西の魔女が死んだ

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著者 : 梨木香歩
  • 小学館 (1996年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092896109

西の魔女が死んだの感想・レビュー・書評

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  • まいは小学校を卒業し1か月程たった頃、中学校にはもう通わないときっぱりと母親に宣言した。母はまいに不登校を続けていた理由をたずねることはせず、田舎の祖母の家でしばらく暮らしてみることを提案する。
    母親が単身赴任の父親と電話で話す内容から、自分は母親をがっかりさせてしまったと感じとる、まい。
    祖母にもそう思われてしまうのではないかと不安な気持ちを抱えつつ、大好きなおばあちゃんの家へと向かう。

    久しぶりに会った祖母は、まいと一緒に暮らせることをうれしいと話し、まいが生まれてきてくれたことを、心の底から感謝しているのだと教えてくれた。

    周りに民家のない田舎の暮らし。野菜を育て、家で飼っているにわとりが生んだ卵を朝食にいただく。昼には掃除や庭仕事をし、夜には縫い物をして過ごす。
    規則正しく、丁寧に毎日を繰り返していく祖母。年齢を重ね、経験による実感のこもった祖母の話は味わい深い。まいは特別な能力を持っているらしい祖母の話から自分も魔女を目指して修行することを決める。
    魔女にとって大切なことは、自分で決めることとそれを最後までやり通すことだと祖母はいう。
    そのために生活を見直し、周りの人に流されたり心を乱されることのないよう、自分と向き合っていこうとまいは努力する。

    とても情緒的で、美しい文を堪能できる喜びでいっぱいになる。情景の描写の鮮やかさも会話の中から滲んでくる温かみも梨木さんらしく、うれしくなってくる。
    まいの少女らしいまっすぐな気持ちや正義感、人を思う気持ち。祖母の丁寧な暮らしぶりと穏やかな言葉の中にある毅然とした力強さ。
    読みながら、時間にただ流されて思考停止している毎日を恥じたり、また自分の弱さを認められる強さもあるのだよと背中に手を当てられたような温もりを感じたりした。

    恐らく読んだ時の自分の状況によって感じ方がずいぶん変わってきそうな本だ。誰の立場で読むか。現在自分が対峙しているものは何なのか。その時々で、気づくことも見えてくる情景も大いに変化するだろう。再読が楽しみである。そのとき、私はどのような感想を持ち、その感想にどのような自分が映し出されるのか。

    1か月ほど祖母と暮らした家から、いよいよ自宅へ戻ることを決めた頃、ようやく、まいの口から不登校になった原因が語られる。

    うーん。ここまで待つのは相当難しいよね。
    人は時間の経過(もちろん、人それぞれの時間が必要ではあるが)とともに、自分が整理され、語る言葉を見つけ出す。それを周囲が急かすことなく、同情のような脅しによって追い詰めることなく、じっと待っていられるか。
    こちらがきっかけを与えたとしても、相手が自らそうしよう、そうしたいと決めるのを待つためには、相手を信じ、その人の力を信じ、必ず人は成長するのだと信じるほかはない。

    最後の最後に守られた祖母の約束。亡くなった後に残るその人のぬくもり。
    別れを経験したすべての人に、失った人を愛情に満ちた気持ちで思い出させる余韻を残している。

    追記
    お仲間さんに、「文庫には、その後のストーリーがあるそうだけど、知ってる?」とたずねたところ、「どうだったかなあ・・。うちにあるから、貸しましょうか?」ということで、それを、読むことができました。
    また、あとがきも素敵で、おまけの楽しみを手に入れることができました。

  • 大好きな作品。
    今回で三読目。

    初めて声に出して読んでみた。
    母が洗い物をしている時に、その時自分が面白いと思っている本を読み聞かせたりしていて、先々月くらいから時々この本を読んでいた。

    まいのまっすぐで、けなげな言葉も、おばあちゃんの優しくてクリアな言葉も、とても好きだ。
    所々、涙でつまって読めなくなりながらもラストまでたどり着いたのに、最後の2ページは全然読めなかった。
    おばあちゃんがまいに残したメッセージの優しさに涙が止まらない。

  • 魔女って特別な存在のようだけど、おばあちゃんの言う魔女には、誰にでもなれる可能性があるんじゃないかな。

    毎日を丁寧に生きること。
    周りに流されすぎないこと。
    固くなりすぎないこと。

    シンプルに丁寧に。
    それはきっととても難しいことだけれど。

    私もいつか、おばあちゃんみたいな魔女になりたい。

  • ジブリアニメに出てきそうな素敵な世界観!

  • わぁ、なんて素敵なおばあちゃんなんでしょうヽ(◎´∀`)。

    日本のおばあちゃんって、
    ただただ孫を甘やかして、可愛がるイメージしかないけれど、

    外国の人はちゃんと一人の人間として接している人が
    多いような気がしますねぇ。

    こういう自給自足みたいな生活は、私のおばあちゃんもやってたので
    懐かしく思い出しました(人´エ`*)。

    畑とか、保存食作りとか、今そんな古いの流行んないじゃんっていう
    意見もあるとは思いますけど、知ってて損はないかと。。。
    あと戦争中の話も貴重です

  • どうなるんだろう…どうするんだろう…と思いながら読み進めてラスト、感動します。誰にでも訪れる、あんな気持ち、こんな思い、に自分を重ねて軽くカタルシス。誰にでも大切な人はいてその人との永遠の別れもやがて訪れる。そのあとも自分の命は続いていて陽はまた登り繰り返す。強くなるってこういうことかと勇気をもらえます。何より西の魔女からのサプライズに胸をうたれます。

  • 不登校になった中学生の少女、まいは、「西の魔女」と呼ばれる祖母のもとで生活することになる。祖母の家系が魔女の血筋だと聞いたまいは、意志の力を強くし、何事も自分で決めるようになるという「魔女修行」を始める。野いちごを摘んでジャムを作ったり、ラベンダーにシーツをかけて干したり、ハーブで草木についた虫を追い払ったりと、自然を感じながら過ごす日々に、まいの心は癒されていく。
    おばあちゃんの言葉の一つ一つがとても心に響き、思い悩むことの多い人にそっと寄り添ってくれるような本だなと感じます。ラストシーンでは思わず涙が滲んでしまいました。自分の子供に読んでもらいたい一冊です。

  • 高校のとき学校が楽しくなかったときに図書館で出会った本。すごく楽になったのをよく覚えてる。買おうと思って本屋に行ったら装丁が素敵になっていてうれしかった。社会人になってからだから10年後?映画化はびっくりした。彼女の世界観や空気感は万人受けしないから難しいよね。と思いつつ観に行きました。

  • 不登校になった中学生のまいは、一時的に田舎のおばあちゃんに預けられることに。おばあちゃんは日本に帰化したもと英国人で、「魔女」の血を引くと言う。魔女になるには意志の力を鍛えること、生活習慣を良くすること、偏見にとらわれない、憎しみに負けないこと。おばあちゃんのもとで魔女修業に励むまいのこころの成長を描く。

    世代間交流を通してのひと夏の疎開みたいな物語は、映画にもよくあるけれど、読みやすく、かつそれでいて哲学的示唆のあるこんな物語は珍しい。学校での孤立はいつの時代もあるが、それをいまどきの友ダチ論で薄めてもいない。

    おばあちゃんは存命中に人生を生きていく中での大切なことに気づかせてくれる。しかし、ひとは死んだ時こそ偉大な教材になるのではないだろうか。ラストでひさしぶりに泣いてしまった。子どもにはぜひとも読ませたい名作。

  • 話の筋だけを言えば、不登校になった中学生がおばあちゃんちでしばらく過ごしてみる、という話。
    庭に生える木いちごだとか、あらったシーツはラベンダーの茂みの上に広げて乾かすだとか、素敵なことが沢山描かれていた。

    現実は現実だし人間は完全ではないし、戦うんじゃなしに時にはいなして生きていく…しかない。みたいな、そういう生々しい現実を生きる話だった。

    描かれる魔女の超能力も、なんだろう、「気のせい」とか偶然とか、冷静になればそんな風に説明できる奇跡しか一貫して行われないのに、それでも魔法にかけられたみたいになってしまう。
    清濁併せ呑んで大人しく大人になっていくしかない、そういう「ピュアな子供じゃいられない」という変化や成長が、きらきら輝くものに感じられる。そんな素敵な物語だった。
    読んでよかった。

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西の魔女が死んだの作品紹介

「西の魔女」とは、中学生の少女まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、祖母のもとで「魔女修行」をすることに。祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分で決めるということだった。不登校の少女の癒されていく心を、清々しく描いた話題作。第44回小学館文学賞。

西の魔女が死んだの文庫

西の魔女が死んだの単行本

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