族を描いてるが、物語の中ではアクセント的な役割。この必要だけど重要かといわれると難しいバランスを保てるのスゴイと思う。

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    一番好きなのは「きみは美しい瞳」。夢鳥というキャラクターを通して、主人公等の想いが描かれ、自分の心と向き合ったり自分に絶望したりする。主人公のハプトが攻撃的なのは、傷つきやすいからなのだなと。整合性。
    そして美しいものは更に遠く、この物語のラストに相応しい。これしかないと思える。

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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