ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫 ふA 1)

  • 小学館 (1995年7月15日発売)
4.11
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091920614

感想・レビュー・書評

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  • ああやだ…胸くそ悪い。
    傑作には違いないが疲れている時に読むんじゃなかった。
    せっかく買ったのに手元に置いておくのも嫌だ。

  • 文庫全4巻

  • 藤子・F・不二雄による、大人向けのもの、SFものを集めた短編集。SFものはやはり子供向けだが、「間引き」「ヒョンヒョロ」「わが子スーパーマン」「コロリころげた木の根っこ」は大人が読んで唸る珠玉の作品たちだ。残酷でありそうもない話だが、どこか現実味を感じさせるところが氏のインテリジェンスを感じさせる。他のシリーズも読んでみたい。

  • 怒り新党でとりあげられていた「異色短編」の第1作。牛とヒトの関係が入れ替わったかのような世界の表題作。人口増加社会の闇をブラックに描く「間引き」。「自分会議」のような人の一生と時代における価値の変遷を描いたような作品にも見て取れるように、藤子F不二雄における「タイムマシーン」の役割は、この時代の漫画家に共通している「未来の社会の予知と警鐘」をベースにしていると改めて気付かせてくれる。
    「タイムマシーンは絶対に」での最後の一言

    「知られたくない秘密は誰にでもあるもんだ。個人の情事から、それこそ国家機密に至るまで。それがあるうちはタイムマシーンは実用化されないんだよ、絶対に」

    折しも特定秘密保護法が成立した現在。35年前の国民作家の慧眼を思う。

  • 藤子F先生の驚異的な才能を感じた短編で、どの作品も風刺が効いていて最高に面白い。

  •  トラウマ漫画といわれるミノタウロスの皿を読みたくて購入しました。
     うわあブラックですねえ、ブラック・ユーモアですねえ。
     読めばわかります。

  • いつもの藤子・F・不二雄さんの作風とはちょっと違う短編集。
    13話が収録されています。
    ちょっと奇妙でシュールで考えさせられる、大人な雰囲気の漂う話ばかりです。
    読んだ印象としては手塚治虫の短編と「Y氏の隣人」の作風をかけ合わせたような感じだと思いました。

    以前、テレビ番組「マツコ&有吉の怒り新党」の日本の3大〇〇のコーナーで紹介された短編が3編とも収録されています。
    私はあれを見て、「へぇ~。こんな作品も描くんだ・・・」と興味をもってネットで検索し、この文庫版を見つけて購入しました。

    あの番組を見て先入観があったせいか、やはり読み終えて一番面白いと思ったのは番組でも絶賛されていた「コロリころげた木の根っ子」という最後の話です。

    主人公は若い編集者の男性。
    彼はある作家の家に原稿をもらいに行き、そこで作家の妻に対する横暴な態度を目の当りにする。
    作家は妻を
    飼っているサルが逃げ出したと言っては殴り、
    酒瓶が置きっぱなしだと言っては殴り、
    愛人と旅行に行く準備を頼みもしないのにしたと言っては殴る。
    そんな夫に妻は一切逆らわない。
    やがて酒がないと言い出した作家のために酒を探す主人公は妻の部屋に入るがそこで彼が目にしたものは-。

    という話で最後の1ページがかなりシュールで怖いものとなっています。
    他にも、
    大きな岩を売り歩くセールスマンがタイムマシンを売るセールスマンと出会って不思議な体験をする「オヤジ・ロック」
    自分が亡くなった後の家族の姿を見て再び生き返ろうとする爺さんの話「じじぬき」
    過去と未来の自分が集まって自分の将来について会議する「自分会議」
    人口が増えすぎてコインロッカーに赤ん坊を捨てる人間が後をたたないという時代の話「間引き」
    など、SFっぽくもあり、その中に社会風刺などもこめられた話で、読んだ後色々と考えてしまいました。

    例えば、タイトルの「ミノタウロスの皿」という話はある星に不時着した男性の話ですが、その星というのが人間と牛の立場が逆転していて、牛が人間を食べたり、労働に使ったりしている。
    そして、この星に不時着した彼を助けてくれたミノアという女性が大祭の祝宴の皿に載せられる事に決まっている。
    当の本人はその事を栄誉として喜んでいるが、男性はそれを阻止しようとする。
    という話で、これを読んだ後、この地球に牛の姿の異星人が来て同じような事をしようとしたらどうだろう?とか、人は自分に近い姿かたちのものを食するのをためらうのだ、とか考えると何となく、捕鯨問題に考えが行きついたりしました。

    後、この本には劇場版のオバQの話があって、あまりにシュールなオバQが恐くてホンマモンのオバケだ!と思いつつそのシュールっぷりに笑えました。
    色々書いたけど、テレビ番組で紹介された3話が全て収録されているだけでも十分価値がある一冊だと思います。

  • 「マツコと有吉の怒り新党」で紹介されていた藤子・F・不二雄のSF短編集。この場合のSFは、「サイエンス・フィクション」ではなく、「すこし・ふしぎ」という意味だそう。

    子どもに夢と希望を与える作品が藤子・F・不二雄の光とすれば、このSF短編集は藤子・F・不二雄の闇の部分といってもよいと思う。本当は(どちらかが)こういう作品こそ書きたかったのかなとかんぐるほど、読了後の不気味な余韻はなかなかすごいものがある。

    この短編集も含め、シリーズがいくつか出ているので、手に取る機会があれば読んでほしい。妙にリアルで、怖くて、頭にこびりついて、寝るときに思い出します。

  • 「ドラえもん」で知られる、藤子先生の異色短編集。
    一気に藤子漫画に対するイメージが変わるだろう。

    世界の人口が増えていくに従って、「人の命」の尊さも失われていくという状況を描いた「間引き」

    地球では、人間は牛を食べるが、それが逆になっている状況の星に漂着した「ミノタウロスの皿」

    この2つが特に面白かった。

    あとは、「劇画・オバQ」で、昔子供だった登場人物が大人になり、子どもが生まれるのをきいたQちゃんが哀しそうに「正ちゃんはもう子供じゃないんだな」といって空へ帰っていくシーンが印象に残っている。

    最後に、「ころりころげた木の根っこ」で、奥さんを虐待する作家に対して、その奥さんが、旦那を殺させる要素のものをたくさん家の中に仕掛けていたというストーリーが妙にリアルだと思った。

  • はっとさせられるような話がたくさん。おすすめは「じじぬき」「劇画・オバQ」「ミノタウロスの皿」

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