- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091920027
作品紹介・あらすじ
原因不明の奇病「モンモウ病」をめぐる、陰謀と復讐の物語
▼第1話/溶解▼第2話/狂ったメス▼第3話/栄光へのアプローチ▼第4話/ヘレン・フリーズ▼第5話/ネクロージス ●登場人物/小山内桐人(M大医学部付属病院医師・モンモウ病の研究を行っていたが、師である竜ケ浦の企みにより、自らモンモウ病にかかってしまい、世界各地をさまよう運命となる)、竜ケ浦(M大医学部付属病院第一内科医長・医師会の会長を目指し、モンモウ病を利用して業績を上げようと画策する)、占部(M大医学部付属病院医師・桐人とは古くからの仲だが、桐人・いずみと竜ケ浦の板挟みになって苦悩する)、いずみ(桐人の婚約者)。 ●あらすじ/万大人のもとを逃れ、小屋で一休みする桐人だったが、共に逃げてきた麗花に手足を縛られ、監禁されてしまう。彼女はなんと、普通の男を愛することができない、異常性欲の持ち主だったのだ。しかし桐人は彼女を拒み続け、隙をみて脱出する。彼女に心の病をみとめ、桐人は催眠治療を行なうが、その最中に原住民に襲われ、彼らはまたも捕われの身となってしまう(第1話)。▼モンモウ病を発病した万大人が、M大に運ばれてきた。竜ケ浦と占部は、台湾の医師団と万大人の病状について話し合うが、その中でかつて桐人が万大人のもとにいたことを知る。そこで占部は激しく動揺し、さらにいずみが毒をあおったことを聞き、錯乱して病院にいるヘレン・フリーズを犯してしまう!(第2話)。 ●本巻の特徴/第2巻では、依然として放浪を続ける桐人と、ヘレンと桐人を救おうと奔走しながら精神を崩壊させてゆく占部、そして竜ケ崎の学会での発表と医師会会長選挙の一部始終が描かれる。 ●その他の登場キャラクター/麗花(「人間テンプラ」を得意とする奇術師。異常な性欲の持ち主である:第1、5話)、ヘレン・フリーズ(修道女で、モンモウ病患者。占部にともなって来日している:第2、4話)万大人(台湾の大富豪で、モンモウ病患者。自分の屋敷で、異常な残酷ショーを日夜繰り広げさせている:第3話)、ドクトル・マンハイム(ドイツ人医師で、伝染病の世界的権威。竜ケ浦の説に反対する:第4話)
感想・レビュー・書評
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もう1つのブラックジャック。
占部の存在感!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何が善で何が悪かは状況に応じて変化する。
だから、戦時中の善は戦後、悪になった。戦時中、天皇を礼賛していた大人たちが、手のひらを返して民主主義を語る。もっともらしい大義名分が一番怪しい。
手塚漫画の根底には、大義名分を唱える大人への痛烈な批判がある。
しかし、人間も変化する。
桐人は正当防衛だが、人を二人殺してしまう。
そして最後は赤ん坊も殺そうとする。
保身のための悪、自己利益のための悪、自己満足のための悪。本書の登場人物はそれぞれの悪、仏教的に言えば業を抱えた人たちだ。
この後、それらの業が何かに昇華されていくのか、それとも何にも昇華されないのかが、楽しみ。 -
高雄かおしゅん サテリアージス 蟄居ちつきょ 安直なヒロイズムに酔って 火球的請願 占部の贖罪 大わらわ 敬虔な修道女 心は豚にも劣る俗物 夜露
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医師でもあった手塚治虫ならではの作品。
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人は善悪のどちらにもなりうるどちらを選ぶのかは何が決定するのだろう?きりひとみたいな強さなどこから来るのかな?
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きりひと&麗花と同時進行で、占部&シスターヘレンの話が描かれる。長老の手術後の先生と麗花の涙にもらい泣き。外見で判断されることの恐ろしさ。犬相である故に感じる無念、差別。
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手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。