14歳 (1) (小学館文庫 うA 51)

著者 :
  • 小学館 (2001年7月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091925817

作品紹介・あらすじ

▼第1章/チキン・ジョージ(1)~(17)▼第2章/緑の髪の少年(1)~(2) ●主な登場人物/チキン・ジョージ(バイオ鳥肉のササミ細胞から誕生した天才科学 者)、繁野良行(バイオチキン製造会社「チキン・カンパニー」の研究者)●あらす じ/女子中学生・ヨッコは、友人のミッチとともに、よく当たると評判の占い師を訪 れる。ヨッコのおなかに手をかざしたとたん、占い師は口から、恐ろしい形相のエク トプラズムを吐き出す。そしてそのエクトプラズムは「14歳で終わる」という謎の言 葉を口にした。同じ頃、バイオテクノロジーによるチキンを作る会社の研究者・繁野 は、自分が培養するササミ細胞から発芽した目玉を見つける…(第1章・1)。●本 巻の特徴/繁野が気付いた目玉は、見る見るうちに成長を遂げ、鶏の顔と人間の身体 をもつ奇怪な生物に変貌。やがて彼は高度な知識を得て言葉を話し、自らを「チキン ・ジョージ」と名乗る。環境破壊が進み、多くの動物が絶滅した地球。その状況に憤 りを感じたチキン・ジョージは、人類への復讐を誓うのだった。●その他の登場人物 /毒島(バイオチキン製造会社での繁野の同僚。繁野の行動に疑問を持つ)、ユコ (繁野の婚約者)、アーサー・ヤング(アメリカ合衆国大統領)●その他のデータ/ 巻末に、竹熊健太郎氏によるエッセイ「人間にとって、もっとも恐ろしいもの」を収 録。

感想・レビュー・書評

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  • かつての自分があまりにもまじめにレビューを書いてて吹いた。
    いまはこんな長いまじめなの書かないね。



    時に人のイマジネーションというのは
    天啓に近い鋭さがあると思う。

    食肉=sacrificeである鳥のささみから
    sacredな神であるチキン・ジョージが生まれ、
    彼は人類を憎悪しつつ、動物だけをつがいで
    破滅しつつある地球から脱出させようとしながら、
    謀らずも人類をも脱出させたり、人類に
    これから起こりうることを予言したり、
    人類の実相を説いたりする。
    卑と俗と聖の関係は宗教における図式さながらである。

    全知全能なチキン・ジョージは人間の女性、
    しかもしたたかな悪女を愛してしまい、
    凡庸で子供のように純な目をした存在に
    なってしまう。

    この世の実相と思えることはすべて
    チキン・ジョージの頭の中のことであり、
    光あれと言葉を発することによって光が生じる。
    意識や想念に浮かんだものだけが実態となりうるが
    それ以外は存在していても無に等しい。

    宇宙人は十字架の形をともなって地球にくるが
    それは救い主でも地球人を心配して助けにくるのでもなく、
    彼ら自身を救うためにきたにすぎず、人類は
    陵辱されて、貴重な地球のエネルギーを
    強奪されるだけだった。

    人間は恐竜の進化したものであり、しかも
    もっとも凶暴なティラノサウルスの進化した
    ものだった。

    「14歳で終わる」というのも、作者のインスピレーションに
    もしすぎない言葉だとしたら、すごい。
    14という数字はピタゴラス学派から17世紀の数字の
    暗示世界探求の流行まで、ひとつのことの完結、
    あるいは終了を表す数字であり、同時にそれは
    個我を表す数字でもある。
    聖書の数字の用例をみると、アダムからアブラハムまでが14代、
    アブラハムからイエズスまでが14代、
    そしてイエズスと13人目の弟子で計14人目で彼の計画は終わり、
    新たな形ではじまる。
    14はインド思想でいうところの新たな創造を秘めた
    破壊的終了を表す数字と見られていたのだ。
    「14歳」では地球が死に掛かると、子供たちが14歳で
    人間の生は終わって、先祖がえりをして恐竜になる。

    地球の終わりは人類の罪や業によるものではなく、
    単に地球という生命体が死にかかっていたからであって、
    地球もその外にある宇宙も虫の中の小世界に
    すぎず、現在いる世界の外にはまた同じような
    世界が芥子粒(漫画では「虫」)ほどの世界を取り巻いて
    存在していることなどなど。

    文章で書いてたら、実存的SFとして
    海外でも翻訳されて名作とされる水準の
    作品だと思う。

  • 楳図の最高傑作。

    ジュブナイル。「すべて」は子どもにある。

  • すごい話・・・そして濃いわ・・・(笑)梅酢作品は最近よく読むけど、もう既に1巻の時点で、テンションも内容のハードさも、いちばん高い印象が(笑)読んでいて頭くらくらしてくる。チキン・ジョージの感情の変化の早さも強烈。

  • これが次の巻くらいからキャラが固定されるんですけど、最初はなんつーかまだチキンの成長が動物的不気味さをたたえていて、グロテスク感、ホラー感強めに感じます。プロローグは全然惹かれませんでしたが、次の巻も、ってなりますね。絵力は偉大です。

  • 楳図 かずお独特の世界観が炸裂してます。ストーリーと言い、絵と言い気持ち悪さが半端ないです。

    内容としては「人間の度を過ぎた身勝手に、ついに自然が反旗を翻す」が軸。

    3/11を経験した今、このテーマは身につまされるところがありますが、こういうことを20年も前に描いてるのが、さすが!

    しっかし、天才と変人は紙一重と言いましょうか、全20巻のうち、中盤以降は主題がぼんやりしてく脱線多々、カオスになってく感が否めない。

    同じく楳図氏の「漂流教室」も彷彿させる恐怖のサバイバル&気持ちの悪さですが、読後感はちょっと違います。

    誰にでもお薦めできる漫画じゃないけど、楳図ワールドって、嫌なのに引き込まれるような不思議な吸引力があるなぁ。とか。

  • 「これは動物ではない! こんなもの図鑑にもなかった!
     ぜ、全部! 全部、人間が創り出した過ちだっ!」

  • うわーって叫びたくなる
    世界の終末漫画

  • 人間の人間のためだけの幸福を求めた行動の結果、地球の未来がどうなっていくか、チキンジョージを通して見せられる様に一気に読みました。
    「漂流教室」に今、どっぷり浸かっているので、「14歳」の1巻はまだあんまり怖くはないけど、読み進めていけば、その物語の深さに魅せられると思う。

  • 噂程ぶっ飛んでなくてやや期待外れ。冗長な感じは否めない。あと意外とエロい。プロレスとか宇宙人襲撃シーンとか。

  • 人間。動物。植物。地球。宇宙。を包括する一代SF奇憚。環境問題を話題にするならこの本なしではカタレハシナイ!

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著者プロフィール

楳図 かずお(うめず かずお)1936年和歌山県生まれ。55年に貸本漫画家としてデビュー、『週刊少年サンデー』などに作品を発表。ホラー漫画の第一人者。代表作に『漂流教室』『まことちゃん』『わたしは真悟』『14歳』など。ホラー、SF、ギャグ、時代劇まで幅広い。1995年以降、腱鞘炎という理由で漫画は休筆中。タレント活動を行い、2014年には長編ホラー映画『マザー』を初監督・脚本・出演。

「2022年 『こわい本11 猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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