オン・ザ・ライン (SUPER! YA)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092905726

作品紹介・あらすじ

体育会系だが活字中毒の少年侃は、仲よくなった友だちに誘われてテニス部に入ることになった。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつまでも続くように思えたが…。少年たちのあつい友情、そして、明日への希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • テニス試合をよく見るので、状況が目に浮かぶ。どこにでもあるような日常が突然の出来事で急変。立ち直るには年長者も年下の子供たち、自然の力が作用している。高校男子のありあまる熱量、傷つきやすさ、伝わってくる。2人の友情、互いにあんなにつらい出来事があっても永遠であれ。一気読み完了。

  • 2012年課題図書(高校生)です。

    朽木さんの青春小説ということで楽しみにしていました。

    テニスにも絵画にも詳しくないので分からない部分もけっこうありましたが、部活に燃える青春だったり、恋する気持ちは皆共通。

    物語を堪能できました。



    でも、ただ明るく爽やかで終わるのではなかった。

    第一部と第二部で劇的に雰囲気が変わります。

    ずっと続くと思われていた日々・・・

    でも、一瞬で取り返しのつかない出来事が起こってしまうというのは本当に残酷だと感じました。



    認知症が進んできている祖父の暮らす島にしばらく滞在することになった侃。

    祖父の言葉や島に住む子ども達に救われ、少しずつ回復していきます。



    >「人間は、自分で自分が赦せなくて苦しむんだ。神さんが赦してくれても、人が赦してくれても、な」



    若くして重いものを背負ってしまった侃ですが、葛藤しながらも最後には未来へ向かって生きていこうとする姿に打たれました。

    そして貴之もずっと強くてかっこよくて(きっと自分の中で悩み苦しんだ末に解決したんだろうけど)輝いていました。

    色々なことを乗り越えて侃達はきっと素敵な大人になっていくんでしょうね。

    物語のページは終わっても、彼らの人生は続いていっていると自然と思える物語でした。



    また読書好きに共感できる文章にはにんまり。

    >ほんとうに不思議なことに、ある本を読みたいとずっと思っていると、本のほうから目に飛びこんでくることがある。

     ぶらっと入った古本屋や図書館で、その本の表紙だけが、ぼうっと光って浮いて見えるのだ。本のほうも読まれるのを待っているということなのだろうか。



    センダックの絵本や本の中で紹介されていた絵画など自分の目で見たいなと思いました。

  • 最初は読みにくく、話の展開もいまいちおもしろくなかったけれど、後半の意外な展開の部分から引き込まれた。

  • 月を見上げたまま、俺に背中を見せたまま、じいさんは何か言い出した。
    最初のあたりはよく聞き取れなかった。
    「‥‥神さんはな、それほどきびしいもんじゃない。おまえのことなんか、とっくに赦してるさ」
    じいさんはしゃらっと言った。
    「人間はな、自分で自分を赦せなくて苦しむんだ。神さんが赦してくれても、人が赦してくれても、な」
    俺がここに来たいきさつも、俺が何を考えているかも、なんにも知らないはずなのだが、じいさんはいきなりポイントを突いてきた。(265p)
    「ビッグイシュー」のヤングアダルト文学紹介で知って読んだ。
    内容(「BOOK」データベースより)
    体育会系だが活字中毒の少年侃は、仲よくなった友だちに誘われてテニス部に入ることになった。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつまでも続くように思えたが…。少年たちのあつい友情、そして、明日への希望の物語。

    現代の青春小説だけど、何だか昭和の剣豪小説のように思えた。古臭い友情と成長を描いているけど、普遍性もある。島で認知症を患っている元知識人の「じいさん」が、まるで世捨て人の剣聖の様に描かれている。
    オールマッスル(全身筋肉系)のバリバリテニス小説であるのと、章ごとの扉に紹介される意味深な絵画の描写。体育会系と文化系の若者に「違う世界への扉」を用意しながら、すべてを見せない。終わり方も含めて、極めて典型的なYA(ヤングアダルト)文学でした。
    2016年11月20日読了

  • 第一部の活字中毒とオールマッスルズ、そのあたりはそれほどおもしろいと思えなかったけれど、事故、そしてその後家を出ていった父親と再会して瀬戸内海の島で祖父や地元の子どもたちと過ごす第二部は、情景が生き生きと描かれよかったと思います。

    第二部の各章の絵葉書、出典だけでは難しく、今ならすぐネットで調べられることを想定されているのかなあ。

  • 「体育会系だが活字中毒の少年侃は、仲よくなった友だちに誘われてテニス部に入ることになった。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつまでも続くように思えたが…。少年たちのあつい友情、そして、明日への希望の物語」

  • 二人の少年のテニスと友情の物語。
    テニスのことについて詳しく描かれており、テニス経験者にとってはとても面白かった。
    事故後も侃を責めずに実力を認める貴之の切り替えの早さが素晴らしいと思った。
    最後の「おまえが、俺の憧れだったんだ、侃。」
    という貴之の素直な台詞に感動した。

  • 「おい、硬式庭球部に入ろうぜ」。高校入学早々、前の席の羽鳥貴之に声をかけられ
    た。超体育会系なのに活字中毒の日高 侃(カン)は、どうしようか煮え切らなかっ
    たが、貴之に誘われるまま入部する。球を打つ心地よい感触に、いつしかテニスに夢
    中になっていた。侃はどんどんテニスが好きになっていった。この楽しい時間がいつ
    までも続くと思っていた。あの事故が起こるまでは。貴之が消え、侃は自分を赦すこ
    とができず、学校も休み、テニスも辞めてしまった。希望もなくなった侃は、島暮ら
    しの祖父のもとに身を寄せる。そこには、小さな子供たちが侃に懐き、島の人たちの
    温かい心で侃の心は少しずつ癒されていった。ある日、貴之から手紙が届く。「俺に
    会いたかったら来い」。侃は島から戻ることを決めた。いつまでも続くと感じていた
    青春時代。一度は消えたふたりの友情が少年たちを大人にさせる。明日への希望の物
    語。

  • 期待値を上げすぎた。
    もう少し熱量が欲しい。

  • 20171022読了。
    隠れ読書中毒のカンは、高校で、親友の貴之に誘われテニス部に入る。その気はあまり無かったのにテニスが楽しくて仕方なくなる。テニス部に入った時に一目惚れしたカサブランカことサユリ。
    貴之の彼女である梓に心を寄せる。
     ある日貴之はカンを庇って交通事故で脚を一生回復の見込みの無い怪我を負う。ショックでカンもしばらく休学し、島で過ごす。その自然や子供達と過ごすが、貴之に呼び戻され、再びコートに立つ。

  • ちょっと仕掛けが甘い印象。
    せっかく意味深な感じで物語に挟み込まれた、「出て行った侃の父親の蔵書の並び順」、章の前に挟まれる試合シーンや絵葉書、そういったものたちが物語に占める意味など、もう少し効果的に使うか、いっそのこと無くても良かったのじゃないかと感じました。
    大人たちの良い言葉も、効果があまり感じられず…。
    お話のほうも、貴之からテニスを奪う必然性があまり感じられなかった事、ラストの試合描写が拙かった事、侃と貴之の再会の肩すかし感等々、終わりに向かうにつれて、盛り上がっていた興奮がしぼんでしまいました。
    やっぱり一番は、侃の成長を描くのに貴之の哀しい挫折が必要だったのか疑問に感じるところ。そこがモヤモヤの原因です。
    侃と貴之のキャラと関係性、1章の学生生活部分が楽しくて好きだっただけに残念でした。

  • 朽木さんって音楽や絵画にとてもくわしくて、それを読み手にわかるかという考慮はなく本の中で使うんですね。おもねることはないと思うのでそれはいいとも思うんだけれど、たとえば絵は入れることはできなかったのかなあ・・・
    話はなかなか良かったです。

  • 爽やかに、楽しく、切なく読めました。
    高校の雰囲気、よく描けていると思います。
    自分のなかの、何やら許せない部分に気づくのは、やっぱりこのころですよね。
    大人がそれほど大人でないことに気づくのもこのころです。
    ストーリーはあり得ないほど美しくて、誠実だけど、自分との、まわりの大人との折り合いには、リアリティーを感じた。

  • 図書館の児童文学のコーナーで見つけて、テニスの話だからふと手に取ってみた。読みだしたら止まらなくなる。
    最初は普通のテニスの青春ものと思ったんだけど、読み進めていくと、思いがけぬその後の転機があって、それを乗り越えていくという話。引き込まれました。そして読後感もとてもいい。読み終わって、あぁいい本を読んだ!と思えて。
    スポーツ青春ものなんだけど、主人公が筋肉ばかではなく実は活字中毒で文学的な側面も持ち合わせているところが、私としては入り込みやすい設定だった。
    いやー、良かった。高校生って大変だけど、いいな。

  • 青春小説なのですが、第一部と第二部では体裁を変えています。
    章の初めに一ページ、絵になるようなシーンを切り出している第一部と手紙の絵を解説している第二部の違いです。
    どちらも絵をイメージできると物語に広がりが出てくると思います。
    第二部の元の絵があるものは是非元の絵を参照してください。
    (版権などの理由で絵が付けられないのだと思いますが、知っているのと知らないのではイメージの広がりに差がつくと思うので、ちょっと残念。ネットで検索してください)
    p.306の田村一村氏の作品は「ユリと岩上のアカヒゲ」という名でヒットします。

  • 侃(かん)は友達の貴之に誘われて、高校でテニス部に入る。でもそこは2年生が人しかいない弱小テニス部。それでも、経験者の貴之、亮介とトレーニングを始める。
    ところがある日、侃が信号が変わったのに気づかず車にひかれそうになったところを貴之が助け、貴之が足を怪我して重症。テニスができなくなってしまう。
    貴之は誰にも何も言わずに、遠くの親戚の寺で療養をする。
    そして侃は責任を感じ、テニスをやめ、学校を休んで、父方の祖父のところへ。

    じいちゃんの言った言葉。
    「人間は、自分で自分が赦せなくて苦しむんだ。神さんが赦してくれても、人が赦してくれても、な」

  • 今風おしゃれな小説、という印象を受けた。
    章のはじめの文章がとくに。

    テニスについては、私はテニスマンガで得た知識くらいしか持っていなかったので、あまり理解できないところがあった。
    詳しく説明してくれるところと、そうでないところがあったので、テニス初心者はとくに?マークが灯ることだろう。

    メインは友情かな。
    恋については、それほど語っていなかったように思う。

    梓さんのイメージは長門。
    お気に入りキャラはカラス坊。
    島での暮らしの章が一番楽しかったかもしれない。

  • 活字中毒でテニスバカになった高校男子。好きなパターンだなぁ島での話がいいかも…
    2013.1.15

  • 75点。途中までスポ根青春ものですっごくおもしろかったのに、切磋琢磨しあう親友を事故に遭わせた(作家が)のが、もう、すっっごく、蛇足というか、個人的にがっかりした。
    そんな死にオチや病気オチや事故オチで終わらせる必要がある物語ではないように思った。
    折角テニス好きにおすすめする児童書が増えたと喜んでいたのに、すすめるのにあたって注意が必要に。
    「風の靴」のスポーツ板的なものにしてほしかった。

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著者プロフィール

広島出身。被爆2世。
デビュー作『かはたれ』(福音館書店)で児童文芸新人賞、日本児童文学者協会新人賞、産経児童出版文化賞受賞。その後『彼岸花はきつねのかんざし』(学習研究社)で日本児童文芸家協会賞受賞。『風の靴』(講談社)で産経児童出版文化賞大賞受賞。『光のうつしえ』(講談社)で小学館児童出版文化賞、福田清人賞受賞。『あひるの手紙』(佼成出版社)で日本児童文学者協会賞受賞。ほかの著書に『引き出しの中の家』(ポプラ社)、『月白青船山』(岩波書店)、『八月の光 失われた声に耳をすませて』(小学館)などがある。
近年では、『光のうつしえ』が英訳刊行され、アメリカでベストブックス2021に選定されるなど、海外での評価も高まっている。

「2023年 『かげふみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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