白をつなぐ

著者 :
  • 小学館
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092897434

感想・レビュー・書評

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  •  まはら三桃さんによる,都道府県駅伝の小説。

     一月に広島で開催される都道府県対抗男子駅伝。
     県を代表して,中学生から社会人までの幅広い年齢の選手が,故郷の県のために襷をつなぐ。
     それぞれの選手,コーチ,監督が,それぞれの思いを抱いて走る。

     駅伝,めっちゃいいですよ。
     物語としては,誰が主人公というわけでもなく,それぞれの視点で,それぞれの思いを走りに昇華させる。それは駅伝を走った選手だけに限らず,補欠,コーチ,監督,それぞれの思いを持って,一本の襷をつなぐ。
     この中の誰もが主人公であり,群像劇だなというのは感じました。

     福岡県代表のチーム,中学生の山野海人,佐々木和,斎藤湊,高校生の沢田瞬太,谷山林太郎,川原大貴,大学生の水島颯,実業団の吉武弘一。そして監督の熊沢速一,コーチ澄川佑太,小野仁。
     場面ごとに,それぞれの人物の思いがつながっていくんだと感じました。
     そして,物語全体を「白」がつないでいます。

     やっぱり,ほとんど恋愛要素のない男子の群像劇って好きかも。
     登場人物の一部にちょっとだけ恋愛要素あります。でもほぼ走っています。

  • 駅伝小説の名作と言えば「風は強く吹いてる」が鉄板(自分比)やけど、この本もなかなかエエぞ。こっちは県別対抗の広島駅伝を舞台にしている。大学駅伝と違って色んな年齢層の混成チームってのも良い。

    こっから先、ネタバレします。バラさないと書けないことです。

    つないでいくとはどういうことか、最初俺はたすきの色かと思ったら、いきなりそうではなく、この作品のテーマも白とは何か?をずっと考えさせられる。
    「風が吹いてる」同様、駅伝シーンは各走者が主人公となり、その目線でレースを走り、白とは何かを考えていくわけだけど、この構成いいなぁ。

    何よりすごいのは、所謂通常の意味では「タスキをつなげなかった」レースになること、そっからどうしていくのか?でもたすきをつながなかったからこそ、白をつなぐ最高のレースにできたという落とし所が、小説として上手いなぁと思った。

    お正月、お節つつきながら朝祝いで飲む時、ニューイヤーとか箱根の中継をテレビで流すんだけど、こないだまでは景観DVD的な味方してたのが、自分でも走り出して、「風が吹いてる」読んでから、ドラマを見いだせるようになって…

    この本読んだから、次の正月の駅伝中継が楽しみである。もっと色んなこと考えて見れるようになるんじゃないかなぁ

  •  まはら三桃さんの本は、どれもけっこう好き。その中でもこれは◎、一気に読めた。都道府県対抗駅伝の事前合宿から始まり、1区、2区・・・と選手の視点でストーリーは展開。こちらもなんだかTVの前で駅伝を見ている視聴者のような気持ちの4時間弱だった。
     表紙のイラストのたすきは赤。なぜ『白をつなぐ』なのかと思っていたら、そういうことだったんだ。

著者プロフィール

福岡県生まれ。講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。作品に、『青(ハル)がやってきた』、『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、『思いはいのり、言葉はつばさ』『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

「2023年 『つる子さんからの奨学金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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