漂流教室 (6) (小学館文庫 うA 16)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091931764

作品紹介・あらすじ

隔絶された地で、死の影と戦いながら懸命に生きる少年たちの愛と勇気!!明日なき人類の行く末を警告する、SFロマン!!

感想・レビュー・書評

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  • 百田尚樹氏が、YouTubeで、涙を溜めながら、激しくお勧めされていたので、読んでみた。

    漫画を読み慣れていないせいで、人物が、誰かわからなかった。
    11年連続100万部数の売り上げと言う
    輝かしい記録の持ち主である百田尚樹氏と、私の感性は、少し違ったみたい。

  • 『漂流教室』6巻、ついに完結の最終巻。
    今回は最終巻のためネタバレ防止機能で。

    ・女番長
    ・レジャーランド
    ・カニ◯◯◯ム
    ・馬内守也
    ・そして関谷さま!!
    ・西さん
    ・イマジネーション

    ・女番長……まだ回収されてない伏線が強盗と女番長だなーと思いながら読んでたら、ちゃんと出てきました。

    ・レジャーランド……最終巻レビューを書く前に、がんばって『ジュラシックパーク』のレビューを書いたのはここにつながるからです。

    マイケルクライトンの『ジュラシックパーク』の原点である『ウエストワールド』、レジャーランドの描写がそっくり。映画は1973年公開と『漂流教室』連載中なので、楳図先生は影響されたのかも。しかし事前に膨大なプロットを書いたそうなので偶然かも、それはわからない。
    『ウエストワールド』には恐竜の世界はなく、それが『ジュラシックパーク』になるのだが、その前に『漂流教室』で先取りしていて、恐竜が出てくるのが面白い!!

    ・カニ……もう、何も言えません。序盤の咲っぺのセリフで「ニューギニアで……」ときちんと書かれていた。

    ・回収されてなかったもうひとつの伏線、強盗。ついに出た。馬内守也の顔…………こ、これは楳図先生ご本人がモデルじゃないの!?とぶったまげました。

    関谷のモデルが寺田ヒロオ説というのは、あくまでただの説だからねー、話半分ぐらいであまり信じないように……と思っていたが、馬内=楳図先生と考えると寺田ヒロオ説に信憑性が出てきて大変面白いし、つい深読みをしてしまう。関谷=寺田ヒロオ、馬内=楳図かずおと仮定して妄想してみる。

    この作品では関谷は「非常に利己的・自己中心的な大人の汚さの全てを鍋で煮詰めたような象徴」として描かれている。対して、馬内も別に善人ではなく「強盗」で、悪人。
    馬内は右目と右腕を「持って行かれた(ハガレン)」状態。目は観察するためのもの、右腕は漫画家として表現するためのもの。馬内=楳図先生とすれば、現代にいながらにして未来を見てきたのが作者で、しかし右腕もないから絵として表現できない。
    その馬内、悪人であり大人であり、メタ的には『漂流教室』の神である馬内が、最後には関谷から子供たちを救うのである。

    寺田ヒロオさんという人は、良し悪しは別として「優しい作風」だった。しかし子供が読むものとしてふさわしくないと、他の漫画家に苦言を呈するような人でもあった。このタイプの人がさらにラジカルになれば、「表現規制派」だと思う。

    対して楳図先生の表現は、恐怖でありバイオレンスではあるが、『漂流教室』を読むと、これからの未来に生きていく子供たちに対してのメッセージがめちゃくちゃ強い内容だった。

    現実の世界は、戦争もあり、冷戦下の核戦争の恐怖も、公害問題も、殺人も、いじめもある辛いもの。それを覆い隠して逃避するだけの「砂糖菓子のような作品」と、荒廃した世界で子供たちが惨殺されたり凄惨な殺し合いをするが、その中で力強く生きていく、現実世界を投影した作品。どちらがより子供たちに寄り添えるのか。私は後者だと思う。関谷vs馬内からは、ついこういう構図を深読みしてしまう。

    ・関谷さま「おれだーっ!!」
    先に書いたが、関谷はこの作品では一貫して悪役であり、ブレなかった。最後の方では、嫌いどころか大好きなキャラクターになっていて、「おれだーっ!!」には拍手喝采。
    エヴァの冬月の「最後の敵は同じ人間だったな」を思い出す(カヲル君の次の敵使徒は人間)。まあ『漂流教室』の場合、敵はほとんど人間だったが。最後の敵は人間だと、やはり『デビルマン』の最後の方のアレであり、『寄生獣』の最終話であり、エヴァ。

    ・西さん
    西さんと咲っぺ、この三角関係もレイとアスカっぽい。大友君が絡むかどうかの違いで、エヴァの方はエロゲのハーレムものではあるが。『漂流教室』の恋愛描写、咲っぺの方は序盤から描写があって良いのだが、西さんのくだりは些か唐突に感じる。ただし、「西さん=母」だったりする。「レイ=ユイ」。

    ・イマジネーション
    今回『漂流教室』を読み返してみて、楳図先生のイマジネーションの凄さには圧倒された。同時期の『日本沈没』にも「直感とイマジネーション」という名ゼリフがあるが、SFとはイマジネーションの産物である。現実には未だありえないことを表現する。
    しかし、現実には「ありえないこと」が数多く起こる。ベルリンの壁崩壊、バブル崩壊、阪神淡路大震災、オウム真理教のテロ、アメリカ同時多発テロ、東日本大震災、新型コロナウィルス……誰が予測できただろうか。これらの出来事の直前まで、「この日常が連続する」と思っていた記憶が同時に蘇る。
    ロシアによるウクライナ侵攻、我々日本人、いや世界中のほとんどの人が「本当にやりはしないんじゃないの?」と思っていたはず。

    脳科学の番組を見ると、イマジネーションは「人間に与えられた最大の武器」だと思う。良くも悪くも。それをどう使うかは人間次第。
    小説やマンガも含めた芸術作品は、全てイマジネーションの産物である。私も含めて、読書の良さや、読書をする人に期待するところはそこだよなあと、『漂流教室』を読んで最も考えさせられた点でした。

  • 「太陽の地図帖33」を読んだのをキッカケとして、初めてこの名作全巻に目を通した。後半はまるきり記憶になかった。この頃毎週少年サンデーの立ち読みは続けていたはずなので、途中の怪物の描写や813人の大和小学校の先生や生徒がほとんど死んでいく展開に、嫌気がさして読み飛ばしていたのだと思える。40年以上経って、やっと平静にそれらの絵を見ることができるようになり、この作品が名作だということに気がついた。人間て、なかなか成長しない。

    サンデーコミックス3巻目80-81pに、高松翔が先生の狂気から生き残り、全校集会で生徒に説明する言葉は、その後の40年以上後の原発事故等で証明されはしなかったか?
    「おとなの人は、だいたいものごとをりくつで考えるだろう。だから、りくつにあわないことがおきたときに、あたまの中がめちゃくちゃになってしまって、たえられなくなってしまう」

    もちろん、子どもたちだけで世界をつくったからといって自動的に理想社会が創出されるはずもない。子どもたちだからこそ、純粋な形で権力争いが勃発するだろう。食料争いやペストなどの病気(サンデーコミックス5巻の新大臣の行動)、或いは生き残り戦略の対立で、子どもたちは残酷なほどに死んでゆく。

    また、見事なほどに公害や奇形物や地震や機械文明への疑問等々の当時の社会批判が生きており、当時はまだクローズアップされていなかったはずの異常気象、バーチャルリアリティまでも垣間見せ、この物語は、思いもかけない、まるで数十年後のジブリアニメ(「ナウシカ」や「もののけ姫」)を思わすようなラストに向かって行くのだ。

    かなり遅れた読者だけど、いい体験でした。

    2017年6月読了

  • 一番最後のコマで泣いた(´;ω;`)ブワッ

    救われる終わり方なんだけど
    決して最高のハッピーエンドじゃないところがスゴイ!

  • 結末を忘れていたので再読。面白かった。
    わぁー、ぎゃーなどなど多いなと笑。けっこう暴力的。

  • めっっっっっちゃ面白かった!!!
    怖くてページが捲れないシーンが何度もあったし、読みながら心臓バクバクして翔ちゃん達と一緒に「ウワー!!」って叫びながら読んでた。

    あのラストは嫌いじゃない。お母さんから時間を越えて救援物資が送られてくるぐらい未来は科学技術が進歩してるってことやし、全てを知るユウちゃんがきっと世界を救ってくれる。
    自分達で新しい国を作るって熱いな。
    富士山の近くの天国へ向かう途中にある地割れを飛び越えるシーンで着地する寸前咲っぺが翔ちゃんの服の袖を掴んでるとこ感動して本気泣きした。

    怖かったシーンベスト3
    1位、地下鉄生き埋め
    2位、ペストの流行
    3位、盲腸の手術

    好きなキャラベスト3
    1位、翔ちゃん
    2位、我猛くん
    3位、大月くん

  • みんな、地球は大事にしような…

  • (´;ω;`)関谷も死んだしいいラストだった(´;ω;`)(´;ω;`)傑作

  • うわあああああ・・・。へぴーでした。とてもへぴー。。
    会社帰りに一冊ずつとか読むものじゃなかった。深く反省。
    そして、過去にこれが少年サンデーに連載されていたという事実を知ってさらにダメージ。
    どんだけ凄いんだ。。

    これだけ酷いことが立て続けにおこるのに、いつまでも希望を捨てない主人公たちが本当に凄いと思う作品。
    昨今の人間なら逆境もここまで酷いと精神的にぶっ壊れそうです。
    非常に勉強になりました。はい。

  • 言わずと知れた楳図かずお先生の名作。眼を背けたくなるような表現のグロテスクさと、翔ちゃんや咲っぺはじめ子どもたちの勇気や一途な想い、家族の絆など、涙なしには読めない話の数々が同居しています。まあ、それが楳図作品の真骨頂と言えるのでしょうが…。

    さらに、「漂流教室」は、荒廃した未来をテーマに環境問題にも警鐘を鳴らす社会派作品でもあります。うーむ、その奥の深さに脱帽です。

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著者プロフィール

楳図 かずお(うめず かずお)1936年和歌山県生まれ。55年に貸本漫画家としてデビュー、『週刊少年サンデー』などに作品を発表。ホラー漫画の第一人者。代表作に『漂流教室』『まことちゃん』『わたしは真悟』『14歳』など。ホラー、SF、ギャグ、時代劇まで幅広い。1995年以降、腱鞘炎という理由で漫画は休筆中。タレント活動を行い、2014年には長編ホラー映画『マザー』を初監督・脚本・出演。

「2022年 『こわい本11 猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

楳図かずおの作品

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