ハートビートに耳をかたむけて (SUPER!YA)

  • 小学館
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092905665

感想・レビュー・書評

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  • 心臓の提供を受ける少女と、提供者である(つまり亡くなってしまった)少女の交互の語りで物語が進む。
    つらいなあと思うのだけど、読んでいてそれほど悲痛な思いにならないのがふしぎ……だと思っていたら、作者の動機が心臓提供者の側にあったことを知って、なんだか納得した。
    母子の物語でもあるのだろうけど、イーガンの母はどうしても好きになれないんだよな。だからといって、首を突っ込まない母親がいいというわけではないのよ。でもあそこまで干渉したらそりゃあ関係がうまくいかないのはあたりまえだろと思ってしまうのだった。

  • 心臓移植を待つアメリアに、一本の電話が入った。
    ドナーが見つかったのだ。
    母親は喜ぶけれど、アメリアの気持ちは複雑だった。
    それは、必ず悲しい思いをしている家族がいることを知っているから。

    手術は成功し、順調に回復するアメリアだが、何か違和感があった。
    自分が変わってしまったように感じたのだ。
    母親に対する口のききかたが変わったり、軽い冗談を言うようになったり。
    これはこの心臓のせいなの?
    アメリアはドナーのことが知りたくなった。

    もう一人の主人公、ドナーとなったイーガンの気持ちとアメリアの気持ちが
    交互に語られています。

    母親と気持ちが行き違ったまま死んでしまったイーガンと
    イーガンの思いを彼女の家族に伝えようとするアメリア。
    心臓移植という重いテーマだけれども、心があたたまる物語です。

  • (No.11-34) YAです。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『フィギュアスケートの大会で起きた突然の事故で急死したイーガンの心臓が、重い心臓病で苦しむアメリアに移植された。アメリアは、自分のものではない記憶を感じ、自分のものではない感覚に襲われる。交わるはずのない二人の少女の運命が交差する。
    心優しいハートウォーミングストーリー。』

    心臓移植というを扱っていて、かなり重いです。そして、二組の娘と母親の関係がYAらしく、胸に迫ってきて心を打ちます。
    イーガンとアメリア、二人の一人称で交互に語られます。

    一番初めの章でイーガンは事故死しますが、彼女の魂は過去のいろいろな思い出の中をさまよいます。そこで彼女の短い人生を読者は知ることになるのです。母子関係が濃密になりやすいフィギュアスケートの世界。思春期を迎えたイーガンは、母を愛しながらしかしそのプレッシャーに反発。取れる年齢になってすぐに運転免許を得たとき、反発心から臓器提供の意思標示欄に「提供の意思がある」チェックを入れます。きっとママは怒り狂うだろうけれど・・・。臓器提供をしたいと真剣に考えたわけではなく、自分の意志で何かを決めることが彼女にとって大切だったのです。臓器提供チェックが付いていたことが、アメリアの命を救うことになりました。

    段々に病状が悪化していったアメリアは、移植待ちリストで待ち続けたまま亡くなる人もたくさんいる中で、幸運にも移植を受けられることになります。
    アメリアはそのことを望んでいたけれど怖れてもいました。
    「他の誰かが死ななくては私は生きられない」「私が幸せになるために他の誰かが深い悲しみを味わわなければならない」「新しい心臓が手に入るように祈るたびに、そうしたことが起こるのを願っている」ことが辛かったのです。だから本当は、新しい心臓なんて欲しくない、私の心臓を治して欲しいと思っていました。でもそれは叶わないことだったのです。
    新しい心臓が(提供してくれた人の心臓が)自分の中にあることを私は喜んでいる。アメリアは退院して家に帰って来て、ほんのちょっとしたことから感謝、悲しみ、罪の意識で声を上げて泣きじゃくります。きっとそれはアメリアのために必要なことだったのでしょう。自分が生きるために誰かの死が必要だったということに耐えるのは、どんな人でも大変な心の負担だと思います。ましてアメリアはまだ14歳の少女なのですから。
    なぜか自分の知らなかった感情がこみ上げ、知らなかったはずのことに見覚えがあるような気がしたり、そんな体験から提供者のことを知りたいと思うようになるアメリア。アメリアの行動は皆の幸せに繋がるのでしょうか?

    作者の甥ジェイソンはオートバイ事故で亡くなり、ドナー(臓器提供者)となりました。ジェイソンの一部が、普通とは違う形だとしても、ドナーとして繋がることになった人たちの中で生きている、まだこの世で生きているという考えにひかれ、この物語を書いたのだそうです。移植医療について、いろいろと考えさせられました。
    また多感な少女期の二組の親子の物語としても読み応えがあり、お勧めしたい本です。

    主人公の一人がフィギュアスケートの選手、ということに興味を持って手に取りました。
    全米選手権出場のチャンスがあるかも、などフィギュアの世界もちゃんと書かれていますが、主なテーマは移植医療。
    内容は重いのに、一気に読みました。すごく良かったです。

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