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- / ISBN・EAN: 9784091929044
感想・レビュー・書評
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Kindle Unlimitedでアマゾンに勧められて30年ぶり再読。手塚治虫のストーリーテラーとしての才能がほとばしる名作。主人公である手塚良仙が、適塾で同級生となる福沢諭吉が何回も登場する。これらのシーンは福翁自伝で福沢が書いているエピソードであることを再発見した。
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幕末の医者の話。読みやすく説教くさくなく、展開は早いのにわかりやすい。ブラックジャック的な面白さではないが、いろんな人の立場に共感でき、歴史物語として秀逸。蘭学医と漢方医との争い=西洋の文化が日本に入ってきて、認めざるを得なくなっていく模様が重なる。
さらっと書いているけど、ものすごく調べているはず。疱瘡の感染を防ぐため、反感をかいながらも必死になって種痘を広めた医者、そんな人がいたんだなあ(その種痘場はいまは東大医学部)。
混迷の時期、日本のために懸命に頑張った、名もなきたくさんの人がいた。手塚治虫はそのことを知らせたかったのだと思う。
地味だけどもっと注目を浴びてほしい作品。 -
手塚治虫の晩年の本。一応著者の先祖の物語風ではあるが幕末の動きを上手く取り入れて丁寧に書いてある。さすが手塚と思う本。
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手塚治虫の幕末コミック。これは漫画という手法を使った歴史小説です。手塚の先祖の医師手塚良仙と一介の武士伊武谷万次郎。無名の武士と西洋医学の医師を中心とした話になっているが、有名な志士たちも続々登場している。無名すなわち歴史には書き残されない、「勝てば官軍」よろしく勝った者が歴史に名を残す。いずれもその時代を駆けるために命を賭けて生きている。
激動の幕末において男とはどう動くか、何をもって信念とするか、生き様(ある意味では死に様)を描いている。
手塚治虫の作品の中で私は最高傑作と思う。手塚って天才だな。 -
何度も何度も読んだ。
手塚治虫作品の中で最も好きな作品。
同時に、幕末を描いた作品の中で最も好きな作品。
手塚治虫の三代前の先祖、手塚良庵(のち良仙)と、架空の武士、伊武谷万二郎の二人が主人公の物語。
良庵は大阪の適塾に行き、そこで緒方洪庵、福沢諭吉と出会い、医は仁術なりという教えを胸に、西洋医学を修めていく。
万二郎は藤田東湖の思想に共鳴し、徳川幕府に忠義を尽くし、勝海舟に出会い、アメリカ人ハリスとヒュースケンに出会い、思いがけない道を歩まされる。
人を治すのが医者ならば、人を殺すのが武士。
まったく異なる方向にその力と思いをぶつける二人の若者の姿を通して、幕末を丹念に丁寧に描く。
女ったらしの良庵に、女に不器用な万二郎。
これは二人の若者の、幕末青春ストーリー。
2012年春に舞台化されます。
http://www.musicman-net.com/artist/13737.html
主演は、上川隆也と吉川晃司。
上川さんは、以前同じ劇団、演劇集団キャラメルボックスに所属してました。
↓僕が脚本・演出補で、主演が上川隆也
『演劇集団キャラメルボックス きみがいた時間 ぼくのいく時間 2008年版 [DVD]』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00189WVG8?ie=UTF8&tag=kumabetti-22&linkCode=shr&camp=1207&creative=8411&creativeASIN=B00189WVG8 via @
とても懇意にしてもらいましたっていうか、今でも懇意ですってば。
マンガが好きな上川隆也先輩が、漫画の神様の先祖を演じるとは、おそらく感慨深いものがあることでしょう。
舞台を見る前に、全巻通読されることをお勧めいたします。 -
久しぶりに全巻読み返したので登録しました。フィクションとノンフィクションの混ざり具合が絶妙で,万次郎は実在したのではないか?と思ってしまいます。幕府側の視点で描かれているので,特に共感するのかもしれません。陽だまりの大樹は,安穏としているうち,知らず知らずのうちに虫に食われ,やがて倒れるんですね。幕末の写真をあしらった本の装丁も好きです。
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1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。
終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。 -
手塚治虫のご先祖様である蘭学医の活躍や幕末の出来事を描いた作品。
手塚治虫作品の中でも特に漫画的描写がイキイキとしていて面白かった。
江戸の様子は大河ドラマなどでもよく描かれるので想像しやすいが、大坂の特定の地域の様子が描かれていて勉強になった。 -
図書館で全巻借りて読む。
(読み終わったあと、そもそも評判を聞いて以前から読もうと思っていたのは「新撰組」だったことに気づく。またこっちもトライしたい)
80年代、劇画調の手塚治虫。
あまり知らない世界なので驚いてしまった。
いろんな派閥の人がこまかく出てくるけど、基本は伊武谷万次郎という侍と、手塚治虫の曽祖父の手塚良仙の二人を中心に進む。
徳川慶喜はあまり見ないタイプのデザインで、登場も少ない。
大鳥圭介は「星のとりで」で知っていたので、ここに出てきて嬉しかった。
ヒュースケンの逸話、いろいろと胸に迫る。
創作キャラでは、お紺、お品、そして何より平助のエピソードが印象に残った。
平助が、敵方である新撰組というか浪士組に参加するときに、亡父のいい着物を持たせてやる万次郎、、、!
万次郎は不器用なのでヒヤヒヤする。綾さん、よかったね。
良仙のパートは和めるのでありがたかった。
最後は彰義隊の上野決戦→函館決戦でここも「合葬」と「星のとりで」を思い出して胸が痛んだ。
実在キャラでは勝海舟と山岡鉄太郎がいいと思った。
後半に行くにつれて、どんどん濃くなって面白くなった。
大作、力作。読めてよかった。 -
読み返しても終盤、感動してしまうところはあるのだけれど、伊武谷万二郎がテロに傾くところなんかは怖いよね(未遂で済んだけど)。後、伊武谷の顔は「火の鳥 太陽編」の狗犬に似ている(スターシステムではないと思う)。
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藤田東湖が地震で死んだってのを地図で見たのが先日の水戸旅だったなあ。漫画の中で藤田東湖の死亡フラグが立ったので、暗殺?と一瞬考えたが、すぐ思い出した。あの、水戸で見た地図を。
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2015.5.20
万次郎は上役や同僚からあれやってくれ、これやってくれと頼まれて、いつも自分にはそんなこと出来ないと言いつつも、一生懸命役割を勤めあげようとする。結果大概はその役割を果たすことが出来て、さらに大きな仕事が・・・。自分ではそんな器じゃないと思っていても、周りの人間が彼なら出来ると思いお願いする。仕事とか出世とかってそういうものだと思いました。
また、この時代の性の乱れが随分と描かれているけれど、実際のところどうだったんでしょう? -
一番好きかな。
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今の時代も100年前も変わっていないことを実感。真面目に生きる。時代を読む。
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杉井ギサブロー監督のオススメ作品
「陽だまりの樹」手塚治虫
杉井監督レビュー
手塚先生の実在した先祖の蘭方医の物語だが、下級武士と医者を通した歴史上の政変激が面白く描かれている。これもアニメーション化させてもらった。